先日、みなとみらいの「Kino cinema」で映画を観た時、「16日から4Kデジタルリマスター版『ミッション』(1986年、原題:The Mission)が上映される」と知り、出かけて来た。40年前の公開当時に観て、とてつもない衝撃を受けた作品だ。まさか、もう一度劇場で、それも4Kデジタルリマスター版で鑑賞できるとは思わなかった。本当に、良い時代になったものだ。
この作品が素晴らしいのは、「海と風のおかげ」で新世界に伝播したキリスト教が、ジャングルに住む未開のインディオ達にとってどんな結果をもたらしたかを描くと同時に、見事な「信仰の物語」になっていることだ。大きなポイントはふたつ。
ひとつめは、怒りと嫉妬のあまり、過って実の弟を刺殺してしまい、罪の呵責に耐えかね半年間誰とも言葉を交わさず、食事もとらず「ただ、死が訪れるのを静かに待つ」ロドリゴ・メンドーサ(ロバート・デ・ニーロ)が、かつて対立していたイエズス会のガブリエル神父(ジェレミー・アイアンズ)によって「試練の道」に挑戦することを示され、艱難辛苦の苦行の末に罪を悔い、信仰に目覚めること。
そして、ふたつめはガブリエル神父らイエズス会の宣教団の働きにより改宗、熱心なキリスト教徒となったインディオ達の伝道村の存続をめぐって苦悩するガブリエル神父とロドリゴの姿を通して「信仰者はどうあるべきか」を観客に問いかけていること。ガブリエル神父はどこまでもキリスト教徒として、聖職者としてインディオ達の運命に寄り添う道を選び、ロドリゴは彼らを護って敵と戦う道を選ぶ。
『ミッション』が大問題作と呼ばれるのは、この物語が実際に起きた事件をベースに描かれていると同時に、白人達が持ち込んだキリスト教に改宗した原住民が「白人達の都合次第でいかに非情に切り棄てられ、無惨な末路を辿ったか」歴史上には少なくないという事実に恐れず向き合っていることだろう。「滝の上で起きたことは、誰にも話してはならない」とされた悲劇がこの映画によって、今も語り継がれている。
【物語】 1750年代、現在のアルゼンチンとパラグアイの国境付近。滝の上の未開のジャングルには誇り高いインディオの一部族、グァラニー族が太古からの伝統を守って、何不自由なく平和に暮らしていた。ある時、彼らの元にキリスト教布教に派遣された神父は捕らえられ、十字架にくくりつけられて河に流されるとそのまま滝つぼに転落して殉教する。その悲劇のあと、同じ教区のフィールディング神父(リーアム・ニーソン)が「今度は私が参ります」と宣言するが、「彼を派遣したのは私だ。今度は私が行こう」とガブリエル神父は決心する。彼はわずかな荷物を携え、滝を登り、道なき道を進んで、グァラニー族の住むジャングルに到着した。彼は荷物の中からオーボエを取り出すと、そこで静かにオーボエを吹きはじめた。ほどなくして、グァラニー族の戦士達が音もなく彼に接近し、物陰からオーボエの演奏に聴き入る。彼らの気配を感じ、彼らが自分に矢を向けていることを気づきながらもガブリエル神父はそれを恐れず、オーボエを吹く。グァラニー族は音楽を愛する部族だった。ガブリエル神父の演奏に惹かれ、戦士達はどんどんガブリエル神父のそばに集まって来て、演奏を楽しんだ。やがて、年輩の戦士がガブリエル神父に近づくと彼のオーボエを不思議そうに触れていたが、戦士は急に怒鳴り出し、オーボエを真っ二つに折って、地面に捨て、ジャングルの中に去った。若い戦士はオーボエを拾うと、ガブリエル神父に渡すが、ガブリエル神父は「壊れてしまったから、もう演奏はできないよ」とジェスチャーで示す。若い戦士達はガブリエル神父の手をとると、彼らの村に連れて行った。こうして、ガブリエル神父はグァラニー族に迎えられ、共に生活しながら、布教活動をはじめることになった。
ある時、戦士達が狩りのためにジャングルを移動していると、足元に仕掛けられた罠によってたちまち何人かが網に捕らえられてしまう。インディオ達を狙ってやって来た奴隷狩りのスペイン人らの仕業だった。罠にかからなかったグァラニー族はその場から逃亡するが、その背中に銃を向けて躊躇いなく発砲し、射殺するのは奴隷狩りチームのリーダー、傭兵のロドリゴ大尉(ロバート・デ・ニーロ)だ。彼は賢く、有能だったが、同時に冷徹な殺し屋であり、捕らえたインディオ達を奴隷として売り払っては大金を稼ぐ奴隷商人でもあった。当時、スペインではすでに奴隷を捕らえることは禁止されていたが、同じく新世界に勢力を伸ばして来た新興のポルトガルでは合法であり、入植地のスペイン人は労働力確保のためポルトガル人から秘密裏に奴隷を買っていた。本国の目が届かない新世界ではスペインの「奴隷禁止令」は有名無実化していたのだった。逃亡したインディオは村のガブリエル神父の元に駆け込み、仲間達が捕らえられたことを告げる。物陰から、銃を構えたロドリゴが様子を伺っている。「誰だ!! いったい、何者だ??」 ガブリエル神父がジャングルに向かって叫ぶと、ロドリゴがわずかに顔を見せる。「ロドリゴ大尉だな。奴隷は禁止されている!」 ガブリエル神父の言葉に不適な笑みを見せたロドリゴはそのまま逃げたインディオをあきらめ、去って行った。
ロドリゴ率いる奴隷狩りチームは後ろ手に縛った6〜7人のインディオを馬3頭に後ろ向きに乗せ、大勢は数珠つなぎに縛ったインディを達を走らせて街に凱旋する。建物の二階からその様子を見ていたロドリゴの婚約者カルロッタ(シェリー・ルンギ)は部屋の中にいるフェリペに「お兄さんが帰って来たわよ」と告げる。カルロッタはロドリゴの弟フェリペと密かに愛し合う関係になっていた。自分を愛してくれてはいるが、冷徹で気難しく、奴隷狩りで街を離れていることが多いロドリゴと違い、フェリペは優しく純真だった。いつかは、フェリペとのことをロドリゴに打ち明けなければならないとカルロッタは悩んでいた。
大勢の奴隷をスペイン総督ドン・カベサの屋敷に届けると、ロドリゴはドン・カベサから奴隷の代金を金貨で受け取る。大金だ。ドン・カベサはスペイン王の代理として植民地を統治する総督だったが、彼にとってスペイン国王の意向や法律などどうでも良かった。教会を擁護する現スペイン国王に代わって、いずれ反教会派の有力な貴族が王位に就くだろうことを予想していた。ドン・カベサは本来ライバルであるはずのポルトガル国王の代理者ホンタルと組み、新世界で共に個人的な利益を上げることに執着しているのだった。
ドン・カベサの屋敷からロドリゴが戻る路上で、カルロッタはロドリゴに声をかける。久しぶりに再会したカルロッタの顔を見て、喜ぶロドリゴに彼女はフェリペとのことを打ち明ける。「もう、俺を愛していないのか? いったい、いつからフェリペと?」と驚くロドリゴに、「半年ほど前からよ。あなたを愛していることは変わらない。でも、私はフェリペとの愛を選ぶわ」とカルロッタは告げた。ロドリゴは無表情でカルロッタを見つめた。彼は恋人の心変わりを責めるような男ではなかった。そんなことは情けない男のすることだ。
聖母マリアの祭りの翌日、ロドリゴは屋敷に戻るとカルルッタの姿を探して、屋敷の部屋をいくつも開けて回る。すると、奥の部屋のベッドで裸で横になっているカルロッタとフェリペを見つけ、黙って屋敷を出ていく。「兄さん!」あわててフェリペはロドリゴのあとを追う。目の前でカルロッタとフェリペの関係を見せつけられたロドリゴは不快な思いのまま通りを足ばやに歩いて行く。その時、見知らぬ男がロドリゴの姿を見て笑った。いや、彼はロドリゴを見て笑ったのではなく、会話相手の男に向かって、たまたま笑いかけたのだろう。しかし、腹をたてているロドリゴには「自分が笑われた」と感じたのだ。「今、笑ったな? 俺を見て、笑ったな??」 ロドリゴは男に詰め寄った。そこへ、フェリペが追いつき、ロドリゴを止める。そのままだと男がロドリゴに殺される運命にあるのは明らかだったからだ。「兄さん、やめろ!」 そういうとフェリペは傍らにあった剣を見つけ、鞘から抜いて身構えた。ロドリゴの怒りはついに爆発する。ロドリゴも剣を抜くと、フェリペに斬りかかった。二太刀、三太刀きり結ぶが、フェリペは抵抗をやめない。ロドリゴは左手で短剣を抜くと完全に戦闘モードに入ってしまい、ついに勢いのまま短剣でフェリペの右わき腹を深く突き刺してしまった。「兄さん!」 絶叫して足元に倒れ込むフェリペの姿を見て我に返るロドリゴ。しかし、もはや手遅れだ。カルロッタが泣き叫びながらフェリペに駆け寄るが、フェリペはすでに息絶えていた。
半年後、布教活動の様子をイエズス会に報告するため、ガブリエル神父が街に帰って来る。そこでガブリエル神父はロドリゴが過って弟を刺殺したこと、それ以来、誰とも言葉を交わさず、ただ静かに死を待っていることを知らされる。イエズス会はガブリエル神父にロドリゴと面会してほしいと要請し、彼はロドリゴを尋ねるが、そこにいたのはかつての冷徹な殺し屋でも有能な傭兵でもなく、「犯した罪の大きさ、重さに圧し潰され、生きる意欲を失った哀れな男」だった。ガブリエルはロドリゴを見て、笑った。それを見て、半年間誰とも口をきかなかったロドリゴが反応した。「笑ったな? 俺を笑ったな??」ロドリゴは立ち上がるとガブリエル神父の胸ぐらをつかむと壁に押しつけた。彼にとって、笑われるのは耐え難い屈辱だったからだ。「笑ったとも。君の姿は滑稽だからな。君は世の中から、生きることから逃げている。だから、笑ったのだ。罪を抱えながら生きることは、死ぬことよりもっと辛い。君には耐えられないだろう。さぁ、殴るが良い。殴れ」 ロドリゴはガブリエル神父の言葉が胸に刺さって、反論できない。ガブリエル神父はさらに続けた。「苦難の道を歩く勇気が君にはあるか? あるなら、やってみろ」 ロドリゴは今度は言い返した。「俺が音を上げ、観念するのを見たいんだな?」 つい先ほどまで死ぬことしか考えていなかったロドリゴの中に新たな炎が燃え上がる。それこそ、ガブリエル神父の目論見だった。
ガブリエル神父はじめイエズス会から新たな宣教団が編成され、滝の上での布教を本格的に推進するため、多くの人々が出発する。その最後尾にロドリゴが大きな網に入った重い荷物を引きずりながら続く。彼が引くのは甲冑や剣など、長年、傭兵として愛用して来た「戦士の象徴である武器装備」だった。ただ歩くだけでも困難な奥地を、十字架を負ったキリストがゴルゴダの丘を目指したように、ロドリゴは黙々と荷物を引きながら進んで行く。足場の悪い道を重い荷物を引きつつ、苦労しながら進むロドリゴは何度も転倒し、何度も坂を転げ落ちる。その様を見ていたフィールディング神父(リーアム・ニーソン)は堪りかね、這うようにして坂を登るロドリゴが荷物を引くロープを鉈(なた)で叩き切る。荷物はガチャガチャと音を立てて坂を転がって、川に落ちていく。ロドリゴは川まで降り、切れたロープで自分と荷物を結びつけ、再び、坂を登って行く。「彼はいったいいつまであの荷物を引きずって行くんですか?」フィールディング神父はガブリエル神父に聞く。「それはわからない。彼自身が納得するまでだ」 最難関の滝を、ガブリエル神父やフィールディング神父に助けられながら重い荷物を引いたまま上がったロドリゴ。滝の上ではグァラニー族がガブリエル神父らイエズス会宣教団の到着を迎えに来ており、ガブリエル神父の姿を見て、彼らは大喜び。その時、宣教団の最後尾にロドリゴを見つけたインディオ達は彼が「自分達の仲間を拉致し、殺した奴隷狩りのリーダー」だと気づき、騒ぎはじめた。ガブリエル神父は何も語らず、彼らの動向を黙って見ている。ひとりの戦士がナイフを抜くと、路上で座り込んでいるロドリゴに向かうと、彼の顔を上げさせ、仲間達に見せた。やはり、あの奴隷狩りの男だ。「復讐のため殺されても仕方がない。自分は殺されて当然のことを彼らにして来たのだ」 ロドリゴが観念していると、グァラニー族の戦士はロドリゴとロドリゴの荷物を結ぶ太いロープをナイフで切り離すと、荷物を川へ突き落した。グァラニー族の集団から歓声が上がる。彼らは仲間達の仇であるロドリゴを赦し、村の一員として加えることに決した。ロドリゴは罪を悔い、声をあげて泣いた。インディオ達はロドリゴの周りに集まり、彼の肩を抱いた。
グァラニー族の多くはキリスト教に帰依し、熱心なクリスチャンになった。ジャングルを出て、陽の当たる開けた土地に村を造り、力を合わせて教会を建てはじめた。ロドリゴは生まれ変わったように無心に働いた。村人達と一緒に教会造りに精を出す。ガブリエル神父に従って、誰よりも忠実に、誰よりも熱心に励んだロドリゴは他のイエズス会士達の総意で聖職者のひとりに加えられ、ガブリエル神父から貴重な聖書を一冊を贈られる。彼は日中は作業、夜は聖書を読んで過ごし、その教えを自分のものにした。冷徹な殺し屋、歴戦の傭兵だった男は「寡黙で純朴な聖職者」となった。
その頃、欧州ではスペインとポルトガルの間で条約が結ばれ、これまでの勢力圏は新たな境界によって分けられることとなった。新世界で勢力を伸ばすイエズス会を脅威に感じた列強が、スペインに働きかけて、イエズス会の独走を阻止するべく連携したのだった。イエズス会の宣教団は各地で原住民を懐柔、キリスト教に帰依させて伝道村を建設。インディオ達を主導とした巧みな農園経営によって莫大な収益を上げていたが、利益はインディオ達に公平に分配されていた。ポルトガルにとっても、新世界のスペイン総督にとってもそれらは「許し難い悪夢」と映った。彼らにとっては原住民は奴隷売買によって利益を生み出す財産であり、農園からの収益は自分達の懐を満たすものだったからだ。もとより、原住民へのキリスト教布教など興味はない。新たな境界線が引かれ、これまでスペイン領だったイエズス会の伝道村のふたつがポルトガル領となるため、教皇は現地での移管が速やかに行われるようにと欧州から、イエズス会士でもあるアルタミラノ枢機卿(レイ・マッカナリー)を派遣。聡明なアルタミラノ枢機卿は現地のスペイン総督ドン・カベサがおもて向きはスペイン国王の指示に従いながら、裏でポルトガルのホンタルと手を結んでインディオ達の奴隷売買で私腹を肥やしていることを知るが、欧州でのスペインと教会が置かれた状況を考えると、軽々な裁定を下すことはできなかった。イエズス会の立場に寄り添えば原住民のキリスト教徒の自由で平和な生活は保障されるが、列強の圧力によってスペインは苦境に立たされ、その結果、教会は分裂するだろう。イエズス会は列強諸国から活動を禁止された上で追放され、布教の足場を失うことは明らかだ。反対に、条約に従ってポルトガルに譲歩すれば、イエズス会の伝道村のインディオ達は捕らえられて奴隷として売り飛ばされるか、殺されるに違いない。アルタミラノ枢機卿は石造りの見事な教会を建てた「最も歴史ある伝道村」を視察し、イエズス会の熱心な布教活動が原住民を救い、バナナ農園経営と公平な利益分配によって豊かな暮らしを実現していることに驚愕した。そして、どう裁定すべきか苦悩し、礼拝堂にこもったまま5時間も祈り続けた。彼の苦悩をみてとったガブリエル神父は「私の伝道村にお越しください。喧騒を離れた静かな場所でなら、きっとお心も定まるはずです」 彼はアルタミラノ枢機卿と共に滝の上の伝道村に向かう。
アルタミラノ枢機卿は滝の上の豊かな大自然の中で、グァラニー族がガブリエル神父を中心にキリスト教徒として敬虔に生活している様を見て、「ここはまるでエデンの園だな」と感嘆する。そして、キリスト教に帰依したグァラニー族の人々を守るには「伝道村を棄て、スペイン領へ移住する以外にない」と決心。ガブリエル神父らイエズス会士を仲介として、グアラニー族の族長以下首脳陣の話し合いによって、それを伝える。しかし、族長らはアルタミノ枢機卿の発言の真意を理解できない。「ジャングルを出て、村を造れと言われたからジャングルを出た。あなた方の神の教えに従い、教会も建てた。それなのに、今、どうしてこの土地を棄て、よそに移らなければならないのか」 通訳するガブリエル神父も困惑する。アルタミノ枢機卿は言葉に窮し、「これは神の命令だ」と告げる。族長はじめグァラニー族の指導者層は納得しない。「どうして、神はそんな命令を出す。なぜ、神は気が変わったのか?」アルタミノ枢機卿は「私は神の道具に過ぎない。神の御心を理解することはできないのだ」と説明。すると、族長は「神のことがわからないのに、神の命令だとなぜわかる? おかしいではないか! ここはわれわれの土地だ。われわれはどこへも行かない」と席を立った。説得は決裂した。いずれ、ここにはスペイン・ポルトガル連合軍がやって来るだろう。「イエズス会士は今日中に全員、ここを立ち去るのだ。この場所にいて、イエズス会士が厄介なことに巻き込まれるのは困る。この命令に従えない者は誰であっても破門する」とガブリエル神父達に厳命したが、「私はここに残ります」「私も」「私も」と全員が伝道村を去る意志のないことをアルタミノ枢機卿に伝える。
その頃、雨が降りしきる中、最も古い伝道村をスペイン・ポルトガル連合軍が襲っていた。家屋は焼かれ、抵抗する者は殺された。村人達は捕らえられ、奴隷として価値のない乳飲み子は雨の中、水溜まりのできている地面に次々と棄てられる。家族はばらばらにされ、村人達は奴隷として連れ去られる。原住民の聖職者は銃をつきつけられて法衣を脱がされた。美しく豊かだった歴史ある伝道村の生活はこうして幕を下ろされた。滝の上の伝道村にもスペイン・ポルトガル連合軍が向かう。
ロドリゴが自分はどうすべきか迷っていると、インディオの少年が川底からロドリゴの剣を拾ってきて、彼に差し出した。錆びていたはずの刀身は磨かれて、光っている。少年が磨いたものだろう。少年は剣を差し出しながら黙ってロドリゴを見つめている。彼は少年が自分に「侵略者達と戦え」と促していることを悟る。恐々と剣を受け取ったロドリゴは冷たく光る剣を見つめている。そして、法衣を脱ぐと、少年とふたりでジャングルに出かけ、剣を構えると素振りをはじめた。彼はグァラニー族の戦士達と共に、スペイン・ポルトガル連合軍を迎え撃つと心を決めると、ガブリエル神父のもとを訪ね、「教えを棄てる」ことに赦しを乞う。それは村人達と一緒に戦うことを意味していた。「他には?」「フィールディング神父も一緒です」とロドリゴ。ガブリエル神父は困ったように首をふった。「村人を見棄てることはできません。彼らのために最善を尽くします」「君は聖職者だ、聖職者として彼らを助けるのが君の役目だろう。神は愛だ。力で何もかも解決できるなら、この世に愛など必要ないことになる」 ロドリゴの決心は揺るがない。「祝福してください」ロドリゴが願うと、ガブリエル神父は「祝福はできない。もし、君達の行動が正しいなら、神が君達を祝福してくださるだろう」 ロドリゴにはガブリエル神父の苦衷がわかった。彼はガブリエル神父を力強く抱き、これまでの感謝を告げると外に出た。スペイン・ポルトガル連合軍がこの地に到着するまでまだ時間はある。彼はグァラニー族の戦士達と迎撃戦の準備をしなければならない。決戦の時は刻一刻と迫っていた・・・。
惨劇のあと、アルタミノ枢機卿はポルトガルのホンタルから滝の上の伝道村の末路について報告を受ける。「この虐殺は本当に避けられないものだったのかね?」アルタミノ枢機卿はホンタルに尋ねる。「これが人の世です」とホンタルは真面目に答えた。アルタミノ枢機卿は哀しそうな表情を浮かべながら、「こんな世界にしてしまったのは、人間だよ」と返した。その頃、虐殺事件を生き延びたグァラニー族の少年が廃墟になった教会から儀式に必要な道具と壊れて川に浮いているヴァイオリンを回収すると、他の少年達とカヌーに乗り、ジャングルの奥地へと去って行くのだった。
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