プリで生活していたあるとき、わたしは、父が亡くなったと告げる母からの手紙を受け取りました。わたしはその手紙をマハラジに読み上げました。
彼は、「まあ、君はブラフマチャーリなのだから、別に世間の慣習に従う必要はないよ」
とおっしゃいました。
(伝統的にヒンドゥー教徒は、このような場合、食べ物やその他に関しての様々な規則といった――特定の慣習を遵守することを義務として考えており、
その地で寝泊まりし、母や姉妹、または身内が調理した食事を取ることになっています。
そして特定の日数の間、日に一度だけ食事をとるのです。
しかしマハラジはわたしに、このようなしきたりを守る必要はないと仰ったのです。)
しばらくして彼はわたしに、
「寺院からプラサードをいただきなさい」
とおっしゃいました。
そしてその後にマハラジは、ご自分のプラサードをわたしに下さると仰ってくださいました。
そして、もう一つ言及すべきことがあります。
父の訃報を受け取った日の前日、マハラジはとても哀れみ深い眼差しでわたしを見つめていらっしゃいました。しかし、そのときのわたしには、なぜマハラジがそうされたのか分かりませんでした。
のちに私は、その時刻はわたしの父が亡くなった時刻であり、そしてマハラジが父に解放をお与えくださっていたということを知るに至ったのでした。
父の訃報を受け取った二、三日後、マハラジは突然わたしを見て、こうおっしゃいました。
「どうして君はまだここにいるのだ! 早くお母さんに会いに行ってあげなさい!」
こうしてマハラジは出発の手配をなさいました。
わたしがまるで何も知らない小さな子供であるかのように、マハラジは彼の秘書に、寺院のプラサードを手に入れさせ、わたしのためのチケットを購入させて、その上さらに、わたしを列車に乗せてくれたのです。
そして実家に着いたとき、わたしは、マハラジが送り出してくださった目的を明確に理解しました。
わたしが家に帰ると、母は、深い悲しみが消え、わたしの兄弟、姉妹、母親――すべての者が至福の流れを感じたと話してくれました。
マハラジはわたしを通じて、彼女たちに何かを授けてくださったのでした。
わたしは実家からカルカッタへ向かい、そこでスワミ・プレーマーナンダにお会いしました。
彼はこうおっしゃいました。
「よく来てくれたね。ところで、君にはスワミ・サーラダーナンダのアシスタントとしてここに滞在してほしいのだが。」
わたしは同意しました。
スワミ・サーラダーナンダはシュリー・ラーマクリシュナの直弟子の一人で、その当時、ラーマクリシュナ・ミッションの事務総長でありました。
スワミ・プレーマーナンダはこうおっしゃいました。
「われわれは年を取っているので、君たちのような人々――つまり君ら少年たちがこの仕事を担っていかなければならないのだ。そのためにも、君は学ばなくてはならないよ。」
こうしてわたしは、カルカッタからベルル・マトへ向かったのでした。
そこでわたしはマハラジから、「君がこの手紙を受け取ったら、すぐにプリに来なさい」という便りを受けとりました。
よってわたしは、またカルカッタに戻り、スワミ・プレーマーナンダにその手紙を読み上げました。
スワミ・プレーマーナンダはこうおっしゃいました。
「わたしは行きませんと、彼に返事を書きなさい。」
「そんなことはできません!」
「なに? わたしに従わないつもりか?」
「マハラジに従うのか、もしくはあなたに従うのかとなると、わたしはマハラジに従わなければなりません。」
すると、スワミ・プレーマーナンダはこうおっしゃいました。
「何だって!? 君はわたしに背くのか! わたしの目の前から立ち去りなさい。もう勝手にするがいい!」
彼はわたしへの偉大な慈悲によって、わたしに従ってほしいと願っておられました。
それからわたしは、町へ少し買い物をしに行きました。
わたしが帰ると、数名の少年たちがわたしに言いました。
「二階に行ってください。スワミ・プレーマーナンダがお待ちです。」
そうしてわたしが彼の元へ行くと、彼はわたしのためにいくらかの菓子と飲料水を持ってきてくださいました。
そしてわたしに菓子と飲み物を勧めると、
「わたしの事を怒っているかね?」
と、おっしゃいました。
「どうしてわたしがあなたに腹を立てることがありましょうか?」
「ああ、わたしは君を叱りつけたのだよ。」
「あなたの叱咤は、祝福であります。」
そのようにわたしは言いました。
わたしは本当にこのように感じていたのです。
それから彼はおっしゃいました。
「そうか。君はマハラジの元へ行きなさい。われわれには君のためのいくつかの計画があったのだが、今は、マハラジが君のために、ある他の計画をなさっているということに気付いたのだ。
しかし、君と会うのはこれが最後になるだろう。」
(実際、それは本当になりました。)
彼はわたしに、プリの寺院の聖水をいくらか送るようにと頼まれました。プリに到着した朝、わたしがマハラジの御足のもとに座ると、彼はわたしに
、
「スワミ・プレーマーナンダの具合はどうかね?」
と、尋ねられました。
わたしは、彼が未だ重い病を患っていらっしゃると伝えました。
そしてマハラジは、スワミ・プレーマーナンダが人々から受け取った不浄な食べ物を食べていたことが、いかに愚かなことだったかを語りました。――かつてシュリー・ラーマクリシュナは、スワミ・プレーマーナンダが非常に純粋であったために、彼にけがれた食べ物を口にしてほしくないと思っていらっしゃったのに、彼はそれに背いてしまったのです。
マハラジはこれについて小一時間、話し続けられました。
そして、彼はわたしにこのように尋ねられました。
「彼になにか頼み事をされたのでは?」
「はい。彼はわたしに、こちらの寺院の聖水をいくらか送ってほしいと頼まれました。」
そのとき、マハラジの雷が落ちました!
「何だって!? 君はこんなにも長い間、それを黙っていたのか?
あのような聖者がたったそれだけの僅かな事を君に求めたというのに、君は黙っていたというのか?
彼がどれほど偉大であるのか、君には分からないのか?
もし彼がある一つの方向を見れば、その方向のあらゆるもの、あらゆる存在が浄化されるのだよ!」
そしてマハラジは彼の秘書に、寺院から聖水を持ってきて、直ちにスワミ・プレーマーナンダに送るよう頼まれました。
その後、しばらくマハラジの元に滞在した後、マハラジはわたしをマドラスへと派遣されました。
わたしは自分自身の事に対して無頓着だったので、その点に関して、いつもマハラジは、非常に心もとないと思っていらっしゃいました。
ですので、彼は彼の個人秘書に、
「カキナダにいるケーシャブ・ムラティ(信者)に電報を送ってくれ。
そしてこの少年はここから遠くはるばるマドラスまで休まず一気に旅をすることはできないので、彼のところで休息する必要があると言ってくれ。」
と頼まれました。
秘書はこう言いました。
「しかし、彼はたった一人でマーヤーヴァティーからここまで、はるばるやってきたのですよ。」
「ああ、君は分かっていない!」
マハラジはこうお答えになり、電報が送られました。
この紳士は、わたしが三日間、彼の家に滞在できるよう手配してくれました。それから、彼はわたしをマドラス行きの列車に乗せようとしてくれました。
しかし、実はマドラス郵便列車は、普段その駅には止まらなかったのです。
けれども、このマハラジの在家信者の兄弟であるスーリヤ・ナーラーヤンという方は、立法議会において非常に卓越した人物であったので、
彼を通して直接、知事の元へ電報が送られ、そして知事が鉄道の管理者に電報を送り、鉄道の管理者の取り計らいにより、私をマドラスに連れて行くために、マドラス郵便列車が特別にカキナダで停車し、私を乗せてくれたのでした!
このようにしてマハラジは、わたしをまるで小さな子供のように扱われたのでした。
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