「星座」７５号（２０１５年１０月刊、かまくら春秋社）の尾崎左永子さん（同誌主筆）の対談のお相手は吉川宏志さん。特にテーマを設けず両者放談す、みたいな話だが、印象に残ったのは歌会についての次のようなやりとりのくだりだった。
（以下引用）
尾崎：［略］ところで、歌会についてはどう思いますか。
吉川：昔から歌会は欠点を突く場です。でも周囲の反応を意識しすぎると、だんだん欠点のないものを作ろうとして、歌が縮こまってしまいます。
尾崎：確かに技術面が大事にされ過ぎて、心が二の次になってしまうようなところがありますね。
吉川：［略］歌会は弊害がある場合もあるけれど、ちゃんと出ているとすごく上達するんですよ。自分の歌がどのように読まれるのかを知るのは、とても勉強になります。特に最初の頃はなるべくたくさん歌を作って、積極的に歌会に出るといいと思います。
尾崎：歌会に来る人は上手くなるのが早い。自分の歌を詠む力、人の歌を読む力、その両方が養えるからだと思います。
吉川：ただ、歌会ではあまり好評ではなかった歌が、歌集に入ったらものすごくよかった、ということもあります。
尾崎：そうそう。
吉川：だから、歌会の評価が絶対的なものだとは思わないで欲しい。
尾崎：歌会では個性的な歌は嫌われやすくて、上にも下にもいかないような傷のない歌の方が評価されやすいこともありますね。でも傷があっても、いい歌はある。
吉川：歌会の怖さは、だんだん歌会受けする傷のない歌ばかりになってしまうことです。傷があるからこそいい場合もある、ということを理解してもらうのが案外難しいんです。
（引用終り）
このやりとりは二通りの読者を想定したメッセージがまぜこぜになっていてちょっとわかりにくいが、整理すればこういうことだろう。
�＿里魃咾濟呂瓩燭澆覆気鵑悄２硫颪暴个泙靴腓Α�
�△發Σ硫颪暴亟靴譴討い襪澆覆気鵑悄２硫饉�けする歌を出すような安全策はやめましょう！
それぞれに頷いて読んだ。
�，砲弔い董Ｋ佑里気気笋�な経験からしても、まことにしかり、である。歌会に出なくなって、その後、結社誌の誌面からも歌が消えてしまったというひとが何人かいた。歌会に出なくなるのは、他の予定と重なった場合、歌会の優先度を上に置かない、ということが多いようだ。それなら、そのひとにとっての短歌の重要度はそのぐらいのものだったのだから、いたしかたあるまい、というふうにも言える。
�△砲弔い董�これは僕も身につまされて読んだ指摘である。だいたい、褒められようと思って歌会に歌を出すというような根性が、すでに間違っているのだろう。歌会では、他者の作品については極力がんばって読み、自作については思いっ切り恥をかくのがよいのだ。僕も『アルゴン』を編んだ時に、（�顱房�選だけだったらこの歌は落とすよなあ、という歌について、あの時、あの歌会で、大先達のあのお方がこれはとてもいい歌だと意外にも言ってくださった、という記憶がよみがえってきて、それならこの歌は残しておこうと思って歌集稿に入れた歌もあった。（�髻鵬硫颪暴个靴燭蕾燭里海箸笋蕕気辰僂蠅錣�らないと言われて大不評の歌だったが、作者としてはこの歌は残したいという相応の思いがあるのだ、と思って歌集稿に入れた歌もあった。
歌会に出れば、いやおうなしに自作についても厳しい評を聞かされる。それに慣れてしまえばなんということはないのだが、歌会から足が遠ざかる方というのは、えてして褒められたい、あなたの歌はすばらしいと言われたい、というようなお方が多いように思う。わが歌を褒めるヤツは敵と思え、と玉城徹さんは言われていたが、そこまで言わずとも、いつもいつも褒められてばかりでは中毒にかかってしまって先へ行けないだろう。
というわけで、これからも賢く元気に歌会に出ませう！と思ったのでありました。
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