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2014年12月28日05:45

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“クライム・コメディー”という言葉が成立する映画なんてあるのか、と思っていたらここにあった。イギリス映画「フィルス」(2013)。

昔から犯罪映画というものはありました。いつの間にか“クライム・アクション”とか“クライム・サスペンス”と呼ばれています。カタカナにしてカッコつけただけですわ。犯罪映画で、ええやん。この「フィルス」という映画は、まったく意識していませんでした。先日アマゾン・コムのDVDバーゲンを眺めていて、10ドルを切るセール品にこの映画を見つけたため、なんじゃろかと思っていたのです。

なんじゃろかと思った原因は、ジェームズ・バカボン君こと、ジェームズ・マカヴォイが髭面をジャケットいっぱいに出していて、その顔が少し悔しそうなので、“こいつが悔しがるザマを見てやってもいい”と思ったわけです。僕にとって、毎回“ええかっこ”しようとして外している俳優というイメージなので、たまには痛い目に遭わせてほしい。

物語は、スコットランドの警察に勤めるブルース・ロバートソン刑事(バカボン君)が主役です。日本人学生観光客が殴り殺され、犯人を追うことになる。ブルースは警部補昇進を目指しており、仲間たちを見渡しても自分以外に適任者はいないことは明確。ということでこの殺人事件の捜査をリーダーシップを持って行います。しかし…という展開。

見終わっていろいろ読むと、原作が「トレイン・スポッティング」の人だそうで。あのチンピラたちの群像劇を警察内部に移したと考えると未見の方も雰囲気が分かるでしょう。日本公開は昨年11月だそうですが、僕は全く無視していました。監督はジョン・S・ベアード。僕にとってはまさに“無名の監督”です。それがバカボン君を主役に撮った映画だから、ポスターを見たような気はするけどパスしていたのです。

ところが冒頭のセリフ、“スコットランド人はすごい。テレビも発明した”と言われ、調べてみると確かにそうらしいので、そこから乗りました。そして丸出ダメ夫としか思えないバカボン君が、仲間の刑事たちと自分の“出世オッズ”をのたまうあたりで、なかなか面白いやん、となったしだいです。とにかく30分見たら僕の言う意味が分かるはず。

ブルース刑事は妻と娘がいる幸せな家庭を持ち、麻薬漬けの新米刑事(ジェイミー・ベル)や、ボスに色目を使ってとりたててもらっている女刑事(イモジェン・プーツ)などとの違いを強弁します。この“私はあなたとは違うんです”という描き方がとても面白い。ジェイミー・ベルはこの役のせいで“悪い道”にはまって「ニンフォマニアック」の悪い男へと転落したのでしょう。分かる分かる。イモジェン・プーツは、僕がこの映画を見る前に30分ルールでやめてしまった「ミスター・スキャンダル」にも出ているのか。きちんと見直そうかな。

本来僕は、ダメ男がドツボにハマっていく映画を好みません。やはり映画は、さっそうと活躍するヒーローやヒロインを見せて憧れを感じたい。しかし、あかん野郎どもや女たちが、とことんドツボにハマる映画というのも、“あり”ですね。「トレイン・スポッティング」というと確かにタッチは似ているけど、この「フィルス」の方が僕は好きかも。ちょうどテレビドラマ「アオイホノオ」で、学生たちのえーかげんな、つまり青春している人生をカリカチュアされて納得したように、今回の刑事たちの戯画は、まさにツボでした。

気づかずにパスしていて悪かった。こういう映画を輸入して公開しようとした人は偉い。感謝感激でございますわ。けっこうキレイなねーちゃんたち(写真3、左端が監督)も出てくるし。でも15歳未満の人には適しませんよ。成人向けですからね。
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