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2017年10月13日23:20

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言いたい放題のクルマレヴュー・【4代目スズキ・スイフトスポーツ・その2】

 その1はコチラ右斜め下
 
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 今回のブログでは、ご興味のある方はSNS内のニュース、スズキのウェブサイトを当然お調べになっていることと思うので、クルマ自体の商品説明はほどほどにしたい。

 2017年10月現在、スズキ・スイフトスポーツはスズキアリーナというスズキのディーラーの殆どで試乗車を用意してくれている。スズキにとって、絶対的な自信作のようだ。

 歴代と異なるのはK14Cスイフト初のターボエンジン採用したこと、車幅が3ナンバーサイズになったことである。尤も実を言うと欧州仕様のスイフトは車幅1735mmの3ナンバーサイズである。但しスズキに言わせるとレギュラーモデルとミラーからミラーの寸法はほぼ同寸(2020mm)なので、5ナンバーのコンパクトと遜色なく乗れるはず、とのことだ。この数値ならば嬉しい設定である。

 エンジンに火を入れる。スイフトスポーツ史上初のターボエンジン、果たしてどうなのかと思い、走らせてみた。当初は先代がNAの1.6Lだったため、乗り味はがさついたものになっていないか心配したが、その懸念は良い意味で消し飛んだ。言われなければ、この車がターボ車であると気付く人はそう多く無いのではと思った。何しろスロットルの開度に俊敏に反応してくれる気持ちの好いフィーリングなのだから。

 これにはバレーノと同様、メカニカル的な話になると、ウエストゲートバルブと称する吸気バルブを常時閉じることで、ターボラグを感じさせない構造になっている。つまり

 何時でもブーストを掛けたければ、どうぞ、

というスタンバイ状態になっているので、高い動力性能を手にした。

 だが動力性能に貢献しているのは何もエンジンだけではない。軽量化もある。

〜歴代スイフトスポーツの重量、馬力、加速性能(0−400m)〜

 初代:950kg 115馬力 16.6秒

 2代目:1030kg 125馬力 17.5秒

 3代目:1040kg 136馬力 16.5秒

 そして新型は970kg 140馬力、・・・0−400mは先代以上か?

 加速性能は二玄社『カーグラフィック』など。

となっている。車重は初代に迫る数値を得て、馬力は最大の140馬力だから、動力性能がスペックだけからも相当高いのが窺えよう。ダウンサイジングターボの特徴の強さとしてはRStに負ける。あちらは2000rpm以下からターボが効き始める。しかし絶対的な出力はスイフトスポーツの方が上なので、違和感は無い。ホットハッチというと、往年のホンダ・シビック・タイプRのような高回転にギンギン回し、エンジンをヒャンヒャンと響かせて乗る性格かと思いきや、新型スイフトスポーツはそういうタイプではない。低中回転のトルクで乗るフラットトルク的なクルマである。この点、先代と少し違う。先代はタイプRほど極端ではないものの、回して乗るタイプだったから。

 先代からの乗り替えの方にはここの部分、ちょっと違和感があるかもしれない。それほどイージードライブが可能なので肩透かしを食らうかもしれない。
 
 逆にその分、初めて乗る人には乗りやすく感じられるはず。間口の広いクルマのようだ。

 マニュアルトランスミッションのリスポンスはクロスレイシオ化していて嬉しい設定。6速目はどうせオーバードライブだろうと思ったらそうでもなく、ちゃんとクロスしている。ギア比自体は一足先に出ている新型エスクード・1.4Lターボとほぼ同じだが、ファイナルを落とすことで、スポーティさをアピールしている。操作感も上々。ロー、セカンドにはトリプルコーンシンクロ、サードにはダブルコーンシンクロを採用したというから、100万円台後半のクルマとは思えないほどの力の入れようである。

 〜スイフトスポーツZC32Sのステップ比〜

 ロー〜セカンド:0.566
 
 セカンド〜サード:0.742

 サード〜4速:0.762

 4速〜5速:0.794

 5速〜6速:0.865

 ステップ比は1.000に近ければ近いほど、クロスレイシオになるだけでなく、チェンジした時の回転の落ち込みが少ない。国産スポーツカーのマツダ・ロードスターといえども流石に0.7は越えていない。それだけシフトチェンジをスイフトスポーツは楽しめるクルマと言えるだろう。

 何かに似ている・・。

 と思ったら、私が20代後半に乗ったことのある、フォルクスワーゲン・ルポのGTIに酷似している。あちらは1.6LのNAで125馬力。これに6MTのみの設定。ラフに入れてもスコスコと決まる。ステップ比の数値のデータを持ち合せていないが、感覚的に楽しい。フラットトルクの性格も似ている。室内のクオリティも往時のルポ、現行型のポロに部分的には遂に勝ったか、というほど良く出来ていて似ている。ちなみにルポGTIの日本仕様は1010kgで0−400mで15.9秒だった。新型のスイフトスポーツは全開加速をすればルポGTIをしのぐのは間違いないが、そうした乗り方をしなくても十分快適のはず。

 サスペンションの基本骨格はレギュラーモデルとほぼ同等なのだが、コンチネンタルスポーツコンタクト5のタイヤは上手く路面からの大入力もいなしてくれる。最初の第一撃に全く角が無い。このあたり相当欧州車を研究して来ているのを感じる。タイヤの銘柄を替えたらどう変わるのかはちょっと興味深いが。訊くところでは、スタビライザーは現行型のレギュラーモデルよりも5割ほど上げて硬くし、ダンパーの減衰力のうち、伸び側は故意に下げているという。ただ硬くして限界を高くするだけではない。そんなメリハリをつけたセッティングにしている。路面情報がリアルなのにどうやっても破綻を見せそうにない、それでいて誰が乗ってもコーナーで安定した姿勢で速く駆け抜けられそうに感じるのはそうした理由からだろう。

 走りも何かに似ている・・・。

 と思ったら、以前保有していた初代のトヨタ・ヴィッツRSもそんなセッティングだったと記憶している。2代目以降はトヨタの車格のヒエラルキーから脱出することが出来ず、ヴィッツRSといえどもただの欧州コンパクト的なクルマになってしまったところがとても惜しかった。ヴィッツRSのライバルはフィットでも無く、スイフトスポーツでも無く、身内だった。矢張りトヨタとしては長年の看板車種のカローラをぞんざいに扱えないというお家事情があったのだろう。何しろ初代のヴィッツRS(1.5L)はカローラの1.5Lのセダンよりも少しお安く、0−400mでは16.1秒。何とセリカ、アルテッツァに追いすがる加速性能を持ち合せていた。しかもこちらはレギュラーガソリンでOKである。確かにトヨタのヒエラルキーを崩しかねないポテンシャルがあったのだ。

 しかしスイフトにはそのような柵(しがらみ)はない。だからスズキにとって自信作となった訳である。スイフトスポーツも昔取った杵柄でMT車に再挑戦して乗ろうという人にも悪くない選択肢と言えそうである。勿論女性が乗っても十分楽しめるだろう。寧ろ女性がこの手のクルマに乗るのもなかなかカッコウ良い。

 燃費はエンジン自体がフラットトルクの性格なので、燃費運転も歓迎してくれる。カタログ燃費が16.2km/L。数値的には不利かと思われた。しかし実燃費は至って良好。ブーストを掛けずに走った場合、高速道路では18.3km/L、郊外の現実的な速度で巡航した場合でも14.3km/LでCVT車と比較してカタログ燃費との格差が小さいのも嬉しいところだ。これならばハイオクガソリンといえども実支払額はそれほど大きな負担にならないはず。家族にも「スポーツカーだから我慢して」と言い訳は不要だ。

■ATとMT、どちらが良いのか、迷わせるほどスポーティ

 6AT車にも150km程度に過ぎないが、乗らせていただいた。

 歴代スイフトスポーツといえば、2代目、3代目にはそれぞれ4AT、CVTを用意してくれていたが、国産車としては珍しくMTの販売比率が70%以上である。今度もMT率は高くなりそうだが、新型で家族の事情で仕方なく、ATを選んでもそんなにガッカリさせられことはない、とお伝えしておきたい。ホットハッチは矢張りMTでなくちゃ、と考えていた私としては良い意味で残念なところだ。

 今回はCVTではなく、バレーノにも採用されていた6速ATである。100万円台のクルマに6速ATを採用してしまうのも凄いことだが、ドライブフィール自体はATでもスイフトスポーツのパワフルではなく、トルクフルな性格を理解した上であれば楽しさをそれほどスポイルするものではない。

 考えてみれば分かることだが、シフトチェンジは人力で行なうよりも電子制御なのだから、こちらの方がずっと速いはずなのだ。フラットトルクの性格とはよくマッチしている。

 これがVW/アウディの電光石火の反応をするDSGならば・・・。

 それは言わない約束としておこう。最早スズキはVWと訣別したのだ。DSGの方が良いことくらいスズキだって分かっているはず。それを敢えて6ATにしたのだ。その意気は評価しよう。

 で、肝心のシフトフィールはチェンジした際の衝撃を敢えて隠していない。ボーン、ボーンと注意しているとそれとなく分かるが、上質だ。この感触、バレーノや車格もメーカーも異なるが、マツダ・アクセラの1.5LのNA車とよく似ている。

 スズキには内製のAGSと称する2ペダルMTがある。アルトターボRSに積まれ、フィールはMTの特性を知っている人からすれば、燃費も含めてなかなか良かった。乗ったところではこれが6速になったら、大化けするかも、と思った。それをリファインしたものをソリオに積んでいる。スズキ・アリーナでは「AGS早わかりBOOK」なるものを配布している。簡単に諦めるとは思えないので、これに磨きを掛けて6速にして、次のマイナーチェンジでスイフトスポーツに載せてはどうだろうか?何しろ全店で試乗車をご用意しているスイフトスポーツだ。インパクトはかなり大きいはずだ。

■国産ライバルは身内!?

 スイフトスポーツのシフトフィールは往年のVWルポGTI、シャシの方は初代のトヨタ・ヴィッツRSに優るとも劣らぬ面白いものだった。しかし意外や意外、個人的には同じスズキのアルトワークスの方がシフトフィールで比較したら、ワークスの方が矢張りもっと面白い。これはスイフトスポーツの前後のシフトのストロークが長いせいもあろうかと思う(その代わり、左右のストロークは短めでカチッと決まり、気持ちが良いが)。ワークスにはシフトチェンジした時に、カチッと奥まで決まった、という感触が強い。というよりわざとメカニカルに響かせているのかもしれないが、それがスイフトスポーツには比べてしまうと、という程度なのだが、やや薄いのだ。このあたりが改善されるともっと面白いのでは。

 
 ■このようなクルマを買えるのも最後かも・・・。

 次のモデルチェンジは多分早くて2022年頃だろう。しかしその時にこの手のクルマが売られているかどうかは定かではない。スズキ・スイフトすらスポーツ以外の売上の大半は今やハイブリッドが占めるようになったほどだ。それにスポーツは車幅も遂に3ナンバー化してしまった。ちなみにライバルと目される次期VWポロ(6代目)も3ナンバー化(車幅1751mm)。矢張りダウンサイジングターボエンジンとなり、1Lのターボで95馬力、トルクは17.9キロ(後にチューンの異なる115馬力エンジンも追加予定)だが、スイフトスポーツよりも200kgも重たくて1180kg(欧州仕様)だ。

クルマは代を追うごとに、大きく、重たく、ご立派に、お高くなっていくのは宿命なのだろうか?

 それを思うと、今では軽自動車すらやれ16インチアルミだ、LEDヘッドランプだ・・・と色々とベタベタと調子に乗ってつけていくと、あっと言う間に200万を越えてしまうのだから、スイフトスポーツは貴重な存在だ。何しろ吊るしの値段では200万円以下。ナビは要らないというのであれば、セーフティパッケージとオーディオ、サイドバイザー(雨除けの庇)、ETCをつけて200万円ちょっと。ヘッドランプは勿論LEDが標準だ。

 このような廉価で楽しいクルマに乗れるのも今のうちかもしれない。日本の法定速度を凌駕した速度域で走るような使い方をする方にはとてもお勧め出来ない。しかし日常のスポーティネスをお求めの方にはお勧め出来るクルマのひとつである。ホットハッチは本来マルチパーバスなクルマである。価格もベース車と比較して50万円未満、雨天時には人を迎えに行き、買い物の荷物を積み、休日は家族と一緒に河原へ、帰省の際には追い越し車線に居座って高速道路を疾走、1人ドライブで峠で舞う・・・これらを一台で補えるのだから、その存在意義はもっともっと見直されて良い。4代目スイフトスポーツ、そんな原点を考えさせれる良いクルマだった。

 長い言いたい放題のレヴューを最後までご覧頂き、ありがとうございました。

 (了)

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