今日は一年ぶりのゲーテ座。
横浜の港の見える丘公園の近くにある岩崎ミュージアム内の小さなホール。
一時間ほどのリサイタル。もちろんピアニストの三浦友理枝。
実は彼女のときにしか来たことがない。
開場まで外で待たなくてはならないのだが、今日はさほど寒くなくて助かった。
01.ショパン:ノクターン 第8番 変ニ長調 Op.27-2
02.チャイコフスキー:10月 秋の歌、11月 トロイカ、12月 クリスマス(『四季』より)
03.ブラームス:ラプソディ ロ短調 Op.79-1
04.ブラームス:幻想曲集 Op.116
<アンコール>
05.シベリウス:樅の木 Op.75-5
いつもはたいてい満席なのだが、めずらしく今日は空席があった。
日曜ということも影響したのかもしれない。
とはいえ、そんなことは彼女のパフォーマンスに全く影響を与えなかったようだ。
柔らかなタッチで音を紡ぐショパンのノクターンで幕を開ける。
曲想に合うような暖かな音色で弾き通した。
一転チャイコフスキーでは軽やかなタッチで魅了する。
そしてブラームスのラプソディでは激しい打鍵で耳をそばだたせる。
曲によりタッチを変化させているのは明確で、音色のパレットがより豊富になったという印象だ。
ただこの曲はいい曲なのだが、展開がやや強引で唐突のような気がする。壮年期のブラームスらしいとも言えるだろうか。
そのあたりが解消されたのが晩年のブラームスだ。
ブラームスが晩年に遺した曲は全てが名曲だと言える。
ピアノ曲ではこの7曲から成る幻想曲集だろうか。しかし渋い選曲である。
私としては大好きな曲なので嬉しい。そもそも全曲通して弾かれることの少ない曲なのだ。何年か前にアレクサンドル・メルニコフの演奏で聴いたことがあるが、そのときも珍しい選曲だと思ったものである。
激しさと優しさと。
枯淡の境地に達した曲を瑞々しい感性で演奏する。そこに馥郁たる情趣が醸し出されるのだ。
ピアノ・ソロとしてブラームスをまとめて弾くのは初めてのことだ。
彼女の新たな一面を見せてくれたような気がする。
ブラームス晩年のピアノ曲(作品116〜119)には意欲満々のようだから、いずれ聴けることだろう。
ちなみに彼女は作品118の中のバラードをアルバム『MINIATURES』に録音している。
アンコールはこの流れで来たらこれしかないだろうというシベリウス。
クールなリリシズムで魅了する。
秋の終わり、暖炉に火を入れ、来るべき冬を迎える。
そんな情景を思わせるようなリサイタルだった。
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