今日は新進のピアニスト長富彩嬢のリサイタル。
場所は渋谷松涛のタカギクラヴィアという楽器屋さんの持つサロン。昨日と今日、それぞれAプログラム、Bプログラムのふたつが用意され、都合4回、50席限定のリサイタルである。
レコーディングにも使われた1912年製のスタインウェイが聴けるという貴重なものでもある。
各日10席限定という1日券をゲット。
最新アルバム『リスト巡礼』全曲を中心にしたオール・リスト・プログラム。
リストの時代にはサロンで演奏会を行なうということも少なくなかったろうから、コンサート・ホールでない場でのリサイタルというのもなかなかオツなものかもしれない。
それにしても、さすが生誕200年である。今年はよくリストを聴いている。
プログラムは以下の通り。(*はAプロ・Bプロ共通、+は最新CD未収録)
<Aプログラム、12:00〜>
01.エステ荘の噴水
02.献呈(シューマン)
03.超絶技巧練習曲 第10番 ヘ短調
04.ペトラルカのソネット 第104番 +
05.メフィスト・ワルツ 第1番 +
06.スケルツォーソ *
07.カリヨン *
08.ハンガリー狂詩曲 第12番 嬰ハ短調 *+
09.ラ・カンパネラ *
<Bプログラム、15:00〜>
01.『リゴレット』の主題による演奏会用パラフレーズ
02.愛の夢 第3番
03.ラ・カンパネラ *
04.糸を紡ぐグレートヒェン(シューベルト)
05.スケルツォーソ *
06.カリヨン *
07.ハンガリー狂詩曲 第12番 嬰ハ短調 *+
08.孤独のなかの神の祝福
いい演奏だったと思う。
技巧的な不安はないし、ピアノもしっかり鳴らしている。
ただ、若干一本調子な感は否めないし、力ずくという部分がなくもない。全体的にやや硬いかなという印象だ。それでも光るものはたくさんあるし、若手ピアニストの中でも抜きん出たものを持っているのはわかる。
全体的に技巧的な曲に上手さが出るようだ。『ラ・カンパネラ』は歯切れがいいし、『エステ荘の噴水』はきらびやかだ。超絶技巧練習曲は完璧だったように思う。
逆に『献呈』なんかは妙に素っ気ない。『ペトラルカのソネット』ももう少し豊かな情感が欲しいところか。
そうかと思うとBプロ最後の『孤独のなかの神の祝福』は内省的でとてもよかった。この曲は本当にいい曲だと思う。17分を超える大曲を見事に弾くのだからタダモノでないことは間違いない。
まだ若いしね。まだまだこれからの伸びしろがたくさんあるということなのだろう。
残念なのは、やはり狭いサロンではうまくピアノが響かない。壁が近いので音が反射しすぎるのだ。
現代のスタインウェイとは明らかに音が違うが、コンサート用に作られたピアノということで、やはり本領を発揮するのはホールでなのだろう。
とはいえ、いい経験をさせてもらったと思う。
長富彩嬢は現代っ子という感じだ。
どうやらとんでもない酒豪らしい。ハンガリーに留学していたということから、終演後「トカイワインはお飲みになりましたか」と訊いてみた。すると「飲みましたよ。トカイワインは私にとってジュースでしたね」とのお答え…。恐れ入りました。
ちなみにトカイワインとはハンガリーのいわゆる貴腐ワインのこと。
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