とうとうこのニュースが飛び込んできてしまった。
そう遠いことではないだろうと思ってはいたが、いざそのときが来たとなると穏やかではいられない。
水木しげる画伯が天国に召された。
93歳だったという。
大往生だと言えよう。
しかし氏はすでに妖怪の域に達していたのではないか、もしかしたら死ぬことはないのではないか、そんなふうにさえ感じていた。
つい最近まで連載を持っていたくらいである。
江戸川乱歩とともに私にとっては子どものころからのヒーローだった。
ゲゲゲの鬼太郎と少年探偵団によって私の少年時代は彩られていた。
ことに水木氏は同じ調布市在住ということもあってより身近に感じていた。
マンガの中によく知る場所が出てくると嬉しかったものである。
妖怪が姿を潜めて久しい。
かつてはいたるところに妖怪がいたのだろう。
得体のしれない大きな音がしたり、風もないのに蝋燭の火が揺れたり、自分の足音に合わせるように別の足音が聞こえたり、そんなことがよくあった。
科学的な理由をつけるのは簡単だろうが、そうしたことはやはり妖怪のせいだったのだろう。
わけのわからぬ事象に対して名前を付けることで妖怪はその存在を認知されるのだ。
そして今は妖怪よりも人間の方がずっと恐ろしいことをわれわれは知ってしまった。
ひとつの時代が終わりを告げた。
水木氏の死去によりこの世から妖怪はもっと減っていってしまうのではないか。
そんな気がするのだ。
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