6/16 アートになった猫たち展＠日比谷図書文化館

前日とは打って変わって晴天。しかも最高気温が10度以上も高い真夏日。この気温差で折からの頭痛が輪をかけて酷くなり、どうしようかと思ったけれど、こういう日は却って太陽を浴びた方がすきっとするかな、と日比谷公園へ行きました。日曜日人気のない霞が関駅から向かった先は、日比谷図書文化館。時々いい展示をするのです。今回は「アートになった猫たち展」
　
折からの猫ブームに便乗か、チラシを見ても竹久夢二や広重、国芳、芳藤など知っているものばかりで、目新しさはない。驚きはないかもしれないが、一度見たからいいってものでもなく、楽しいものは何度でも見たい。それに300円だし…期待はせずに入ったが、これが意外や意外、面白かった。
浮世絵はほぼ見知っていたが、状態のいいものばかり。雲母摺、空摺も見事。
新しくは、大正、昭和、さらには平成の知らない画家の作品がある。大村廣陽、荒井寛方、高橋弘明、永瀬義郎、清水刀根、前川千帆・貝原六一、宮下登喜雄…初めて見た。興味深いもの多々あり。藤田嗣治は当然。川上澄生や関野準一郎、斎藤清などの知る人ぞ知る猫好き作家もあって嬉しい。大野隆司や歌川民生、八代亜紀もある。
ただ、それぞれが１点のみで中途半端。どうせなら、立体も含めてこの辺りを充実させて欲しかったが、江戸、明治の浮世絵と半々に展示して焦点がボケてしまった感じ。でも、美術館じゃないのだからこれでいいのかな。

https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/museum/exhibition/art-cat.html
日比谷図書文化館では4月26日（金）より、「アートになった猫たち展」を開催いたします。現在、空前の猫ブームと言われていますが、200年も前の江戸時代から猫ブームは存在していました。江戸の町では、愛猫家の絵師・国芳が人気を博し、多様な猫の姿が浮世絵に描かれました。愛らしく、時に神秘的な猫は、美人画や戯画に登場し、女性と戯れる猫、踊る猫、芸をする猫、猫顔で人気役者になりきって愛嬌たっぷりの姿を披露する猫など、江戸の庶民に広く親しまれてきました。また近代では、竹久夢二、藤田嗣治、水野年方、海外ではビアズリーなどが自らの作品に好んで猫を描き、多くの人々を魅了してきました。
本展は、本展は、浮世絵蒐集家・中右瑛氏が長年にわたり蒐集した浮世絵と近代美人画のコレクションを中心に、暮らしの中に描かれた猫や、猫を愛した芸術家たちの作品約100点（展示替えを含む）を紹介するものです。 人々を惹きつけてやまない猫たちと、人と猫の深い関わりをお楽しみください。

１章　アートになった猫たち
２章　ねこを愛した芸術家たち
３章　ねこ爛漫、なぜねこで描かれた？
　　　　　猫で遊ぶ「おもちゃ絵」等
　　　　　パロディな猫たち「擬人猫　シャレ猫模様」
　　　　「化け猫　芝居の名場面にあらわる」
４章　今も昔も暮らしの中に猫がいる「江戸編」
５章　今も昔も暮らしの中に猫がいる「明治編」

高橋弘明《鞠と遊ぶ白猫、黒猫》
白猫の毛並みの空摺が見事

永瀬義郎《「東洋の旅」上海所見》
船の舳先についてるのが猫の顔？味わいある版画

前川千帆《「野の娘たち」女児と猫》
トラ猫の表情がいい。宇田川民生氏は前川千帆氏に感銘を受けたそうだ。

徳力富吉郎《猫と蝶》
猫と蝶の組み合わせは古来中国の長寿の吉祥柄。おしゃれで素敵な木版画だ。

関野準一郎《トランプ》
こちらもすごくモダン。デザイン化した猫が素敵

斎藤清《競艶》
画面に入る５匹目の猫、こういうところが猫らしい

中右英児《悩める猫》
この人の作品もいいなぁ。もっと見てみたい

稲垣知雄《子猫》
昭和のかおり

竹久夢二《女十題　黒猫》
息子の竹久不二が夢二の猫ばかりを集めて作った豆本が素敵だった。

ビアズリー《黒猫》
シュッとした黒猫が多い中で、この顔と肢体

歌川芳藤《しん板猫のたはむれ踊のをさらい》
芳藤のおもちゃ絵の猫は可愛い。小娘は猫っぽい

歌川芳藤《子猫集まって大猫となる》
よく見るのは顔アップの方だが、私はこちらの方が好き

歌川広重《名所江戸百景　浅草田圃酉の町詣》
超有名な絵だが、この猫は本当に上手いと思う

二代目歌川広重《江戸自慢三十六興　今戸焼物》　
二代目の猫も悪くない

揚州周延《あづま　愛猫》
紐はもとより、着物の裾、帯なんでもじゃれる

月岡芳年《風俗三十二相　うるささう》
すきすき〜、でも猫は迷惑

豊原国周《東けい三十六会席　柳ばしそめ》
高い高いも猫には迷惑
でもどちらも猫大好きが全身に現れている美人だから許す。　

6月23日まで