戦争とはどのような状態をさすのだろう。我々はともすれば、殺しあい、破壊しあったところで戦争の始まりと見てしまいがちだ。
ところが著者によると、情報戦で相手国に敵わないと精神的に屈服させるところから戦争は既に始まっているという。
中国が南シナ海に無断で軍事施設を建設していったのもこれに当てはまるようだ。
わが国に関していえば、尖閣諸島の国有化を機にロシア、韓国、おまけにアメリカさえも加えて反日統一戦線戦略を仕掛けてきたことは、銃口さえまだ向けてないがまさに一種の戦闘行為だ。
孫子の兵法を現在でも研究し、戦わずして勝つ、つまり他国の領土を奪い取ることを画策し続けている中国は我々日本人には狡猾に映る。
しかし、それこそが国際関係の常識だと著者は説く。嫌な言葉だが、弱肉強食こそが世界の特に中国の国是なのだ。
もちろん日本人が長い歴史で培ってきたお人好しぶりを変えようなんて、無理があるしすべきでもない。
ただ、相手国特にここでは第二次世界大戦中の歴史問題で日本を貶めようとして、
韓国とタッグを組んで従軍慰安婦問題などを突きつけてくる中国に対して毅然とした態度を取らねばいけないだろう。
本書では安倍総理の外交戦略を通して、いかに中国に尖閣だけでなく沖縄を奪い取らせないかを解説している。
戦力でいえば、間違いなく日中戦争が起きたら日本は負けてしまう。となれば、戦闘行為を起こさずに中国の野望を挫く必要がある。
そのためにはアメリカを主体とした各国との同盟を結び、中国大包囲網ともいうべき状況を作って中国を牽制するべきだといえる。
この包囲網はほぼ完成しているが、肝心のアメリカのトランプ大統領が中国の習近平主席にいいように懐柔されている感があるため、日本は決して焦るべきでないという。
アメリカが中国と仲が良い時は、それに従うべきだとする。決して短期決戦ではなく長丁場で戦略を進めるべきだとする。
著者のこの提言、まどろっこしいと捉えるか深謀遠慮と見るか。
iPhoneから送信
ログインしてコメントを確認・投稿する