先週に続いてフィリアホール。
今期の「女神との出逢い」5回シリーズの中で一般的には今回が目玉であろう。
ところがわれわれはついでに聴いてみるかという不届きものである。実際のところ実演を聴くのは初めてなのでちょうどいい機会ではあった。
庄司紗矢香:ヴァイオリン
ジャンルカ・カシオーリ:ピアノ
01.モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第35番 ト長調 K.379
02.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第6番 イ長調Op.30-1
<休憩>
03.ストラヴィンスキー:イタリア組曲
04.ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
<アンコール>
05.シュニトケ:祝賀ロンド
06.シルヴェストロフ:ヴァイオリンとピアノのためのポスト・スクリトゥムより、第2楽章
このコンビですでにベートーヴェンの全集を録音している。
今回のプログラムにもある6番が収録された最新盤を聴いてみたが、しなやかで美しい音色が躍動する良い演奏だった。
私はどうしてもヴァイオリニストには立ち姿の美しさを求めてしまう。
なので姿勢が悪かったり、上体を激しく動かしたりする人は演奏以前に受け付けなくなってしまうのだ。演奏内容とは関係のないことなのだが、こればかりは仕方がない。
なので私の贔屓の川久保賜紀や南紫音は演奏はもちろんだが立ち姿が美しい。
というわけで庄司紗矢香だが、TV等で見る限り心配はしていなかった。
なるほど美しい音を奏でる。
荒っぽくなく丁寧に弾きつつ、適度な緊張感を維持し続ける。
モーツァルトでは軽やかなボウイングが心地よく、ベートーヴェンではぐっと重心を下げてじっくりと聴かせる。終楽章の変奏曲の解釈はごく自然で、緩やかな第2楽章でのメロディーの歌わせ方に品の良さを感じる。
休憩を挟んで、ストラヴィンスキーでは一転シャープな切れ味を見せる。
そしてラヴェルでは繊細な表現で魅了する。ジャズ風の小洒落た雰囲気も十分だ。終楽章の超絶技巧も全く危なげない。
ちょっと神経質なくらい丁寧なカシオーリのピアノも冴えている。
アンコールのシュニトケの曲はとても長い。アンコールでやるような曲ではないのだろうが、メロディーが明確で聴きやすいいい曲だ。
アンコール2曲目のシルヴェストロフという作曲家は初めて聴いた。ウクライナの人らしい。北欧の音楽かと思うようなクールなリリシズムが魅力的だった。
今まで聴いたことのないようなタイプのヴァイオリニストだったように思う。
軽やかなボウイング、当然のことながら奏でられる音も軽やかだ。
そしてそれは音楽の軽さというのとは意味を異にする。
いいコンサートだった。
今期のフィリアのプログラムは充実しているね。
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