名作漫画

漫画の名作は、大人になったかつての子供たちが、後から振り返って評価を決めるケースが多い。だがこれだけ漫画文化が一般に認知された現在では、連載中からこの先何十年も語り継がれるであろう名作が、すでに予見できますな。この作品なんかは、間違いなくそのひとつです。

・乙嫁語り　６巻　作：森薫
相も変わらず精緻な描きこみに溜め息が出る。躍動感あふれるキャラクターと情感豊かに盛り上がるストーリーも極上である。
今回はアクションが多く、いつになく血生臭い展開だ。政府を持たない遊牧民族なら、そりゃこういうこともあるだろう。
双子の結婚式のあたりでは、豊かな自然に恵まれた楽しい生活が描かれていた。「遊牧民はここまで気楽じゃないだろう」と考えていたが、食物が豊富で安心して暮らせる状況では、無理に喧嘩を仕掛ける奴はいないよな。ただし一旦困窮すると、今回のようなことが起こる。まあシンプルで純粋な生き方ではあります。綺麗で理想的な話だけでなく、ちゃんと生臭い現実も見つめている。作者ほどの実力者なら当然だが、そのことが無性に嬉しい。★★★★★