ステージに物が投げ入れられたことについて物議を醸している。
起こったのは英国メタルハマー誌の各賞の授与式でのパフォーマンス時のこと。
パフォーマーはBABYMETAL+ドラゴンフォース。
「Breakthrough Award」を受賞したベビメタはドラゴンフォースを従えて、『Road of Resistanace』と『ギミチョコ!!』を披露した。
紙コップのようなものが投げ入れられ、さらにチュッパチャップスのようなものも投げられている。
狙われたのはYUIMETALのように見える。
紙コップをのようなものを投げたのは女性だということがわかっている。周りにいた人に「そんなことするな。嫌いなら出ていけばいいじゃないか」というようなことを言われたそうだが、しばらくとどまっていたらしい。酔っぱらっていたという。ドラゴンフォースのファンだとか、受賞できなかったバンドのファンだとか、ベビメタに嫉妬したとか、いろいろな噂が飛んでいるが、いずれも憶測の域を出ていない。
いずれにせよ彼女はすべきでないことをやってしまった。せめて素面に戻って猛省していることを願いたい。
この件では「メタルでは物が飛んでくるようなことはあたりまえ」というコメントも多く見られる。
確かに現実はそうかもしれないが、それを普通だと思ってしまう感覚はやはり異常だと思う。暴力に訴える行為は非難されるべきである。それでパフォーマーがケガでもしようものならどうするつもりなのか。
ベビメタの場合どんなに小さなものでも踏んで足を滑らせればとんでもないことになりかねない。
少なくとも気に入らないものに対して物を投げるというのは文化ではありえない。一般人から見れば野蛮以外の何物でもない。
ベビメタの姫たちが傷ついているかどうかはわからない。
彼女たちがそのことについてコメントすることはないだろう。
しかし、拾いに来たカメラマンにYUIMETALが「Thank you」と声をかけたということに安心する。自分にされた行為を理解したうえでそうした気遣いをできる余裕があったのだ。その心の強さには感嘆するばかりである。
ベビメタはメタル界の悪しき伝統を止めることができるのではないか、そんなふうにも思う。
少なくとも「女の子に物を投げるのはやめろ」という風潮になってきている。女の子に限らず、誰にもやってはいけないことではあるが、最低限の線引きがそこでされたようでもある。
そして彼女たちの礼儀正しさが人の心を打つのではないかと期待している。
彼女たちのお辞儀が綺麗なことは何度も述べている。受賞のセレモニーでも退くときに進行役のスコット・イアンとコンパニオンのおねえさんにきちんとお辞儀をしている。
その姿はとても美しい。海外に行ってもその振る舞いは変わらず、日本人が本来持っている礼儀正しさというものが彼女たちには染みついているのだと感じる。
礼儀とは相手を敬うことでもある。
彼女たちにとってはそんなあたりまえの振る舞いが、野蛮な行為に対する抑止として働くのではないか。そんな期待がある。
さて、問題のあった授賞式だが、微笑ましい場面もあった。
『ギミチョコ!!』の最中にMOAMETALがドラゴンフォースのベーシストを笑わせている。得意の変顔をして見せたのか、小悪魔笑顔を向けたのかはわからない。
そして演奏を終えた後、ステージの前方で全員が手をつないで挨拶をするとき、そのベーシストはMOAMETALとためらいがちにそっと手をつなぐ。そのときの彼を見上げるMOAMETALの笑顔が素敵だ。タトゥーまみれの強面ヤロウを初恋の女の子と初めて手をつなぐ少年のようにしてしまうのだ。
MOAMETALの小悪魔笑顔は殺傷力がかなり高いようだ。
そういえば、最前列にいたコスプレをした二人組の女子(英国人?)のうちの一人が両手で顔を覆っていた。どうやら泣いていたらしい。感極まってしまったようだ。どうもこの二人は熱心なファンのようで、イギリスの公演では必ず見かけるという。きっと早くから並んでいたに違いない。僅か10分少々のライヴのために。
ところで、音楽のジャンルやスタイルによって聴き方が変わるのは当然のことと思う。
クラシックは物音を立てずに静かに聴く。
ジャズではソロが気に入れば曲中でも拍手をする。手拍子があったりもする。
ロック系では合いの手を入れたり歓声をあげたりしてステージと一体になって盛り上がる。
それぞれ良さがある。
私はロック系でもじっくり聴きたいと思う方だが、郷に入っては郷に従えとも思う。
かつて凄い話を聞いた。
なんのときだったか、コンサートの後でみんなでお茶でも飲んでいるときだったか。
その中の一人が、クラシックのリサイタルで演奏が気に入らなかったのでブーイングをして途中で出てきた、と言ったのだ。まるで武勇伝のように得意げに。
その瞬間、私はこいつと知り合いであることを恥ずかしく思った。
もし事実だとするなら、そいつはリサイタルのために集まった多くの人たちの感動をぶち壊しにしたのだ。断じて許されることではない。
そういうことを自慢げに話す精神が理解できない。もしかしたらメタルのライヴで物を投げるよりも暴力的な行為だったかもしれない。
その話については無視を決め込んだのだが、「それはやっちゃいけないことだろ」と言って嫌われればよかったと後悔している。
それ以来必要最低限の会話しか交わさないようにしている。
最低限のルールは守ろうよ、と思う。
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