四季と言ってもヴィヴァルディではない。
だいたい四季をテーマにした曲はヴィヴァルディ以外にたくさんある。
たとえば、グラズノフはバレエ音楽を書いている。
リストのオーケストレーションを手伝ったことで知られるヨアヒム・ラフには11曲のシンフォニーがあるのだが、その最後の4曲はそれぞれの季節をテーマにしたものだ。
ほかにもハイドンはオラトリオを書いているし、チャイコフスキーはピアノ小品集を書いている。
ほかにもいろいろあるだろう。
そもそも今日の内容はクラシックではない。
ニッキ・パロット(Nicki Parrott)はオーストラリア生まれのジャズ・ミュージシャンである。
シンガーであり、ベーシストでもある。しかも、女性。
ウッド・ベースを抱きかかえるように弾きながら歌う姿はなかなかカッコいい。
声は適度にハスキーで、適度にキュート。往年の名歌手とは異なるし、コンテンポラリーな歌手たちともちょっと違う。メロディーをあまりフェイクせず、原曲の良さを殺さない。リズム処理が機敏なあたりは、やはりベーシストだからということもあるのだろう。
だいたいベースを弾きながら歌うというのは大変なことと思う。ベース・ギターではなく、でかいウッド・ベースだからね。
そんな彼女がおもしろい企画を進行させている。
四季それぞれの季節をテーマにしたアルバムをそれぞれの季節にリリースするというものだ。
すでに春『さくらさくら』と夏『サマータイム』はリリースされていて、秋(9月)には『枯葉』が予定されている。
スタンダードが中心だが、ジャズという枠に囚われない選曲になっている。
リラックスして聴ける好盤だ。
有名スタンダードも、今はもうあまり歌われなくなったスタンダードも、彼女のカラーに染められて歌われている。それがまた嫌味がないのだ。
日本語で『さくらさくら』が飛び出すなど、ちょっとした意外性もある。
バックのツボを得た演奏も見事。もちろん彼女のベースもたっぷり堪能できる。
スタンダードをしっかり歌ってくれる歌手はいいね。
秋の『枯葉』の収録曲はまだ発表されていないのだが、秋にちなんだ曲はそれこそたくさんある。
そして、冬がどうなるのか、それも楽しみである。
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