最後に東京ドームに行ったのはいつだったか、と振り返ってみると、1998年のマライア・キャリー二度目の来日公演だった。二年前の初来日時に比べるとマライアの歌は明らかに衰えていて、さらに席も天空席に近いところでガッカリしたことを覚えている。
1998年というと、SU-METALは生まれていたが、YUIMETALとMOAMETALはまだ生まれていない。
次にドームに来るのが十代の少女たちの公演だなどと想像することは不可能だったろう。
そもそもあのときドームで音楽を聴くことはもうないだろうと思っていたのだ。
人生何が起こるかわからないものである。
BABYMETALの東京ドーム公演2daysも終わってしまった。
台風の影響もあって雨に祟られた二日間だったが、それは些細なことだったかもしれない。
当初は19日のみの予定だったが、追加公演として20日が加わった。
それぞれ「RED NIGHT」「BLACK NIGHT」と題され、二日でひとつのプログラムが完結するというコンセプトは十分に予想できた。ただそれが二日間で二枚のアルバムの全曲演奏、しかも同じ曲は演奏しない、というコンセプトだとまでは想像できなかった。
ネタバレを事前にする必要はないが、初めから二日間の公演であることは告知しておくべきだったのではないか、とは思う。もっとも、二日間満杯にできるかどうかは半信半疑で、チケットの売れ行きを見て実際に「追加」だったのだろうことは察しがつく。さすがに運営もいきなり休日二日間を強行することはできなかったということだろう。
アルバムの曲を二日間で真っ二つに分けたのには批判も少なくない。
どちらかしか観られなかった人は不満も言いたくなるだろう。しかし、持ち歌が増えてくれば好きな曲がセットリストに乗るとは限らない。長く活動すればするほどそういうことは多くなる。
これは仕方がない。
一公演90分程度という短さに対する不満も多い。
しかし、BABYMETALのライヴは以前からそのくらいだ。
MCで引き延ばせば120分くらいになるボリュームである。
もちろんもう少し多くてもいいとは思うが、ノンストップで駆け抜けてしまうのだからこのくらいでいいように感じる。おそらく彼女たちの消耗は相当なものだと思うし、そもそも2時間もやられてはこちらがもたない。
もっともこちらは二日とも行けたので言えることかもしれないのだが。
なんにせよ、最高のショウだった。
これは断言してもいい。
センターステージで場所によって見える見えないの差が大きいといった不満もなくはない。
ただ私はBABYMETALのライヴではその場に居ることに価値があると思っている。歴史が作られる瞬間に立ち会うと言えばいいだろうか。
なのでそうした不満も些細なことに過ぎないと思えてしまう。
BABYMETALは全てに於いてプロフェッショナルである。
SU-METALの声なくしてBABYMETALはありえない。
爆音に負けずノン・ヴィブラートの突き刺さるような、それでいてやや愁いのある歌声は唯一無二だ。
彼女は(現時点では)技巧的な歌手ではない。ただ真っ直ぐにその思いを伝えようとする歌手である。それゆえまだ粗削りだ。つまりまだそのポテンシャルの底を見せていないわけで、そう考えると空恐ろしい気がする。
YUIMETALとMOAMETALのキッレキレのダンスなくしてBABYMETALはありえない。
彼女たちの存在こそBABYMETALにおいて最も斬新なことなのかもしれない。曲を視覚化するという点において彼女たちは必要不可欠なのだ。日本語の曲なのに海外でも受け入れられた大きな要因であろう。
神バンドの超絶な演奏なくしてここまでの成功はありえなかった。
BABYMETALがギミックでないということの裏付けを与えるのが神バンドの存在だ。
フロントの三人に神バンドを合わせてBABYMETALと考えるのも至極自然なことと言えよう。
そしてSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALがそれぞれタイプの異なる美少女であることも忘れてはならない。
ルックスは大切である。ことにBABYMETALのように「見せる」という要素が大きければよけいに。
乱暴なことを言ってしまえば、もし誰か一人でも××だとしたら、ここまで成功したかどうか。
ネット上ではBABYMETALのファンをロリコンと揶揄するコメントも多い。
そういう連中に対しては「ロリコンって言う奴がロリコン!」と子どもじみたことを言いたくなる。
実際のところ彼女たちに性的なイメージは全くない。むしろそうした要素を排除しているようにさえ見える。なので彼女たちを見て「ロリ」と思う連中の方がいかがわしい目で見ているということなのだろうと思う。
極論ではあるが、彼女たちの素晴らしいパフォーマンスを観てしまうと、これでロリコンと言われるのならそれでもいいや、と思えてしまうのだ。
外野には言いたいことを言わせておけばいい。
BABYMETALのファン層は実に幅広い。まさしく老若男女だ。
年配のご夫婦(われわれもそこに入る)、小さな子のいる家族連れ、女子同士、それに海外からのファン。
さまざまな人たちがいる。
そして多くの人がベビメタTeeを着ている。もちろんわれわれもだ。
BABYMETALはメタルである。
BABYMETALはアイドルである。
さらに言うならBABYMETALはロックである。
そしてみんなを笑顔にする極上のエンターテインメントでもあるのだ。
人々をハッピーにするロックやメタルがあってもいい。それこそが今までのロックやメタルの概念に対するレジスタンスであるのかもしれない。
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