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2012年07月24日21:33

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マウリッツハイス美術館展@東京都美術館展

今日は休みが取れたので、世界一有名な少女に会いに行くことにした。
改装直後の上野の東京都美術館で開催中の「マウリッツハイス美術館展」である。
マウリッツハイス美術館はオランダのハーグにある名美術館。17世紀のオランダ・フランドル絵画の優れたコレクションで知られている。また、オランダで最も美しい建物とも言われているらしい。
現在大規模な改築工事が行なわれていて、だからこそ多くの名品を借りることができたわけだ。

もちろん目玉はフェルメールの見返り美人『真珠の耳飾りの少女』。

http://www.asahi.com/mauritshuis2012/

混むのは間違いない。
なので、平日に休みを取って行くことに決めていたのだが、いつ行くかが問題。
夏休みになったからといって、いきなり子どもが増えるようなものではないだろうが、企業が夏休みに入る時期は避けたい。だとすれば7月のうち、それも火曜か木曜がいいだろうと考えた。
しかも、開館時間(9:30)を狙う。早起きにたぬ〜はご機嫌ナナメ?

上野駅を降りて、西洋美術館の前を通ったときに気勢をそがれた。
「ベルリン国立美術館展」に100人程度並んでいた。開館時間(こちらも9:30)少し前。
ここにもフェルメールが来ているのだ。『真珠の首飾りの少女』、こちらは耳飾りではなく首飾り。

とりあえず、行くだけ行ってみよう、と東京都美術館に向かう。
多くの人が同じ方向に歩いて行く。どうやら目的は同じらしい。
ところが開館したばかりの会場には列が見えない。あれよあれよという間に入場してしまっていた。
中はやはり混んでいたが…。

実はあの娘に会えさえすればいいんだよね。
なので、入館してすぐにあの娘を目指す。
少しでも空いているうちにじっくり観ておいて、あとはのんびり観ればいい。

あの娘のいるところはそこだけ特別なスペース。
最前列で観たい人は列に並ぶ。しかし、立ち止まることはできない。僅か数秒でその前を通過。
ちょっと後ろからでよければ、好きなだけ観ていることができる。その距離は1メートルも変わらない。しかもそこはそんなに人が多くない。
とりあえず、まずは列に並ぶ。10分程度だったか。蛇行した列なので、並んでいる時点で観ることができる。だんだん近くなってくるというのもまたオツなものである。
もちろん、再接近はわずか数秒。
で、後ろに下がってじっくり観る。鑑賞するにはこれで十分。
さほど遠くない(というか、かなり近い)ところにじっくり観たい人のためのスペースを設けていたのはいい措置だったと思う。

美しさや可憐さ、あるいは可愛らしさということであれば、『真珠の耳飾りの少女』を越える作品はたぶんたくさんある。しかし、それだけでは「世界一有名な少女」にはなりえない。この娘が「世界一有名な少女」になったのは、観る者の心にそっと入り込み、その場を動けなくさせるからなのだ。
観る者を捕らえて放さないその瞳、もの言いたげなその唇。
呼び止められて振り返ったのか、思うところあって振り返ったのか、それはわからない。しかし、今まさに言葉が発せられようとするかのようなその唇は何を語ろうとしたのか。どこか悲しげに見える瞳は何を見ていたのか。
想像力を刺激されるのだ。
もちろん、この少女が誰なのか、ということも含めて。
光と影がどうの、色彩がどうの、技法がどうの、というのはその後だ。

フェルメールの作品の多くは観る側が作品世界を覗き見しているような感覚にとらわれるものが多い。観る側はあくまでも別の世界にいる傍観者なのだ。
ところがこの『真珠の耳飾りの少女』は違う。少女はこちらを見ている。こちらに何か話しかけようとしている。そこに絵との対話が成立するのだ。

とにかく実物は違う。写真や画集で見るものとは明らかに異なる。
ひび割れも思ったほど気にならなかった。

私は絵に描かれた女性で最も美しいと思うのが、ムリーリョの『エル・エスコリアルの無原罪の御宿り』とラファエロの『ラ・ヴェラータ』である。これにこの少女も加えなければなるまい。

ここで、最初に戻ってのんびり観ることにする。混んではいるが、そう観にくいということもない。
風景画ではライスダールの作品がよかった。
物語画のブースではフェルメールはほかに1点、珍しい物語画『ディアナとニンフたち』が来ていた。
初期の作品ということだが、緻密さには欠けるかもしれないが、やはりフェルメールらしさの現れた作品だと思う。一風変わったフェルメールということで、やはり一見の価値ありだ。

肖像画のブースであの少女と再会。
列はずいぶん長くなっていた。おそらく20分くらいはかかるだろう。
それを横目にちょい離れたところからじっくり対面。
先にも述べたとおり、離れているといっても遠くないのだ。

名残惜しいが先に進む。

肖像画ではフランス・ハルスの『笑う少年』がいい。
荒っぽいタッチが少年のやんちゃぶりを表現しているようだ。生き生きとしていい。絵に力がある。

静物画は観るべきものが多かった。この頃の絵画技術が相当高度なものであることに驚く。
特にガラスの表現がリアルで凄い。
中でもヴィレム・ヘーダという人の『ワイングラスと懐中時計のある静物』に描かれた焼き魚が美味しそうだったな。
風俗画もなかなかのものだった。
ニコラース・マースの『レースを編む老女』が素晴らしい。画面の質感がこの作品だけ現代のもののように劣化せずに滑らかなのだ。まるで今まさに塗り終わったかのように絵具の匂いが漂ってきそうだった。

ほかはというと、レンブラントの作品がいくつかあったのだが、まあそんなものかな、という感じ。これは完全に私の好みの問題なので、一般的な意見とは異なるだろう。

全48点、企画展として数は少ない方だが、想像以上に見応えがあった。

最後にもう一度少女に会いに行く。
思っていた以上にじっくり観ることができて満足だ。
おそらく『真珠の耳飾りの少女』の前で合計30分くらいはいたのだろう。

朝一を狙ったのは正解だったようで、帰りには入場待ちで長蛇の列になっていた。(お昼前くらい)
いちばん空いているのは夕方らしい。金曜の夜は20時まで開館しているので、そこも狙い目かも。

ついでに西洋美術館の「ベルリン国立美術館展」も観て行こうかとも思ったのだが、そこまでのパワーは残っていなかった。
というより、今日はあの少女と会った余韻を楽しんでいたいということだったのだろうと思う。

まあ、一度は観ておきたい名画であることは間違いない。
東京都美術館の会期は9月17日(月・祝)まで。
その後、神戸市立博物館で公開される。9月29日(土)から1月6日(日)まで。
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