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2019年04月30日11:15

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4/27 バレル・コレクション 印象派への旅 海運王の夢@bunkamura ザ・ミュージアム

GWは毎年美術展三昧の我が家。さて、今年は幾つの美術展を見に行かれるか。第1回目はこの美術展から。
フォト
初日先着300名にドガの名作《リハーサル》をあしらい、海運王バレルのちなんだ船形のプレゼントとあったが、ランチ後12時に入場したのでもう無理かなと思ったが頂けた。ということは、初日の入場者数は多くない。実際空いていた。タイトルにインパクトがなくて「また、印象派の展覧会かぁ〜もう飽きたよねぇ〜」と思う人が多いのだろう。

豈図らんや、このバレル・コレクションはすごい!英国以外に持ち出さないという厳しい条件がつけられていたため、目にすることない作品ばかり。改修工事に伴って奇跡的に実現した展覧会だという。

しかも、セレクトがいい。これまで〇〇コレクション展というのは数々見てきたが、コレクターの目的と好みが如実に出るものだ。バレルは、15歳から家業の海運業を手伝うと同時にオークションに参加、父親にクリケットのバッドを買うようたしなめられたという早熟のコレクタター。審美眼は確かで、好みをはっきりと打ち出している。
19世紀フランスやオランダの落ち着いた雰囲気の作品を好み、印象派後の前衛作品は嫌い。例えば、セザンヌの静物画はキュビズムに移行しようとする一歩手前、ルノワールも古典主義に偏る直前といったあたりの作品だった。私もそのあたりは大好き。
穏やかで癒しになる絵、プライベートな部屋に飾っておきたい絵が多い印象。特に花の絵はうっとりするものばかりだった。自身は海運業を営んでいたので、港や船の絵も好んでいたようでたくさんあり、最後の展示室の海洋画14点は全て撮影可。
また、他のコレクションであまり見かけないヤーコブ・マリスとマテイス・マリス兄弟、デオデュール・リボー、フランソワ・ボンヴァン、サミュエル・ジョン・ペブロー、ジョセフ・クロホールなどの作品も素晴らしいのがあって目を見張った。
私的には、バーンズ・コレクション、クラーク・コレクションと同様に好みの一致するコレクションで大満足、bunkamuraお得意の作品に合わせての壁色演出も素敵だった。
フォト
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_burrell/
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_burrell.html
産業革命期に英国随一の海港都市として栄えたグラスゴー出身の海運王ウィリアム・バレル。彼は古今東西におよぶ様々なジャンルの芸術作品を集めてコレクションを築き、グラスゴー市に寄贈しました。その後、同市に美術館「バレル・コレクション」が設立し、一般公開されています。
本展では、9,000点以上にも及ぶバレル・コレクションの中から西洋近代絵画に焦点をあてた73点の作品と、同市のケルヴィングローヴ美術博物館が所蔵するゴッホやルノワールを含む7点の作品を展示いたします。日本初公開のドガの知られざる名作《リハーサル》をはじめ、バレルが独自の視点で収集した良質のフランス絵画のほか、クロホールら、スコットランド出身の画家や、オランダのハーグ派の作品を含む全80点を通じて、写実主義から印象派への流れをたどります。


ゴッホ《アレクサンダー・リードの肖像》フォト
リードはバレルに作品を斡旋した画商で、ゴッホ兄弟とは同居していたこともある人物。海運業者の中には、バレルのようなコレクターが多かったそうだ。

第1章 身の回りの情景
1−1室内の情景

ヤーコブ・マリス《若き芸術家》フォト
マリス3兄弟の長兄。《姉妹》も幼い妹に話しかける少女の微笑ましく愛らしい絵だった。
画像は見つからなかったが、リボーはラトゥイールのように光をドラマチックに表現して人物を際立たせた画風。

1−2静物
セザンヌ《倒れた果物かご》フォト
ルノワール《静物—コーヒーカップとミカン》フォト
セザンヌはいかにもセザンヌで、ルノワールはルノワールらしく。うっとりの小品。

マネ《シャンパングラスのバラ》フォト
なんと言うことない小品だが、中間色の灰色がいい。
ラトゥール《春の花》フォト
これに、筆致粗く黒背景に花が浮かび上がるようなドラマチックなペブローの《バラ》が並び、素晴らしい展示空間だった。

第2章 戸外に目を向けて
2−1街中で

ドガ《リハーサル》フォト
バレエ連作の初期作。スナップ写真のような構図、切り取り方に臨場感、躍動感を感じる。色と形が繊細で、光の表現が軽やか。

クロホール《二輪馬車》フォト
動物が評判の画家で、バレルは150点も購入。犬や馬、山羊の絵も良かった。

シダネル《雪》フォト
ふんわりと景色を包み込む雪は光でピンクや水色のプリズムを生み出す。なんと叙情的。

マテイス・マリス《蝶》フォト
少女は純潔を、蝶は儚さ、変わり目を示す。横たわる姿、広がる褐色の髪やブルーのワンピースにミレイのオフィーリアを思い出す。3兄弟のうちウィレムのだけなかったが、機会あれば見たい。

ヤーコブ・マリス《ペットのヤギ》フォト
長兄のヤーコブの少女は屈託がなく可愛い。

このほか、エルヴィエ、モンティセリも印象的

2−2郊外へ

第3章 川から港、そして外洋へ
3−1川辺の風景


ピサロ《水浴する女》フォト
小品ながら、優しい色使いとタッチに引き込まれる

ドービニー、ブーダンも。

3−2外洋への旅 
ここでもヤーコブ・マリスの絵にくぎづけ。一つの風景を丸ごと写したのではなく、いくつかの風景を合成再構築しているとのこと。なのに全く違和感なしは素晴らしい構成力。
《アムステルダム》フォト

ブロンメンス《浅瀬を歩く》フォト

ブーダン《トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー》フォトフォト
白いドレスが皇后だそうだ。ブーダンの海辺の絵は本当にいいなぁ。

コロー《船舶》フォトフォト

「3−2外洋への旅」の展示室は撮影可でしたので、こちらにアルバムを作りました。
ご興味ある方はご覧ください。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000106078636&owner_id=2083345

点数は少ないけれど、1点1点をゆったり眺めたい展覧会。おすすめです。6月30日まで。


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