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2016年03月26日19:54

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夏目漱石 「三四郎」

おれは漱石の「三四郎」は遠い昔に読んだ気でいた
それが実は未読であったのだ、と昨夜わかった

図書館で借りて来て読み始めたわけだが、冒頭、おんなの話で展開され、
こんなような内容の小説を、何十年経とうが忘れるはずがない、
と思ったからだ

その場面は三四郎が熊本から上京するとき、行きずりの女性に誘われて
旅館で同じ部屋に泊まることになり、経験がある男なら、そこで関係を
持ってしまう成り行きだが、三四郎は煮え切らない。
そして夜が明け、二人は別れる。。

小説ではこんなように描かれている

「三四郎は革鞄(かわかばん)と傘を片手に持ったまま、
空いた手で例の古帽子を取って、只一言、「さよなら」と云った。
女はその顔を凝(じっ)と眺めていた、が、やがて落付いた調子で、
「あなたは余っ程度胸のない方ですね」と云って、にやりと笑った。

(中略)

 別れ際にあなたは度胸のない方だと云われた時には、喫驚(びっくり)した。
二十三年の弱点が一度に露見した様な心持ちであった。
親でもああ旨く言い中(あ)てるものではない。・・・ 」


おれは夏目漱石はユーモア小説とは言っても、かわいた、きれいすぎる、
あまりおもしろみのないよなものだとおもっていたんだ
五十五になって、三十数年ぶりに読む漱石は、
ものすごいもんであるような気がしている

太宰治の印象がきらいだったのが、
四十くらいのときにダザイの本当の面白さを知って衝撃を受けたおれ。
あれ以来の電撃的稲妻を味わうことになりそうだ。





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