友人が映画『イン・ザ・ヒーロー』のDVD感想をFACEBOOKにアップしていたので、コメントを書きました。その転載です。
映画業界に身を置いたことのある人が、この映画を見ると、ものすごい映画愛を感じてしまうのです。
映画作品を影で支えるスーツアクターに対して、感謝とリスペクトがあればこそ、この作品は誕生したのではないでしょうか。彼らは、顔も写らず、エンドロールだってその他大勢のところで出る程度で、何年続けても決して有名にはなれない仕事をプライドを持ってやり続けています。映画とアクションが好きだからこそ続けられる職業でしょう。
エンドロールで紹介される唐沢が、スーツアクターだった頃実際に出演したシーンが紹介されます。まるでスタントマンなみの数メートルもの高低差から落下するシーンも喜々として演じる役者根性には頭が下がる思いです。
そして唐沢の仲間だったスーツアクターの中には、依然としてスーツアクターを続けているひともいるようなのです。唐沢自身が、この作品に主演して、伝えたかったことは、自分の登竜門となったスーツアクターという仕事への恩返しという意味合いも強かったのでしょう。そして今も頑張っているスーツアクターたちに、劇中同様に夢を諦めないで欲しいとエールを送りたかったのではないでしょうか。
唐沢自身のルーツを辿る本作だからこそ、ラストの殺陣のシーンは気合いが入りました。一部ワイヤーがはいっていものの、数メーターの高さから落下するシーンは、ガチ体当たりの落下です。役者仲間の香川照之をして、なんでそこまでやるかと言わしめたほどの危険な落下シーンに劇中ストーリーにのまま挑んだのも、唐沢の信念と心意気なのだと思います。
●Introduction
特撮作品などで、ヒーローや怪獣のスーツ、着ぐるみを着用し演技をするスーツアクターを題材にしたヒューマンドラマ。25年にわたってスーツアクター一筋の男の姿を、若手俳優との絆やハリウッド映画出演などを交えながら映し出していく。メガホンを取るのは、『EDEN』『モンゴル野球青春記』などの武正晴。『20世紀少年』シリーズなどの唐沢寿明が主演を務める。共演は福士蒼汰、黒谷友香、寺島進ら。作品に命と懸ける者たちの生きざまに迫った熱いストーリーもさることながら、スーツアクター界の内幕描写の数々も興味深い。
下落合ヒーローアクションクラブの社長にして、その道25年のスーツアクターである本城渉(唐沢寿明)。数年ぶりにヒーロー番組の劇場版作品に出演した彼は、一ノ瀬リョウ(福士蒼汰)という人気若手俳優と出会う。ヒーロー番組に敬意を払わないリョウと対立するも、ある出来事を契機に本城は彼と絆を育むように。そんな中、日本で撮影中のハリウッド大作で、落下して炎にまみれながらノーカットで殺陣を繰り出すクライマックスに出演する予定だった俳優が、恐れをなして降板。慌てたスタッフは、本城の評判を聞き付けて出演をオファーする。
[日本公開:2014年9月6日]
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