第一次世界大戦の最中、アメリカ人のフレデリックは志願兵として、イタリア軍にいた。ふんだんとあるお酒、食堂での楽しげな会話、男女の逢い引きなど、日本の戦争文学の「重さ」とのギャップにはじめは少し戸惑ったが、常に死と隣り合わせにある戦争の無情さは、やはり共通のものだった。
負傷したフレデリックは、病院で看護婦のキャサリンと再開し愛を深めるが、怪我が癒え、再び前線に送られるところで上巻は終わる。
小気味よいカラリと乾いた文体のなか、「雨」の描写が印象的だった。雨を忌み恐れ、「ときどき雨のなかで死んでいる自分が見えるからよ」と言うキャサリンの言葉や、子どもを授かったキャサリンと離れ、再び戦地へと赴く場面で降りしきる雨のせいかもしれない。
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