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2014年12月11日22:30

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安いのには理由がある

先日MJQを話題にしたときに、格安の組物CDがあることを書いた。
4枚組でアルバム7〜8枚ほど収録されているという代物である。それでだいたい1000円少々といったところだろうか。正規盤1枚と同等あるいはそれ以下の金額である。
とあるレーベル(Real Gone Jazz)からジャズ・ジャイアンツのCDがそれこそ山ほど出ているのだ。

非常に魅力的である。

しかし、安いには安いなりの理由がある。
そのうえで取捨をどうするかは個人の判断。

まず著作権の問題だが、それはおそらくクリアーになっているはず。そうでないとおおっぴらに売ることはできない。
著作権でよく知られているのは、作者死亡時から50年で切れるというものだが、これは死亡時起算という方式による。それとは異なる公表時起算という方式もあり、これは公表してから50年で切れるというものである。
著作権がクリアーになっても当然マスターテープを持っているわけはないから、LPからの盤起こしなのだろう。CDだと50年経過していないので、著作権保護期間ということになるから、音源はLPだろう。
ライセンス契約しているのでは、という人もいるようだが、それでは安価に販売などできないので、誤解と思われる。やはり著作権が切れてパブリックドメイン化(公有化)したLPからの盤起こしというのが正解であろう。これならライセンス料を払う必要がないからだ。

では、次に音質の問題。
LPからの盤起こしというのは決して珍しいことではなく、マスターテープ紛失や劣化していた場合に行なわれることがある。マスターテープの状態によっては盤起こしの方が音がいいということもあるそうだ。
デジタルリマスターという触れ込みについては、揚げ足を取るような言い方になるが、アナログ音源をデジタル化することをデジタルリマスターと言っても嘘ではない。なのでマスターテープからリマスタリングされた音源と思っている人もいるようだが、それは大きな誤りだということになる。
さて、ネット上の情報ではスクラッチ・ノイズが聴こえるという話もある。LP再生時の針の音である。
私が聴いた限りでは明らかにスクラッチ・ノイズと判断できるものはなかった。もともと古い録音なのでノイズがあるのはむしろ当然だから気にならなかったのかもしれない。ただ一箇所音飛びするところがあり、これはおそらく元のLPの傷によるものだと思われる。
またMP3形式のファイルが混在しているという情報もある。きちんと周波数帯を計測すればわかるのだろうが、ざっと聴いた限りではわからない。

さて、それ以外はどうだろう?
できる限り詰め込もうというためか、1枚のアルバムが2枚のディスクに渡ってしまっているものもある。これはPCに取り込むあるいは携帯プレイヤーで聴くという人にはたいした問題ではないだろうが、CDを直接聴くという人にとっては不便であろう。とはいえ、これは安価なので仕方がないと思える範囲。
ここからが問題。
一部曲順が入れ替わっているものもある。曲のリストはオリジナルのままなので、知らなければ気づかない。あるいは、曲のリストが間違っている。
さらに丸ごとカットされている曲もある。これは曲のリストからも外れている。
ネット上の情報だがアルバムと異なる曲に差し替えられている場合もあるようだ。そのレビューによると別アルバムの歌入りバージョンに替わっていたとのこと。
さらにフェイドアウトの処理がされているものもあるらしい。
もうひとつ、曲間のインターバルが短い。
収録時間の問題もあるだろうが、アルバムは形を崩さずに収録してもらいたいものだと思う。

ほかにも盤の反りが大きくプレイヤーで再生できないという報告もある。
問題なかったということも多いようで、それだけバラつきが大きいのかもしれないし、プレイヤーによるのかもしれない。
CDプレイヤーではダメだが、PCなら再生できるという場合もあるようだ。

安いには安いなりの理由がある。

編集の杜撰さから、これからジャズを聴いてみようという人にはかえって勧めにくいものになってしまっているように思う。音質の問題だけならば、試しに聴いてみるのにいいんじゃない、と言えたかもしれないのに。

リスクを認識したうえで取捨するのは自由であろう。
中には入手困難なものが含まれているものもある。
もし買うのであれば、事前にできるだけ確認しておくことをお勧めする。
今は外出先でもネットを見ることができる時代、まずミュージシャンの英語版wikiでディスコグラフィでアルバムのリンクを見る。ここにはたいていトラック・リストと演奏時間が記されている。
これで収録曲の確認をする。ただし、ボーナストラックはもとから収録されていない。そして演奏時間を見る。極端に短くなっているものがあればフェイドアウト処理をされている可能性がある。これらがクリアーされれば、収録内容についてガッカリすることはほぼないと思われる。
ノイズや盤の反りについては買ってからのお楽しみ、である。
盤質や音質についてはAmazonなどのネットでのレビューも参考になる。

これらのことを承知のうえで選択するのはアリだと思う。
誠実さも真摯さも感じられないレーベルであるし、安いから仕方がないと言えるレベルでもないと思うが、ある程度リスクは防げる。
ジジ・グライスという人がいて、この人のアルバムはなかなか入手しにくいので、この格安盤には心惹かれたのだが、3曲も丸々カットされていたので断念した。調べずに買っていたら後悔していたことだろう。

なんにしても消耗品だな。。。

少しずつコツコツ集める。
その方が愛着がわく。
昔まだそうしょっちゅうLPを買うなんてことができなかった頃、買うときには迷いに迷って1枚を選んだ。レコードを買いに行くというのは特別なことだった。そうやって買ったLPは何度も何度も聴いた。そして持っていたLPの全てが宝物だった。

今や正規盤でも安くなっている。
さらに大人買いができるようにもなった。
部屋はCDで溢れかえり(夏に大量に処分したのに…)、その中で頻繁に聴くのはごくわずか。
時代を経るにしたがって、自分と音楽との間の何か大切なものを失ってきてしまったのではないか、そんな気もするのだ。
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