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2011年07月09日23:05

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和漢百物語

待っていた本が刊行された。
月岡芳年の『和漢百物語』である。

江戸末期から明治にかけて活躍した月岡芳年(別名、大蘇芳年)は「最後の浮世絵師」と言われる。そしてもうひとつ「血みどろ絵師」の異名もある。そう、無残絵で知られているのだ。
確かにそれも芳年の個性のひとつだが、一貫しているのは耽美的なところだと思う。どこか刹那的で無常観が漂う。師匠の歌川国芳や同門の河鍋暁斎とは雰囲気が異なるのだ。やはり時代の大きな変わり目ということなのだろうか。そういう点では西洋の世紀末アートと相通じるものがあるようにも思う。

さて、『和漢百物語』は簡単に言ってしまうと妖怪画集である。
百物語と言いつつも実は26点しか描かれていない。
とはいえ、芳年の傑作群であることは疑いようがない。もともと芳年がアンテナに引っ掛かったのは妖怪画家としてだった。
後の『月百姿』のような含蓄の多い画面とは異なるが、若き日の芳年の勢いのある絵が楽しい。
道成寺伝説で知られる清姫のような緊迫感漂う作品もあるが、どちらかというとユーモラスな筆致のものが多い。芳年の懐の深さを感じさせる作品群と言えるだろう。

この本は二玄社というところから「謎解き浮世絵叢書」シリーズとして刊行されている。
なかなか好評で迎えられているシリーズのようだ。

そして既刊の『風俗三十二相』もゲットしてきた。こちらは伝統的な美人画と言えるが、やはり近代的な感覚に彩られてるように思う。最後の作品は洋装の浮世絵というとても珍しいものになっている。
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