昨晩のモイツァ・エルトマンの素晴らしい歌声の余韻が消えぬまま、今日は夕方からフィリアホール。
川久保賜紀によるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会最終回。三年に渡るプロジェクトの完結編である。
川久保賜紀:ヴァイオリン
江口玲:ピアノ
01.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 Op.12-2
02.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第10番 ト長調 Op.96
<休憩>
03.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47 『クロイツェル』
<アンコール>
04.クライスラー:ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
05.クライスラー:愛の喜び
06.クライスラー:美しきロスマリン
柔らかく暖かい音色に魅了される。繊細さとひ弱さは決して同義ではない。そしてヒステリックに響くところが少しもない。
相変わらず立ち姿も綺麗で見栄えもいい。
2番の第2楽章の夢見るような美しさが強く印象に残る。
また、持ち前の繊細な美音がちょっと不思議な10番によく合っていた。10番は地味だけど傑作だと思う。
そしてクロイツェル。
この激しい曲をどう弾くのか注目していた。
柔らかな美音はそのままに、激しさにも不足ない。急き立てられるような切迫感を敢えてざらついた音色で表現する。しかし荒っぽさは全く感じさせない。テンポは比較的ゆっくりめであったとは思うが、むしろ時間が経つのを早く感じた。こういう曲だからこそ要所での美音が強烈な印象を残す。その結果抒情性が際立つことになる。
素晴らしいクロイツェルだった。
イザベル・ファウストもアリーナ・イブラギモヴァもすごかった。しかし彼女は全く異なるクロイツェル像を見せてくれた。
やはり独自の音色とスタイルを持った稀有なヴァイオリニストだな。
江口氏のツボを押さえた演奏もさすがだ。
あの時代はヴァイオリン付きのピアノ・ソナタという側面もある。なので雄弁なピアノでないと魅力半減なのだ。そのあたりに抜かりがあるわけがない。
今回もローズウッドのヴィンテージ・スタインウェイを持ち込んでいた。
初回を逃したのが悔やまれるなあ…。
終演後はまた素敵な笑顔で写真を撮らせてくださった。
賜紀ちゃんの笑顔は殺傷力が高すぎる。
いずれ紹介したいと思う。
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