mixiユーザー(id:125571)

2016年01月26日11:15

290 view

不味い魚を何とか喰う



大晦日の前日港町の魚屋に大晦日のパーティーで出す寿司の食材を買いに行った。 そのとき棚に白身の魚に浸けて焼くペーストを見つけた。 肉などではステーキに振りかけたり挽肉に混ぜるようなスパイスの粉物を売る大手メーカーのものは時に応じて使っている。 けれど魚の粉物は使う気がしないのだが同じメーカーのプラスチックに入ったペーストをみるとちょっとやってみようか、もし味を出せるならいい魚ではなく安物のあまり美味いとは言えない魚に試してそれで喰えるようなら時々は食卓に上げてもいいと考えた。 

家人が何日か留守をしていた時にこれはいい機会だと思った。 喰えなくとも捨てて勿体ないとぼやかれることもない。 猫がいた時に冷凍のものを解凍してそのまま煮て定期的に食わせていた魚がある。 冷凍の平べったいカレールーの箱に入ったような、おろされて規格どおりの大きさになっている白身のさかなで英語では Pollock  といい、和名は「シロイトダラ」というようだ。 アラスカ沖で獲れるらしい。 もっと小さい長方形に切ってパン粉で絡めて揚げるフィッシュスティックの原料になるものだ。 フィッシュスティックは揚げ物の油の味、それにタルタルソースやケチャップなどで喰うのでそれが味となって消費できるポピュラーなものだ。 けれど身そのものをバターで焼いても美味くはない。 何かで味付けをしなければならない。 塩コショウだけで何とかできるものではない。 ヨーロッパでは鱈が上位にランクされている。 この30年ほどで魚屋に出る鱈のサイズが大きく変わった。 昔は両手を大きく広げてどっしりとしたものをまな板に乗せて切って売っていたし値段も特に高いものではなかった。 それが今では小さくなりそれに比例してというか反比例してと言うか値段が高騰した。 昔は魚というと安いものだったのだが今は肉の値段と遜色のないものだ。 理由は北海の乱獲に依る。 何年か前に北海を取り巻く国で漁と地域、サイズに漁獲量の制限を設けてなんとか凌いでいるものの絶滅は免れたもののサイズも量も上がらないし値段も下がらない。 値段に関してはたとえサイズも量も戻っても下がるとは思えない。 

基本的にはこのやすものの「猫の餌」の原料である「シロイトダラ」も高価な鱈も味と言う点では大きな差はない。 ただ肉の組織が違い火を丁度いいところで止めると歯ごたえ舌触りがそれぞれの特色があるようで、そこでは鱈と「猫の餌」には天地の差が出るようだ。 どちらも焼きすぎ、煮過ぎてしまえば同じことなのだが一番いいところで止めるのがコツだ。 そんな鱈は美味だ。 だから伝統的に欧米では魚料理のレストランでも確固とした地位がある。

シロイトダラはパサパサする。 それをどうするかがコツなのだろう。 だからペーストに浸けてそれを焼いて味を出せばなんとかパサパサでも飲み込めるのではないかと考えた。 往々にして長く咀嚼しすぎるとパサパサの魚肉だけが口の中に残ってしまう。 だから焼きすぎないこと、微かな生が消えたところで止めると焼きすぎた鱈に近いようなものになるのではないか、それならこのディルや大蒜、パセリにドラゴン、ローズマリーやネギをすりつぶして植物性油でパスタにしたものにまぶして焼けばいいだろう。 

自信がないので白米を炊いて大根おろしをつくり魚が喰えなくとも何とかできるようにチコリ菜をバターで炒め塩コショウをしてクリームシェリーを振りかけて蒸し煮にしたものを添えた。 安物のシャドネー白ワインとともに盆を今のソファーに持って行き一人だけのテレビディナーとなったが結果はあながち悪いものではなかった。 それはこのペーストの力なのだろう。 パサパサ感は少し残るが喰えないものではなかった。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年01月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31