新川帆立『離婚弁護士 松岡紬』(新潮文庫)を読みました。
著者は、東大ご出身の現役弁護士にして、作家としてもご活躍です。
タイトル通りに、離婚を専門に引き受けている弁護士の松岡紬が主人公です。30歳前の独身女性です。場所柄は、北鎌倉の縁切り寺として名高い松岡山東衛寺の門前にある弁護士事務所、ということになっています。主人公の松岡紬は東衛寺の住職の子だったりします。
5話からなる連作短編集であり、全部を通して長編と読むべきではありません。というのは、各話ごとに視点を提供する語り手が異なるからです。第1話では、不倫夫との離婚を決意して赤ん坊を連れて寺にやって来た女性の視点でストーリーが進み、当然ながら、主人公の弁護士が離婚を成立させるべく努力します。第2話では、その後、離婚した女性が事務所で働き始め、事務所で調査を担当している元警察官の探偵の視点でストーリーが進み、年齢の離れたDV夫との離婚を望む妻の方も複数の男性と不倫していたりします。
第3話では、主人公の父親である東衛寺の元住職の視点でストーリーが進み、元住職の昔の知り合いの年配女性が大急ぎで離婚を望みます。第4話では、主人公の松岡紬がストーリーを進め、女性同士の同性婚で精子提供を受けて子どもを出産した方の女性が、パートナーの浮気を理由に「離婚」を望むのですが、そもそも、日本の法制度上、結婚していないのは明らかです。最後の第5話では、第1話で離婚して事務所で働いている女性の視点でストーリーが進み、その女性の元夫が病気になって郷里の広島で療養し、休職して給料が大きく減少したので養育費の削減の要求が来ます。
最後に、ひと昔前の離婚をテーマにした小説であれば、短編が5話もあると1-2の短編は離婚を言い出した方がかなり強引に説得されたり、あるいは、離婚を言い出したきっかけに何らかの誤解があったりして、離婚を回避したハッピーエンドに終わるものがあったりしたことと思います。さて、本書に収録された5話の短編やいかに?
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