フィンランドの若手指揮者ピエタリ・インキネンと日本フィルによるシベリウスの交響曲全曲演奏会も今日が2回目。
01.シベリウス:交響曲第4番 イ短調 作品63
<休憩>
02.シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43
<アンコール>
03.シベリウス:悲しきワルツ 作品44
シベリウスの交響曲7曲中いちばん地味な曲といちばん人気のある曲のカップリング。
4番で死にたくなっても、2番で盛り上がって帰れるという寸法だ。
4番は極寒のシンフォニー。自己の内面に深く沈潜していくような曲。全編モノローグのようで、総奏は数えるほどしかない。最も暗く地味な作品であろう。しかし、これこそが最高傑作という意見も少なくないようだ。確かに一切の無駄のない傑作と思う。マーラーのオーケストレーションとは対極を行くが、これもまた巨大な室内楽のようである。
シベリウスが意図したかどうかは知らないが、これほど寒さを表現した曲はないのではないかという気がする。第4楽章に入るグロッケンシュピールが唯一明るい音を響かせる。
この曲は弦が上手くないと締まらない。そのあたりはインキネンにぬかりはない。やや暗めの音色だったとは思うが、それが良かったように感じた。さらに金管がとてもよく鳴っていた。
インキネンはとっつきにくいこの曲をおもしろおかしく聴かせようなどとは全く考えていない。ちょっとしたフレーズも歌わせすぎてロマンティックに揺れる傾向はあるが、これはきっと意図的なのだろう。ストイックなアプローチの多いこの曲の演奏に一石を投じたかったのかもしれない。
細部にこだわりながらも、大局的に歩みを進めていくのがインキネンのスタイルだ。
たぬ〜がこの4番をずいぶん気に入ったようだ。
7曲中いちばん人気が高いのが2番である。おそらく演奏機会もいちばん多いのだろう。
しかしいちばんの傑作かというとそうとは言えない。緻密な4番の後ではさらにそう感じる。
第1楽章と第2楽章は素晴らしい。ことに第2楽章の寂寞の表現はまさに孤高を行く。
スケルツォの第3楽章はともかく、第4楽章が少し薄まってしまったのが惜しい。前半に比べるとどうにも緩いのだ。ただし、演奏効果は上がるので、ライヴでは盛り上がる。この第4楽章はもうひとつの『フィンランディア』なのではないかと思っている。
確かに「シベリウスとしては傑作とは言えない」のだが、ほかの作曲家であれば生涯に1曲書けるかどうかの代物だろう。なんだかんだ言いつつ、かなり好きなのだが。
やはり前半は傑作だなと思う。第2楽章は秀演だった。インキネンも慌てず騒がず、堂々とした足取りで音楽を形作る。ところが一転、終楽章ではケレン味たっぷりに盛り上げていく。胸が熱くなるような思いがした。2番の終楽章でこれほど心を動かされたのは初めてだったかもしれない。インキネンは熱いハートの持ち主だ。
弦のソノリティも揃っているし、木管は相変わらず上手い。さらにここでも金管の健闘が光る。
いい演奏だった。
珍しくアンコール。
繊細で美しい『悲しきワルツ』。私はそこに死と乙女を見る。
インキネンはまだ若い指揮者である。名指揮者への道を歩み始めたばかりである。
強烈な個性で魅了するタイプではないが、意外に濃い音楽を作るという印象だ。そのあたり、もしかしたら好悪を分かつのかもしれない。
少なくとも私は彼の振るマーラーやシベリウスは好きである。ってそれしか聴いたことがないのだが。
さて、最終回は来週。
大好きな6番をどう聴かせてくれるのか楽しみである。今日の調子を考えると、大いに期待できそうだ。
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