私が三浦友理枝というピアニストを追いかけるきっかけとなった理由のひとつがシマノフスキであることは疑いようがない。
インストア・イベントで実演を聴いて非凡なピアニストであることはわかったものの、リサイタルに出かけてみようと思ったのはシマノフスキがプログラミングされていたからだ。
カロル・シマノフスキ(1882〜1937)、ポーランドの作曲家である。
日本ではまだまださほど知られていないようだ。
後期ロマン派的耽美主義→印象主義+神秘主義→民族主義とカメレオンのように作風を変えた作曲家でもある。ただ一貫してシマノフスキの作品とわかるほど官能的で美しい響きが特徴でもある。
2007年8月のフィリア・ホールでのリサイタルで、友理枝嬢はシマノフスキの初期の作品とともに中期の大傑作『仮面』をプログラムに組み入れた。
私はこの作品が大好きなのだ。
ドビュッシーやラヴェルの印象主義にスクリャービンの神秘性を合わせ異国趣味を加えたような幻想耽美な曲である。
そして極めて難度の高い曲を彼女は見事に演奏した。
持ち前のクリアーな美音と完璧な技巧と清潔感のある抒情性とで。
完全にノックアウトされたのである。
のちに卒論がショパンとスクリャービンとシマノフスキのマズルカについてであったことを知った。
それから後も彼女は積極的にシマノフスキの作品を取り上げている。
いずれも素晴らしい出来だった。
まだまだ日本では知られていない彼の作品を彼女のような人気ピアニストが取り上げるというのはとても意味のあることだと思う。
そして、今年の東京・春・音楽祭の公演でまたまたシマノフスキを取り上げる。
東京都美術館で開催されている「新印象派展」に関連したプログラム。
待ちに待った『メトープ』である。『仮面』と同時期の作品で、勝るとも劣らない傑作。
『仮面』が神秘的な世界だとすれば、『メトープ』は抒情的で音画的な世界。『セイレーンの島』『カリプソ』『ナウシカ』の3曲から成る。
これは楽しみである。
もちろん難曲である。というより、シマノフスキの作品はどれもが超絶技巧を要求される。そのうえ磨き抜かれた音色のパレットを展開し、さらに官能的な音世界を構築しなければならないという点で、とんでもない難曲なのである。
ほかにプログラムされているのはドビュッシーとラヴェル。
ラヴェルは得意の『水の戯れ』と、これまた超絶難曲の『ラ・ヴァルス』。後者では拳で鍵盤を叩く場面を見られる。
ただこのリサイタル、残念なことに平日の昼間なのだ…。
3月24日(火)、14:00〜、東京都美術館講堂。
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_2445.html
休みを取ってでも聴く価値ありですぞ。
その前か後に『新印象派展』を観れば、有意義な休暇になること間違いなし。
http://neo.exhn.jp/
ダメ押しに彼女のメッセージをどうぞ。
一昨日彼女に「メトープやるんですね」と言ったら、「(プログラムに)書いてみただけです。まだまだこれからです」と言っていたが、こんなメッセージを作っていたんだな。これじゃあプログラム変更はありえないな。
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