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2010年11月10日23:38

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アール・レスピラン@紀尾井ホール

先日のコンサートで配られていたチラシに興味深いものがあって、いきなり紀尾井に行くことになってしまった。
(ちなみに私は律儀にチラシを持ち帰るタイプである)

アール・レスピランという団体の第25回定期公演。テーマは「息吹き」。

行こうと思った理由は3つある。
ひとつは現代曲が多いので、打楽器が活躍するだろうと想像できたため。最近たぬ〜が打楽器に興味を持っているのだ。もちろん、私も若い頃はドラムを叩いていたので、もともと打楽器は好きである。
次に参加メンバーの中に「河村幹子」という名前を見つけたこと。新日本フィルの首席ファゴット奏者である。先日のメッツマッハー指揮のもとでハルトマンの6番やチャイコフスキーの『悲愴』で見事な演奏を聴かせてくれた美女である。
最後に、日本の作曲家による新作がプログラミングされていて、特に山根明季子女史の作品が予定されていたこと。少し前のTVの「N響アワー」で『水玉コレクションNo.06』という曲を観て、なかなかいい曲だなと感じた。というわけで、頭の片隅にその名前が残っていたのだろう。どうやら今回の新作は『水玉コレクションNo.08』らしいということが、最終的な決断を促したと言える。

01.ラヴェル:序奏とアレグロ
02.ジョリヴェ:7人の奏者のためのラプソディ
03.山根明季子:水玉コレクションNo.08(世界初演)
<休憩>
04.池田哲美:ファーシカル・シグナル(世界初演)
05.マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲

まず開演前に、(あの)池辺晋一郎氏を司会に、山根明季子さんと池田哲美さんでプレトークがあった。新作の内容についてのお話を聞くことができ、良かったと思う。池辺さん得意の駄洒落を生で聞けたのもラッキーだと言えるか?

序奏とアレグロはラヴェルの作品の中でも最高級に美しいものに数えられるものだと思う。ハープ、フルート、クラリネット、弦楽四重奏という編成で、室内楽編成のハープ協奏曲と言えなくもない。ここでハープを弾くのはNHK交響楽団の早川りさこさん。さすがに上手いな。

アンドレ・ジョリヴェの曲はストラヴィンスキーの『兵士の物語』と同じ編成で書かれている。つまり、ヴァイオリン、コントラバス、クラリネット、ファゴット、コルネット(トランペット)、トロンボーン、打楽器という編成。
ジョリヴェというと、独奏フルートのための『五つの呪文』なんかは個人的に馴染み深い。オンド・マルトノ協奏曲や打楽器協奏曲といったユニークな曲も多い。
このラプソディは、呪術的な雰囲気と奇妙な旋律美が微妙なバランスを保っている。ラプソディという曲想がジョリヴェには合っていたのではないかという気がする。
やはりファゴットの河村さんが素晴らしい。
打楽器の扱いはさすがジョリヴェで、視覚的にもおもしろい。

で、お目当ての『水玉コレクションNo.08』である。
編成はヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ピアノというメシアンの四重奏曲と同じ。偶然か?
独特の浮遊感が魅力的な作品だ。「音を視る」ということをテーマに書き続けていると言うだけあって、確かに映像を喚起させるような曲だと思う。ピアノは一貫して拍を数えるように和音を鳴らしていくのみ。そこにほかの楽器が水玉に糸が絡みつくようなイメージの音を奏でていく。演奏時間は12〜3分ほど。
たぬ〜は水の滴に思えたという。滴が落ちて飛沫となって跳ね返るようなイメージか。なかなか上手いことを言う。
高音のフラジョレットを多用したヴァイオリンが印象的。
もう少し大きな編成を期待したていたのだが、これはこれで良いと思う。次作も楽しみだ。

今回は自由席。全体を見渡せるように、とステージ向かって右側のバルコニーに座ったのだが、後半は編成が大きいので2階席の中央に移動した。

池田さんの作品を聴くのは初めてである。寡聞にしてお名前も知らなかった。
弦楽四重奏+コントラバス、7つの管楽器に、奏者2人を要する打楽器という編成。「笑い」をテーマにした作品だという。1回聴いただけではイメージを掴みにくいが、それでも比較的聴きやすい音楽ではないかと思う。マリンバの響きが特徴的で、十分楽しめた。

フランク・マルタンの曲は昔LPで持っていた作品集に入っていたような気がするが、記憶に残っていない。7つの管楽器とは、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーンである。
あ〜、何となく聴き覚えがあるかも、という気がした。
マルタンの曲は決して聴きにくいタイプの音楽ではない。むしろユニークな編成の中に豊穣とした世界が見えるのが特徴だ。
どうしてもファゴットの河村さんを追ってしまう。柔らかで深みがあり、ときとして鮮烈。見事である。

非常に内容の濃いコンサートだった。
ただ、このプログラムをおもしろいと思うかどうかは大きく分かれそうだ。
実際、空席が目立った。おそらく半分も入っていなかっただろう。
このあたりは日本の音楽シーンの課題と言えるのかもしれない。
もっとも、私も河村幹子さんに惹かれて行ったのだから、偉そうなことを言えたものではないが。。。
ってオチを付けてどうする。
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