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2011年12月06日23:14

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遠藤真理@オペラシティ・リサイタルホール

発表されたときから心待ちにしていたコンサート。
オペラシティ主催の「B→C」である。バッハからコンテンポラリーへ、というテーマの通り、バッハと現代曲をプログラミングするという条件以外は奏者が自由に選曲できる。つまり、そのときの奏者の本音が出るリサイタルだと言える。

で、今日はチェロの遠藤真理嬢。
ソロにトリオに大活躍の若手才媛である。
共演者はチェロに中木健二氏(+)、ピアノに気心の知れた同僚の三浦友理枝嬢(*)。

01.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番 ニ短調 BWV1008
02.ドビュッシー:チェロとピアノのためのソナタ *
03.デュティユー:ザッハーの名による3つのストローフ
04.藤倉大:Dolphins(2010/2011、チェロ・バージョン)+
<休憩>
05.ウェーベルン:チェロとピアノのための3つの小品 作品11 *
06.ウェーベルン:チェロとピアノのための2つの小品 *
07.リヒャルト・シュトラウス:チェロ・ソナタ ヘ長調 作品6 *
<アンコール>
08.リヒャルト・シュトラウス:万霊節(8つの歌曲 作品10より) *

真理ちゃんらしくガッツリ詰め込んだプログラム。

詳細が発表になる前からピアノは友理枝ちゃんではないかと想像がついた。
現代音楽に強い友理枝ちゃんはB→Cにうってつけである。しかも気心が知れている。選ばない理由を見つける方が難しい。

バッハは溌剌とした若々しい演奏。短調の曲を選んだのに理由はあるのだろうか?
やはりメロディーを歌わせるのが上手い。バッハはカンタービレの作曲家であったことに気付く。厳しさには欠けるが、こういう暖かなバッハもいい。それにしてもずいぶん音に力強さが出てきたようだ。
そろそろ全曲を録音してもいいのではないか。若いときにしかできない演奏を残しておくのも良いことだと思うのだが。

ドビュッシーで友理枝ちゃん登場。
ラプソディックな雰囲気がいい。頽廃的な雰囲気な曲も、美女二人にかかると、清潔な抒情性で魅了する。緩やかな部分での冴え冴えとした空気感は上手いなあと思う。名曲であるのはもちろんだが、奏者のセンスが問われる曲でもあるのだろう。

デュティユーで再びソロ。
特殊奏法がいろいろあって見ていておもしろい。
響きは新しいが、デュティユーらしく手堅くまとまった作品と言える。

日本の若手作曲家、藤倉大という人の曲はよくわからないままに終わってしまったという感じだ。
このあたりが現代曲の難しいところ。
チェロ2本という編成は確かにおもしろかった。真理ちゃんの音がいかに暖かく美しいかが再認識できた演奏でもあった。

今回最大の聴きものはウェーベルンの3つの小品だったと思う。
2時間近いプログラムの中の僅か3分に満たない曲をそう言ってしまうのはいささか乱暴のように思われるかもしれないが、そのくらい素晴らしい演奏だったのだ。
ウェーベルン流ピアニッシモ&エスプレッシーヴォの作品である。
センシティヴな音色と卓越した技巧なくして演奏はできない。さらに徹底的に切り詰めたイディオムの中にウェーベルンは抒情性をも求めている。
書法に無駄がない。それゆえに演奏のほんの少しの瑕も目立ってしまうのだ。
張り詰めた緊張感が心地よかった。大胆にかつ繊細にチェロが鳴る。持ち前の柔らかな音色がリリカルに響く。もしかしたら、聴いていて呼吸をするのを忘れていたかもしれない、と思うほどに集中させてくれた演奏だった。
それに友理枝ちゃんの起用は大正解。クリスタルのような美音が演奏のグレードを上げるのに貢献していた。さすがに上手い。
インターバルなしで、作品番号のない2つの小品へと続いた。こちらはもう少しリラックスした演奏。後期ロマン派的な残滓が感じられる曲。
両曲とも実は「せんくら」ですでに聴いている。そのときも驚かされたが、さらに完成度が上がっている。

リヒャルト・シュトラウス、全盛期の作品には苦手なものが多いが、若い頃の作品はなかなか良い。絢爛豪華ではないシュトラウスは悪くない。
チェロ・ソナタも若書きの曲。知られざる佳品とでも言うべき曲である。
初めて聴いたのは5月のリサイタル。もちろんこの二人。真理ちゃんが気に入ってプログラムに乗せたらしい。「せんくら」では第1楽章のみを披露。
情緒連綿たる世界。チェロもピアノも絡む絡む。これでねっとりまとわりつくようだと閉口してしまうが、清楚な抒情性で聴かせるあたりは彼女たちの個性だろう。

アンコールはシュトラウスの歌曲。
やはりシュトラウスは若いときの作品の方が良い。少なくとも自分には合う。
これも美しいメロディーを持った曲。クールダウンの意味合いもあったか。

充実したコンサートだった。
これだけのプログラム、破綻なく演奏するだけでも大変だろうに、彼女ならではの個性で魅了するのだからたいしたものである。
もともと暖かみのある柔らかな音だったのだが、このごろは力強さも備わってきた。最前列で聴いたというのもあるだろうが、ド迫力だった。低音だと床が震えてるし。。。

サイン会での真理ちゃんは大仕事を終えた充実感からか、いつもよりもテンション高めだったようだ。
「わかってたんですけど、恥ずかしくって、見れませんでした。でもチラッチラッと見てたんですよ」って、ようわからん。
今日は真理ちゃんが主役だから、と友理枝ちゃんはサイン会に出るのを遠慮したとのこと。ま、会えたんだけどね。

彼女たちとは今年はもうお仕舞い。
今年も楽しませてもらった。来年もきっと楽しませてくれるだろう。
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