NHK「100分de名著」での著者の『フランケンシュタイン』の解説が鋭くかつ面白く、ファンになってしまった。
本書も、一般的なミステリーの解説本とは異なり、「人間を描く」ということに焦点を当てていて斬新だ。謎解きやトリックだけでなく、人間性に関する探求が底流をなしているイギリスの探偵小説。ドイルやクリスティーはもちろん、プロットや人間関係に謎を巧みに仕掛け、人間の性格描写に重きを置く、ディケンズやオースティンまで、本書が対象とする射程は広い。
あらゆる文学作品には、何らかの形でミステリーの要素が含まれる、という著者の言葉の通り、文学とミステリーの境は意外と曖昧なものなのかもしれない。
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