ようやく、『 イコライザー2 』を観た。前作が凄すぎて、続編にがっかりすることは多い。いや、むしろ、続編が前作を上回ることはほとんどないので、あまり期待せずに観るのがちょうど良いと思う。最近では、
『 アウトロー 』が超ハードボイルドでしびれたが、続編の
『 ジャック・リーチャー 』には見事に肩透かしを食った。原作、主演は同じだが、監督、脚本、ファイトコーディネーターが変わり、もはや、別の映画になってしまったと言って良い。
『 ザ・プレデター 』はさらに酷かった。ファンフィクションレベルの脚本クオリティの上にプレデター愛が致命的に欠如していて、シリーズ作品とは到底認められない。こうやって勝手に期待して勝手に落胆するのも映画の楽しみ方のひとつだが、続編やリメイクには本当にがっかりすることばかりだ。
『 イコライザー2 』も前作
『 イコライザー 』がとんでもない傑作だったため、当然ながら、ハードルは上がった。あれだけクールなアクションを見せられて、続編に期待をするなという方が酷だろう。そして、予想通り前作の凄さを痛感する「 凡庸な続編 」となった。脚本が欲張り過ぎて、色々と盛り込んだ結果、それぞれの描写が急ぎ足になっているのは仕方ない。続編が陥りやすい、よくある失敗だ。前作で主人公ロバート・マッコールの謎めいたキャラを丁寧に描いてしまったので、続編でそれらを省略したのもわかる。しかし、同時に大切な「 作品の雰囲気 」まで失ってしまった。監督、脚本、主演が同じなのに、撮影、編集が交替した結果、映像の質感やリズムがまるで違う映画になっている。これに違和感を持つなというのは無理だよ。前作はとても良かった。夜の暗さ、繊細な照明、何度も挿入される超ドアップ、効果的なスローモーション、フィックス中心でどっしりとしたカメラワーク、バストショットとロングショットをリズミカルに切り替える巧みな編集。それらが生み出す「 緊張感のある映像 」が実に素晴らしかった。今作の脚本は粗があり、急ぎ足だが、せめて撮影と編集が前作と同じであれば、物語はともかく、映像自体はもっと見ごたえのある作品になったに違いない。そこが残念だ。気になった方はぜひ前作と見比べてみてほしい。カメラワークと編集の違いは歴然としている。
【 あらすじ 】 もとCIAの敏腕エージェントであったロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)は自動車爆弾で死亡したと思われており、その後、一切の殺人テクニックを封印。ホームマートの社員として穏やかな生活を送っていたが、妻と死別して以来、彼は生きる意味を見失っていた。深夜のダイナーで知り合ったアリーナ(クロエ・モリッツ)という10代の娼婦がロシアンマフィアに大けがをさせられたことから、彼女を救うために立ち上がり、もとスペツナズの隊員ニコライらと戦って、プーシキンを中心とするマフィア組織を壊滅させる。アリーナを救うことに自分の生きがいを見出し、困っている他者のために戦う道を歩みだすのだった(前作)。ボストンの下町に居を移したマッコールはタクシーの運転手として、お客さんの送迎をする毎日だったが、この町でも困っている人々の救済活動を続けていた。ベルギーのブリュッセルでCIA協力者が自殺する事件が発生、マッコールのもと上司スーザンが調査のためにブリュッセルに向かうのだったが・・・。
この作、ネタバレです。まっさらな状態で映画をご覧になりたい方はご注意ください。
『 イコライザー2 』のどこが惜しいかと言えば、陰謀のショボさ、敵の存在感の薄さに尽きる。ブリュッセルの自殺偽装の謎をスーザンなら突き止めてしまうから、というのがスーザン惨殺の理由だが、そもそも、ブリュッセルで殺されたベルギー人夫婦の抹殺命令が誰から出たのか明かされず、彼ら夫婦がCIA協力者だったという事実を実行犯グループが知らなかったという設定が粗雑すぎて、納得できない。少なくとも、夫婦が殺される理由やそれを指示した人物の描写がないのは不自然だ。CIA協力者の抹殺を自殺に偽装することは珍しい、というのであれば、それすなわち、スーザンをおびき出すための罠でなければならない。CIA協力者と知らずに自殺偽装工作をし、それをスーザンが見破るだろうとあわてて、スーザンの暗殺に走るというのはかなりお粗末な展開だ。
敵の正体も意外性がなくがっかりだが、あまりに弱くて歯ごたえがないのにはもっとがっかりしたよ。劇場版予告編ではしきりに「 今度の敵はイコライザー 」とあおり、ことさら「 イコライザー対イコライザー 」の激しい戦いに期待させた結果、肩透かしを食わせた格好だ。第一、敵のリーダーの線の細さは、もはや絶望的。前作のニコライの不気味さ、残虐さが懐かしくなったほどだ。ニコライとマッコールが見せた駆け引きの応酬もなく、正体がばれてからは芸のない力押し。かつての仲間であるマッコールの強さも手口も熟知しているはずなのに、攻撃の場所、時機、手段のどれをとっても安易で、単調だ。人質を確保しながら、それを有効に活用することもできない。これじゃ、クライマックスの戦いが盛り上がるわけがない。ニコライレベルの強敵が4人集まって、ようやく「 イコライザー対イコライザー 」と呼べるだろう。ちなみに、マッコールの優秀さを認めていながら、ニコライがホームマート突入時、部下達とインカムで連係せず、各個に倒されてしまったのは、やはり、ニコライがマッコールを舐めてかかっていたせいだろう。今作での敵はもとCIAで、定石通り、インカムを使ってチームプレーで対抗したとはいえ、あまりにも呆気ない展開で物足りなさを覚える。暴風雨の中、無人の町での対決もさほど魅力的に感じなかったよ。こんな続編、観たくなかった。引退したはずのスーザンをわざわざ引っ張り出した挙句、無惨に殺してしまう脚本の安直さは許し難い。
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