mixiユーザー(id:6327611)

2014年12月23日13:13

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実に分かりやすく、娯楽映画として楽しめる、ふかさくきんじ監督作「資金源強奪」(1975)。

深作欣二かんとくの名前が、“ふかさくきんじ”と平仮名でクレジットされる映画で、これが僕の大好きな「県警対組織暴力」の2か月後に公開された作品でした。今回テレビ放送分を録画で見ました。主演は北大路欣也、脚本が高田宏治。

物語は、対立する組の親分を鉄砲玉として殺った清元武司(北大路欣也)が、8年の刑期を終えて出所してみたら、かつての女(太地喜和子)は兄貴の国吉(名和宏)に取られているし、組に居場所すらありません。そこでム所仲間(川谷拓三、室田日出男)と共謀して組の親分たちが行っている賭場を襲撃し、売上金を強奪しようと計画する、というもの。この賭場が、琵琶湖の雄琴温泉で行われているあたり、僕には懐かしさ全開。

最初はいつものヤクザ映画かと思ったのですが、途中からヤクザ組織を背景にしたクライム・アクションだと分かりました。そこからマンガみたいな展開が快調で楽しめる。たとえば僕は、大金を強奪した仲間が、リーダーから“一年は我慢して金を使うな”と言い含められているのに、競艇場で大金を使ってアシをつかまれる、というような安易な展開が嫌いです。しかし今回は、もともとダメな男を仲間にした主人公の問題として納得できました。そのダメ男(川谷拓三)がヤクザに捕まり、締め上げられても清元のことは吐かないというあたりもいい。

深作監督が名前の表記を平仮名にした理由は定かには知りません。しかし僕には、“分かりやすい映画を作るときは、こないにするんやでぇ”と言っている気がする。←深作監督は関西弁をしゃべりませんから、僕の印象です。まじめに兄貴と清元との間で揺れ動く太地喜和子には、単に分かりやすいだけではなくて気持ちを感じました。あんさん、こんな男と別れなはれ。あんさんの真情は伝わらへんで。

梅宮辰夫が、組から鼻薬をもらっている刑事役で、若い女房にメロメロというあたりはマンガ的すぎてしらけますが、次々と清元を追い詰めていくところが楽しい。それをかろうじてかわす清元が、さっさと仲間を捨ててしまうあたりもいい。彼らはエクスペンダブルなんですわ。それでいて、清元からブローチをもらったからと職務を忘れて清元に配慮する女性(写真3、誰?)は、いかにも中産階級の悲哀を代弁している。この描き方、好きです。

とはいえ、「県警対組織暴力」が、あの時代の情勢を個々の人物像から切り裂いたのとは訳が違うので、僕は娯楽映画として楽しみましたけど、深作欣二監督作としては評価しません。ふかさくきんじ監督作として楽しむのにはいい。映画は、単なる娯楽だけではないけれど、単なる娯楽映画もいいものだ、ということです。
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