mixiユーザー(id:535251)

2015年12月24日10:46

152 view

マルパの生涯(2)


 

第二章

マルパはインドに三度行き、ダルマのために苦難に遭う。
聖なるダルマをパンディタたちとシッダ・グルから受け、それをチベットに持ち帰る。


マルパのインドへの最初の旅

マルパはインドへ行こうと思い、旅に必要なものを集める。
途中で旅仲間に出会い、二人でインドへ旅をする。


 グル・ドグミのもとで勉学に励み、マルパはインドの口語を完全に習得しました。しかしマルパには、グル・ドグミのもとに長くとどまるという縁はありませんでした。そしてマハーパンディタ・ナーローパと他のインドのグルたちとの、善き縁が目覚めるときがやってきました。それゆえ、ジェツンマ・ヴァジュラヨーギニーは、マルパがナーローパに会いに行くように示唆を与えました。

 マルパはこう考えました。
「ナイラートミャーの四つのアビシェーカを完成させるために、このグルのもとに長い間とどまっていたとしても、15頭のドリを布施しなければならない。デーヴィー・エーカジャティーの許可・祝福を受けるには、ヤクかドリを少なくとも一頭、必ず布施しなければならない。私がそのような布施をし、このようにしてダルマを完璧に受けたとしても、私は偉大なパンディタから教えを受けたということはできない。特に、私が『ダーキニー・ヴァジュラパンジャラ・タントラ』を少し見たいから貸してくれと何度も何度も頼んだのに、ドグミは貸してくれなかった。
 このグルが喜ぶほどの多くの布施をして、残ったものを金(きん)と交換しよう。それから両親から私の取り分の遺産をもらって、私はダルマを学びにインドに行かねばならない。」

 マルパは、グル・ドグミが気分を害さないように、持っている富のほとんどをグル・ドグミに与えました。残った物は、馬一頭とチーク材の鞍だけでした。マルパはこの二つを取ると、金を手に入れるために、ラトゥーの北、タクツェの方角へと行きました。そしてそこで、馬と鞍を金と交換しました。
 シラの僧院で、ある学生が、ツァンのキェルプからロキャの君主を招き、スートラを読んでもらっていました。その学生は、その場でそのロキャの君主に十分な布施をしました。ロキャの君主はキェルプに帰る途中にマルパに出会いました。マルパは彼に同行して良いかと尋ねました。ロキャの君主は大いに歓迎しました。彼はマルパに食料と贈り物を与え、ときどきマルパを自分のラバに乗せて休ませてくれました。キェルプに到着したとき、マルパは、この徳ある教師が、精神的な誓約を守っている人だということに気づきました。

 マルパは言いました。

「今私は、ネパールで翻訳について学ぶために、南に行きます。あなたはこの滞在中、私に親切にしてくださいました。もしも私の人生に障害がなければ、どうか私のことを覚えていて、将来私が戻ってきたときに、私を迎えてください。」

 ロキャの君主は言いました。

「私は年老いていて、将来あなたと再会できるかどうかはわかりません。私の子供たちに歓迎させましょう。いずれにしても、将来ここに戻ってきてください。」

 マルパはロタクに行くと、両親に、インドに行ってダルマを学ぶので、富・家・土地といった財産の自分の取り分をぜひ欲しいと言いました。

 両親と親戚たちは皆、言いました。

「翻訳をし、ダルマを学ぶためにインドに行ってどうなるというのだ? ダルマを学びたければチベットでできる。修行したくなければ農場に住んで仕事をしろ。」
 
 彼らは、同様の多くの反対意見を出しました。

 マルパは父に言いました。

「最初、あなたは私に、ここからずっと遠いところにいる、良いグルのところに送り出そうと言いました。インドより遠いところがありますか? 私は必ずそこで良いパンディタのグルを見つけます。」

 マルパは、彼らの反対に耳を貸さずに、彼の取り分としての富・土地・家を取り、そして一軒の家と一か所の土地を除いて、すべてを金(きん)に換えました。このようにして、マルパは旅に持っていく18サンの金を手に入れました。二人の友人がマルパと一緒に行こうとしていましたが、いざ出発となったときに、親戚に説得されて、行かないことになってしまいました。そこでマルパは一人でインドに向けて旅立ったのでした。
 旅の途中、マルパは、連れが欲しいと望みました。すると上ニャンのツィーニーサルというところで、カラクのニュという翻訳者と出会いました。ニュはインドへ行くところでした。
 ニュはマルパに、どこから来てどこへ行くのかと尋ねました。
 マルパは、「ロタクから来て、ダルマを学びにインドへ行く」と答えました。
 するとニュはマルパに、金(きん)をたくさん持っているかと尋ねました。
 マルパが、たった2ショしか持っていないと嘘をつくと、ニュは言いました。

「それではどこへも行けないぞ。金をたくさん持たずにインドに行ってダルマを探すのは、空っぽの瓢箪から水を飲もうとするようなものだ。私は多くの金を持っている。私の使用人になりなさい。そうすれば一緒に金が使えるよ。」

 この関係がどのようなものになるのかわからなかったので、マルパはニュにいかなる教えも請いませんでしたが、一時的な利益のために、マルパは使用人としてニュに同行しました。そして二人は一緒にネパールへと行きました。

10 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年12月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031