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2014年04月27日22:53

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没後50年松林桂月展＠練馬区立美術館

野口哲哉展の時に貰った次回展覧会のお知らせ。松林桂月・・・う～ん、菊池契月っていう人はいたよね、確か。というくらい印象の薄い名前（実際日本画家の名前って似ていて覚えにくい）、でもチラシの絵は素晴らしい。どうしようと迷っていたら、さくら☆さんの日記。猫の絵もあるって～！ってんで、500円のチケットを金券ショプで半額で買って今日行ってきました。

http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/matubayasi14.html

「日本画家、松林桂月（まつばやしけいげつ／1876～1963）は明治・大正・昭和の3つの時代を生き、数々の名作を残した近代を代表する日本画家です。山口・萩に生まれた桂月は、幼い頃から絵を好み、東京に出て文人画家・渡辺崋山の孫弟子にあたる野口幽谷に師事し、精緻で格調高い表現を学びました。また、親しんでいた漢詩の教養を活かして、詩・書・画の三絶の境地を目指す文人画―南画を描いたことも特筆されます。桂月は、南画の真髄ともいうべき水墨画においては他の画家の追随を許さず、その独特の叙情的な作風は高く評価され、1958年には文化勲章を受章しています。 　本年は、桂月が世を去ってから50年という節目の年に当たります。この半世紀の間に開催された大規模な展覧会は、桂月の没後間もなく門人たちによって開催された遺作展と、1983年に山口県立美術館で開催された「松林桂月―その墨と色彩の妙―」展のみで、近年にはその芸術を通覧できる機会はほとんどありませんでした。そのため、桂月の名も、画も、一部の美術愛好家だけが知るところとなりつつあることが惜しまれます。 本展は、30年ぶりとなる回顧展として、初公開を含む大作、名品で、詩書画の全てに優れた才能を示し、近代にあって水墨画の表現を極めた、桂月の豊かな芸術世界を紹介するものです。」

第一章 1876－1918年　若き日の桂月―師・野口幽谷と妻・雪貞

桂月が画家としての地位を確立する明治後期から大正初期の作品と、師・野口幽谷および妻・雪貞の作品を展示。

「怒濤健鵰」

硬いけれど上手だよねぇ。
師匠の野口幽谷の絵もよかったけれど、最初から惹き込まれました。

荒木十畝や橋本関雪との合作「奇石」はひとつの掛け軸に５名それぞれが石をひとつずつ描いたものなんだけれど、みんなが文字通り切磋琢磨して宝石になったんだなぁと面白く拝見。

桂月は同門の女流画家雪貞と結婚するのだけれど、彼女の絵が実にいいのよ。これはマイミクさくら☆さんもYUKICOさんも書いていて深く同感。画像が見つからなくて残念だったけれど、薔薇や藤、そして「龍髭馬乳」と題したマメ科の植物と葡萄を描いた絵、瑞々しくて繊細で素敵でした。
桂月との合作も夫婦でいて同志という感じですごく良いなぁと思った。
ところで松林というのは妻雪貞の姓。という事は桂月は婿養子だったのかしら。当時女流画家なんて叩き上げでは難しいはずだから名門だったのかな。

第二章 1919―1945年　桂月芸術の最高潮―大正後期から戦前まで―

大正後期から戦前にかけて、次第に調子を高め、最高潮に達する桂月水墨画の世界を堪能。

大屏風「金地山水」は金箔張りの屏風に墨一色で描いた山水図。かな～り下がって全体を見るとなんとまあ美しいパノラマ。うっとりでした。

「葡萄栗鼠」など他の作品もそうだけれど、まっすぐな竹や木の幹と曲がりくねった蔦や枝が絡み合っていて構図がとても複雑で面白く感じた。

着色画の「秋園」は日本画の様々な技法が駆使、集約されていると説明にあったけれど、圧倒される華やかさ、琳派のようでもあった。

でも、何といっても「春宵花影」
おぼろ月夜に淡く照らされた桜が写実的でありながら幻影のようで溜息が出た。輪郭をとらずに描いた花びらを墨の濃淡だけで遠と近、その間にある光と影を表現していて本当に素晴らしい。月の光がおぼろだからこそ儚く浮かび上がる花の形・・・今朝「日曜美術館」で奥村土牛の醍醐の桜を見て溜息が出たけれど、桜ってやっぱり特別な画材。山種のさくら展で見れたら素敵。ん？近美所蔵とあるから近美の常設展で見たことがあったのかな。覚えていない。あれれ、私の目のなんとまあ節穴な事よ。

第三章 1946-1963年　孤高の境地―戦後の桂月―　

戦後の桂月は、画壇の最高権威の一人として活躍し、最晩年まで制作意欲は衰えることなく、厚塗りの日本画が全盛だった当時でも花鳥画、山水画を極め、色彩と水墨の美を探求し続けたとのこと。いやはや、70代から絶筆まで素晴らしいものだった。

「長門峡」

「春宵花影」で光の捉え方がものすごいと思った通り、この絵では太陽にきらきら光る渓谷の水面の描き方が素晴らしい。桂月は、光の画家だ～

「春宵花影」では墨だけなく胡粉を使ったと説明があったけれど、「雨後」でも同様に使っている。こちらでは葡萄に当たった光を胡粉を使って描いている。瑞々しく美しい。

「夜雨」

これに至っては水墨画の境地?!墨の広がりだけで山水の形を表現。夜の雨を感じる！等伯の「松林図屏風」の時のような感動。

でもお茶目な作品もあって
「閑庭」

猫います（笑）桂月自身、花鳥はいいけれど走獣は苦手と言っていて、頼まれて描いた虎の絵はまあまあ上手いけれど勢いがなくて弱々しかった。他の作品と比べると、別人かと思うよなたどたどしさ（失礼）はあるけれど、でも、この猫、なんだかいいです。

練馬美術館、やっぱりすごい。13日から展示替えもあるようで、後期もまた行きたくなりました。6月8日まで。お勧め！

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