「ドイツ・リートへの誘い」第3回
最終回にしてようやく聴くことができた。
ツェムリンスキー、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンの歌曲を一気に聴けるなんてそうそうない。
特にウェーベルンは。
小林沙羅:ソプラノ
福間洸太朗:ピアノ
01.モーツァルト:すみれ
02.モーツァルト:ラウラに寄せる夕べの想い
03.ベートーヴェン:太鼓は響く!
04.ベートーヴェン:喜びあふれ悲しみあふれ
05.ベートーヴェン:うずらの鳴き声
06.ベートーヴェン:アデライーデ
07.ツェムリンスキー:トスカーナ地方の民謡によるワルツの歌 Op.6
・愛らしいツバメ
・嘆きながら月が昇って来た
・小さな窓よ、お前は夜には閉じてしまう
・私は夜な夜な歩く
・青い小さな星
・私は手紙を書いた
<休憩>
08.シェーンベルク:期待(4つの歌曲 Op.2 より)
09.シェーンベルク:ガラテーア(ブレットル・リーダー(キャバレー・ソング) より)
10.シェーンベルク:鬱蒼と茂る葉陰に守られた下(シュテファン・ゲオルゲの『架空庭園の書』による15の歌曲 Op.15 より)
11.ベルク:私の両目を閉ざしてください(1907年)
12.ベルク:私の両目を閉ざしてください(1925年)
13.ベルク:ナイチンゲール(7つの初期の歌曲 より)
14.ウェーベルン:4つの歌曲 Op.12
・一日が去って
・神秘の笛
・太陽が見えた時
・似たもの同士
15.アイスラー:息子��
16.アイスラー:鬼のお面
17.アイスラー:箴言
<アンコール>
18.ウルマン:どこであなたはその美しさを手に入れたの?
19.シェーンベルク:誘惑
20.ベートーヴェン:君を愛す
予想通りというか、想像以上というか、とにかく凄いリサイタルだった。
この人のポテンシャルというのは底を知らないな。
特にベルクとヴェーベルンはこの世のものとは思えぬ美しさ。
こういう表現主義的な曲は清楚な声で歌われてこそなのだと思う。
彼女の声は清楚で可憐、だがそこに慈愛を感じる深みがある。
しかも声量は豊かで(フィリアでも小さいと感じるほど)、それゆえに声に力がある。
ベルクの『私の両目を閉ざしてください』の聴き比べは貴重。
同じ歌詞にベルクは全く違う曲を付けた。まだ調性感の強い(ハ長調)曲と、十二音の曲。ただ、さすがベルク、十二音なのにエモーショナル。いい曲だと思わせてしまうのがベルクであり、今日の演奏だったと思う。
ウェーベルンの作品12はまだ十二音ではなく無調時代の曲。
4曲の曲集なのに6分くらいか。
その6分のために相当苦労したらしい。今回のプログラムのキモだったようだ。
これはね、ライヴで聴けただけで鳥肌ものだよな。しかもかなりの完成度だったよ。
出かけた甲斐があったというものだ。
ピアノも良かった。
柔らかな音色で伴奏以上のものを聴かせてくれた。
アンコールは本編に入れたかったのだが、楽譜の取り寄せが間に合うか微妙だったので外したという事情があったのだそうだ。
ギリ間に合ったのでアンコールで、ということになった。
ウルマンはユダヤ人で最終的にはアウシュヴィッツで生涯を終わらされた。政治や戦争に振り回された悲劇が色濃い曲。
考えてみれば本編の新ウィーン楽派の連中も戦争に翻弄されたとも言える。そういう意味では本編を補完する重要曲だったのだなと思う。
その後のシェーンベルクはちょっとコミカルな曲で、それまでの重苦しい雰囲気を一掃した。
さらにベートーヴェンの『君を愛す』で幸せな気分でリサイタルをクロージング。
見事だね。
前二回を聴き逃したことが悔やまれる…。
昨年の三浦友理枝ちゃんのドビュッシー全曲演奏会の最終回、フィリアから次のオファーがあって、歌ものだと言っていた。
そのときに、これは絶対沙羅ちゃんとフランス歌曲だな、と話していたのだが、その通りになった。
ちょうど一年後、楽しみだ。
実は沙羅ちゃんを実演で聴いた最初は三鷹のワインセラーだったりする。
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