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2026年04月05日08:04

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藤崎翔『オリエンド鈍行殺人事件』(ハーパーBOOKS+)を読みました

藤崎翔『オリエンド鈍行殺人事件』(ハーパーBOOKS+)を読みました。
著者は、元・芸人にして、現在は人気作家といえます。私は少し前からこの作者は、そのうちに直木賞を受賞するだろうと予想しています。
本書は、特につながりのない短編集であり、短編5話とショートショート5話、合わせて10話を収録しています。収録順にタイトルだけ上げておくと、短編「タイムスリップ・リアリティ」、ショートショート「過保護」、短編「勇者たちのオフ」、ショートショート「猫じゃらしとマイクロチップ、短編「君のためなら死ねる」、ショートショート「流れ星」、短編「ファーブル昆虫記を読んで」、ショートショート「こっくりさん」、短編「オリエンド鈍行殺人事件」、ショートショート「崖」、となります。
すべてのあらすじはパスすることにして、まず、冒頭の短編「タイムスリップ・リアリティ」では、主人公の男性が30歳の大人に成長した状態で、高校入学時の15歳の過去にタイムスリップするというストーリーです。そうすると、仲が良かったと思っていた友人がひどく嫌なヤツに見え、逆に、根暗で無視していた同級生と仲良くなってしまい、もちろん、主人公も新たに仲良くなった友人も、大いに人生が変わってしまいます。短編「勇者たちのオフ」では、RPGゲームの中の登場キャラが、ゲームがオフにされた瞬間から独自の動きをしはじめ、ゲームの中とまったく違った世界が広がります。この2編の短編は今までになかった世界観だという気がします。まあ、私が知らなかっただけかもしれませんが、たぶん、ありえない設定だと思います。
短編「君のためなら死ねる」は超キモかったです。アイドルの推しの最悪のケースではないでしょうか。ショートショート「流れ星」は、本書の中でおそらくもっとも短いながら、私が本書の中でもっとも高く評価する作品です。流れ星に平和の願いを込めたにもかからわず、現実はまったく違った、という結末で、短い、というよりも、わずかに4行3パラで超短いながら、ちゃんとオチもあります。
表題作の短編「オリエンド鈍行殺人事件」はもっともボリュームがあります。遠藤駅と折田駅を結ぶローカル線は各駅停車しかないところからオリエンド鈍行と呼ばれており、9月のある日、土砂崩れによって緊急停止した際、2両編成最後尾に座っていた男のシャツの胸が真っ赤な血で染まっており、何者かによって殺害されているのが発見されます。居合わせた乗客は犯人探しを開始するのですが、名探偵の運転手も不在の車内で犯人が見つかるはずもなく、なぜか事件と無関係な問題ばかり解決されてゆき、最後に、別の殺人事件も解決されてしまいます。
いや、実に見事な小説でした。相変わらず、この作者の作品は私は高く評価しており、繰返しになりますが、ゆくゆくは直木賞を受賞することと想像しています。この著者の新刊の中では、図書館の予約で『お梅は魔法少女ごと呪いたい』を待っているところです。

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