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2015年06月09日22:43

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斧には気を付けてね

中学生のとき、もし自分がバンドを組むことになったら「Careful With That Axe」という名前を付けたいと思っていた。思っただけで、それっきり忘れてしまっていたが、もしそんな提案をしたらきっと猛反対されただろう。

斧に気をつけろ、なんてバンドがあるかよ!

まあ確かにバンド名としてはいさいさか変であろう。
ただ少なくともこれでベタベタのラブソングを歌うバンドでないことは明らかになるはずだ。

UKロック好きにはもうおわかりのことと思うが、これはピンク・フロイドの曲名からもらおうとしたものである。
『Careful With That Axe, Eugene』という曲で、邦題は『ユージン、斧に気をつけろ』となっている。

友人小野に気を付けろ。
小野ってどんだけ悪いやつなんだよ。

じゃなくて、、、

音楽的支柱だったシド・バレットが抜けて、自分たちの音楽を模索していた時期の作品。サイケデリック・ロックから現代音楽的な作風に転換していた頃の代表作でもある。
シド・バレットはその天賦の才と精神を病んでの隠遁生活から神話的人物に祭り上げられている。確かにロック史上有数の天才だったろう。しかし残ったメンバーの才能も相当なものだったと思う。
結局ピンク・フロイドを世界的なバンドにのし上げたのは残されたメンバーの力によるのだから。

私はこの頃のピンク・フロイドが好きである。
確かに『狂気』は名作である。彼らの数あるアルバムの中で一枚を選ぶとすればこれだろう。
しかしバンドとして最もまとまっていたのは『狂気』より前の頃だったと思うのだ。つまり、それはロックといいうカテゴリーとしては前衛だった時代。

『ユージン、斧に気をつけろ』は一般的なロック・ミュージックというイメージからは遠い。
明確なメロディーがあるわけではなく、ロック・ビートがあるわけではない。ギター、ベース、キーボード、ドラムスが渾然となった音響世界。サイケデリックで不穏な雰囲気を漂わせ、クライマックスではまさに絶叫がつんざく。耳で聴くホラーと言えよう。

この曲はアルバムには含まれていない。
『ピンク・フロイドの道』というコンピレーション・アルバムに収録されているのみである。
しかし、それを上回るライヴ・バージョンが『ウマグマ』というアルバムに収録されている。
『ウマグマ』というのは2枚組のアルバムで、1枚目がライヴ、2枚目が各メンバーのソロ・ワークを収めるという変則的なものである。
そのライヴ盤がすごい出来なのだ。
『天の支配』『ユージン、斧に気を付けろ』『太陽賛歌』『神秘』の4曲いずれもスタジオ・バージョンを軽く超えてしまっている。
キング・クリムゾンがデビューする前に、すでにピンク・フロイドはロックの前衛を走っていた。

ピンク・フロイドの好きな曲を選ぶとこの時期のものが多い。
その中でもそのタイトルに強烈な印象を植え付けられたのが『ユージン、斧に気を付けろ』だったのだ。



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