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2010年10月17日22:49

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将来有望、というかすでに大物感あり

気になっていたヴァイオリニスト、南紫音(みなみ・しおん)のCDを聴いた。
ずっと気になっていたのだ。
先日イープラスから「南紫音サポートクラブ」なるものの案内が来ていて、登録すると優先でチケットをゲットできるなど、いろいろ特典があるらしい。メルアドの登録だけでいいらしいのでとりあえず登録してみた。
まずは直近では無伴奏のリサイタルが対象となるようだ。無伴奏は魅力的だ。しかも、バルトークがプログラミングされているではないか!

時期が来たのかな、と思いCDを聴いてみることにした。
すでに2枚リリースされている。デビュー盤と、今年春にリリースされた『Bloom』というアルバム。どちらも本格的なプログラムだ。アイドル奏者にありがちな名曲集ではない。
2枚で取り上げている大曲は、、、

モーツァルト:ソナタ第43番
プロコフィエフ:ソナタ第1番
イザイ:無伴奏のためのソナタ第4番(以上1st収録)
リヒャルト・シュトラウス:ソナタ
サン=サーンス:ソナタ第1番(以上2nd収録)

どうだ、かなり骨っぽい曲ばかりだ。これにいくつかの小品を添えている。

まだ20歳になったばかりだという。1stのジャケットはまだちょっと垢抜けていない感じだが、2ndでの美少女然とした姿にこの線での人気も出るだろうなという気がした。
その見た目に反してのこの選曲。こういう意外性は楽しい。

清々しいヴァイオリンだ。晩夏に立つ涼風のように爽やかだ。
とても好感の持てる音である。高音も決してヒステリックにならず、しなやかで美しい。
モーツァルトは清廉な好演だし、プロコフィエフも的確な技巧で聴かせる。ピツィカートの音色も綺麗だ。聴きものはやはり無伴奏のイザイ。ほかの曲では巧みなピアノにフォローされている部分も感じられたのだが、無伴奏では逃げも隠れもできない。これを丁寧に弾ききった時点で大物の予感がする。
それにしても最近は音の綺麗なヴァイオリニストが増えてきたな。人によっては線が細いと言うのかもしれないが、私にとってはむしろ好ましい。

さらに進歩が窺えるのが2ndアルバムだ。
リヒャルト・シュトラウスはどちらかというと苦手な作曲家である。自己顕示欲の塊。『英雄の生涯』なんて英雄というのは自分のことだというのだから、聴いている途中でバカらしくなってくる。いい曲も書いているが、おおむね苦手なものの方が多い。しかし、若書きのこのヴァイオリン・ソナタはいい曲だ。なんだ、やればできるじゃん、といった印象だ。
まあ、冗談はともかく、世紀末的雰囲気がほんのりと漂う魅力的な曲である。この「ほんのりと」というのがポイントで、彼女の清潔な抒情性と合っているのだ。たぶんあまり濃厚に表情付けしてしまうとドロドロしたものになってしまうだろうと思う。
そして、サン=サーンス。楽章の解釈はさまざまだが、お得意の2楽章構成ではないかと思っている。有名な第3交響曲のように2楽章それぞれが2つの部分に分かれ、事実上4楽章構成ということなのではないだろうか。ライナーを見ると、彼女もそう考えているようだ。サン=サーンスも日本では軽んじられていると思うが、いい曲がたくさんある。これが素晴らしい演奏だ。彼の曲にはどことなくエキゾティックな香りがするものがあるのだが、冒頭のメロディーなんかはそんな雰囲気が良く出ている。ゆったりした第1楽章第2部では魅力的にメロディーを歌わせる。ちょっと崇高な感じのする緩徐楽章もサン=サーンスの魅力のひとつだ。有名な『死の舞踏』にどことなく似たスケルツォっぽい第2楽章第1部もこ洒落た遊び心がある。そしてラストの無窮動風のスピード感は爽快。これはかなりの名演なのではないか。少なくとも私が過去に聴いた中ではベストに近い。
で、箸休め的に収められたドビュッシーの『亜麻色の髪の乙女』とラヴェルの『ハバネラ形式の小品』と最後のクールダウンのように置かれたドビュッシーの『美しい夕暮れ』が思いのほか良い。清楚なコロンの香りが漂ってくるような演奏だ。あるいはすれ違いざまにそこはかとなく香るシャンプーの匂い、だろうか。なんかエッチっぽい喩えばかりで恐縮だが、要は等身大なのだけれど、どことなく品があるというようなことを言いたいのだ。ちょっと儚げなたたずまいもいい感じだ。

彼女の演奏も見事なものなのだが、ピアノの貢献についても触れておかねばなるまい。
2枚通して江口玲氏がピアノを弾いているのだが、このサポートが素晴らしい。彼のフォローなくしてこれほどの仕上がりにはなり得なかっただろう。

笑顔は屈託なさそうだが、澄ましていればなかなかの美人だ。
アイドル的要素十分だが、そういう彼女がこうした骨っぽい曲を演奏するというのが気持ちいい。

先行予約申し込んでみるかな。イザイにバッハにバルトークだよ。特にバルトーク!
なになに、プレミアムシート7000円。。。なぬっ!
センターの良い席確保、サイン付きの卓上カレンダー、終演後のトークイベント招待、だそうだ。
あとは後方のカジュアルシート3000円。
先行予約はこの2種類。
通常は5000円らしい。
トークイベントは魅力的だな。いろいろ訊いてみたいこともある。
お風呂ではどこから洗いますか、とか…。って違うだろっ。
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