私は此の短編集が好きで再三、再読している。
作家という人種は多かれ少なかれ不可知論者・・・その正確な定義は棚上げするとして・・・だろうが、政治というクソ・リアリズムの世界の住者でもある此の本の作者が、まさに不可知論者そのものであることに意外な気がする。
しかし、それこそ、政治などに全く関心のない私が此の短編集を愛読する所以だ。
此の本の短編集に通底しているのは、まさに不可知の世界だ。
人の人生にとって最大にして最も深淵な問題は、己あるいは親しきモノの死に相違ないが、此の短編集はなんらかの形において死が直接・間接に潜んでいる。
思えば誰にとっても死ほど不可知なモノはない。
作者の人生史における或る一瞬の魂の飛翔・・・それが作者の「時の時」だったのだろう・・・が死に纏(まつ)わる話であるのは至極当然な気がするし、また私も共感もする。
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