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2011年08月23日21:57

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ブラウンとローチ

きちんと整理されていないのがいちばんの原因と思うが、うちにはなんのCDがあってなんのCDがないのかすぐには判断つかないことがある。LPで持っていたものと混同してしまうと、ますますわからなくなる。持っていたはずなのに、と思っていたのだが実はなかったということも少なくない。
先日大掃除(実際は中掃除くらいだが)をしていて、意外なものがないことに気付いた。間違いなく持っていたはずだから、リマスター盤が出るとかで処分して、それっきりになってしまったのだろう。というわけで買い直してきた。ちょうどSHM-CDで再発されていた。

クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ・クインテット。

1950年代半ば、ビバップ期のモダン・ジャズの名クインテットである。
ドラマーのマックス・ローチがトランペッターのクリフォード・ブラウン(通称ブラウニー)を誘ったのが始まり。
私がジャズの洗礼を受けたのは彼らの『スタディ・イン・ブラウン』というアルバムによってである。FMで流れているのを聴いて、遅れてLPを買ったのだと思う。中学生になったばかりくらいの頃だったか…。

マイルス・デイビスの中低音を中心にしたリリカルなプレイに対し、ブラウニーはブリリアントな音色でホットかつメロディックなプレイを得意としていた。
神様がいたずらさえしなければ、マイルスとともにジャズ・トランペット界の覇権を競っていたことだろう。というのも、24歳という若さで事故で亡くなってしまうのだ。ジャズ界最大の損失だったとも言える。
それでも少ないながらも録音が残っているのを喜ぶべきだろう。
ブラウン&ローチ・クインテットのアルバム『クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ』、『スタディ・イン・ブラウン』、『アット・ベイズン・ストリート』の3枚は掛け値なしの名作である。(写真左から順に)

ジャズをあまり聴いたことがないという人にこそオススメしたい。ここにはモダン・ジャズのエッセンスが散りばめられている。
インプロヴィゼーションはどこまでもメロディック。ブラウニーだけでなく、メンバー全員がスコアに書いてあるかのようなソロを展開する。ある意味、非常にわかりやすいのだ。
しかし、わかりやすいということと、底が浅いということとはイコールではない。それどころか、彼らの音楽は汲めども尽きぬ泉のようである。

ブラウニーのトランペットはもちろんだが、さらに驚くべきはマックス・ローチのドラミングである。ほとんどの曲にドラム・ソロがあるのだが、これが全く退屈しない。
失礼な話ではあるし、自分もタイコを叩いていたのに言うのもなんだが、ドラム・ソロというのは意外におもしろくないのだ。聴かせるソロを叩く人はさほど多くない。ライヴでその場で聴いているならともかく、録音として何度も聴くとなるとドラム・ソロだけ浮いて聴こえてしまうことが少なくない。
しかし、ローチは違う。それこそドラムが歌っているのだ。真にオリジナリティーのあるドラマーというのはこういう人のことを言うのだろうなと思う。

それにしてもブラウニーの夭折が惜しまれる。
同じ事故でピアニストのリッチー・パウエルも亡くなっている。彼はあのバド・パウエルの弟なのだが、兄とは違うスタイルを築こうとしていた矢先だった。指が動きすぎる兄に対して、訥々とメロディーを紡ぐ彼のピアノはこのグループによく合っていたと思う。テナーがソニー・ロリンズに代わり(前任者のハロルド・ランドもいい奏者だったが)、そのまま活動を続けていれば「黄金のクインテット」とは彼らの呼び名となったかもしれない。

マックス・ローチも2007年に世を去った。
ドラムを始めたころ、彼のソロを聴いて、どうやって叩いているのかわからなかった。今でも彼のドラミングはすごいと思うし、なにより大好きだ。

ブラウニーにとって最良のパートナーがローチであったように、ローチにとってもブラウニーが最良のパートナーだったのではないか。そう、長い生涯を通じて…。
クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ・クインテット、天才二人の短い蜜月。
音楽の楽しさ溢れる演奏に、一抹のほろ苦さを感じるのは、クインテットの行く末を知ってしまっているからか…。

ちなみに、ブラウニーはストリングスを従えたスタンダード集も録音している。また、ニューヨークの溜息と称されるヘレン・メリルのデビュー盤に付き合った録音は名盤中の名盤。
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