２日、ゴキブラは、赤井が特設会場でスパーリング対決をする。事の発端は、商店街にある店の前に掲げられた赤井への挑戦看板。ゴキブラスタッフの耳に入り、それが赤井に伝えられ、赤井がその店に取材に行った。その店には、６７歳になる西口さんと言う父さんがいた。赤井の世界タイトルマッチを見て感動したんです、と話し出す。若い頃は、アマチュアボクシングをしており大阪チャンピオン、大学時代には近畿チャンピオンにもなったが、プロには転向せず、大学卒業と同時に就職。ボクシングからは離れていた。赤井が大阪で活躍し始め、ついに世界タイトルマッチに挑戦、お父さんは、その試合を見て感動し赤井のファンとなる。商店街に自分の店を持ち、６５歳を過ぎた辺りから、元からあった赤井と一度でいいからスパーリングがしたい、と言う思いが吹き出るようになる。体力的にもこれが最後だろうと、ついに赤井への挑戦状を書いた看板を店の前に掲げた。そう言ういきさつだった。赤井は事故でボクシングを引退して以来、一度もリングに上がっていない。アマチュアボクシングの指導員の資格を取得し、現代は近畿大学ボクシング部の総監督をしているが、指導が主な仕事。赤井の伝で、近大ボクシング部では元世界チャンピオンの名城氏が指導している。今回のスパーリングも、取り巻きが超豪華。赤井も、お父さんの気持ちを汲んで、スパーリングをOKし、体を作って一ヶ月後にスパーリングをする約束を交わす。お父さんは、井岡ジムに練習に行く事になった。井岡ジムでは、元世界チャンピオンのコーチに直接指導してもらい、井岡会長ともスパーリング。お父さんの身体能力やボクシング能力を測定。そこで発覚したお父さんの恐るべき能力とは、スタミナだった。３分間、打ち続けても息が上がらない。フックとアッパーが特に強いとコーチ。サブロー師匠が下した評価は、赤井が危ない、だった。赤井にはパンチ力があるので、ガードを徹底トレーニング。井岡会長が赤井対策をお父さんに伝授。赤井もトレーニングを開始、近畿大学のボクシング部で、学生に混ざって自分もボクシングトレーニングを開始。現役を思わすようなパンチをバンバン撃ち込むのだが、スタミナは１分しか持たない。１分経つと、電池切れ、急激に動きが悪くなる。コーチから課題はスタミナだと言われる。３分間撃ち続けられるお父さんと１分しか持たない赤井。最初の１分を耐えられると後半、赤井はとんでもない事になってしまう。赤井に暗雲が漂う。そして、スパーリング対決の日を迎えた。ルールは２分２ラウンド、判定無し。レフェリーが雅。仕合の解説はサブロー師匠。雅は実際のボクシングの試合でもカットマンを勤めており、サブロー師匠もジャッジの資格を持っている。対決と言っても判定は無いので、あくまでも公開スパーリング。２人とも歳が歳なので、選手の安全が最優先される。この辺りはボクシングの怖さを良く知っている雅やサブロー師匠がきっちりとコントロールしていた。お父さんの奥さんや娘さんも見学、赤井の家族も来ている。息子さん娘さんは赤井がリングで戦う姿を始めて見るのではないだろうか。奥さんの佳子さんも心配気に赤井を見守っている。お父さんのセコンドには井岡会長が、そして赤井には元世界チャンピオンの名城近大ボクシング部ヘッドコーチが付く。そして、ゴングが鳴る。お父さんは、背が低く赤井に比べてリーチが無いので、中へ入っていく。赤井はジャブで突き放そうとするのだが、これは赤井のスタイルではない。赤井はやりにくそうだ。距離の探りあいから、パンチが交錯、お父さんの狙っていた右ボディが赤井にヒット。そして、２分間の１ラウンド目が終了、この時点で、赤井のスタミナが切れてしまう。２ラウンド目は取れますよ、と井岡会長。雅は、赤井のスタミナ切れを考慮して長時間のインターバルを宣言、それでも、一度切れたスタミナが直ぐに戻る訳ではなく、２ラウンド目が始まると赤井の動きが目に見えて悪くなっている。お父さんのスタミナはまだまだ大丈夫、同じペースでパンチを繰り出していく。赤井は、ロープを背にお父さんを誘うプロのワザを見せ始める。撃たせてカウンターを狙う作戦か、間合いが違うので赤井は終始やりにくそうだった。そして、終了のゴング。お互い健闘を讃えてハグ、赤井のスパーリングを見て佳子さんが泣いていた。いろんな思いがあったようだ。赤井もスタミナ切れだったが、プロのワザで試合を作っていく。この辺りの駆け引きはプロ独特のものだろう。お父さんの熱い思いに赤井が全力で答えたスパーリングだった。赤井はお父さんの腕を上げてリングを一周、観客に挨拶していた。
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