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2011年07月08日23:26

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アバドのマーラー

昨日の日記でもほんのちょっとだけ触れたように、昨日はマーラーの誕生日だった。
というわけで、1日遅れでマーラーの話題。。。

マーラーのシンフォニーのCDでいちばん枚数を持っているのは何番だろう?
おそらく、3番、4番、6番、9番のどれかだろう。
つまりこの番号のシンフォニーが特に好きだということなのだろう。

いちばん親しみやすいのは4番だな。
1時間で済むコンパクトさと旋律美。抒情的なファンタジーの世界。もちろん毒も含まれている。
規模が小さい、親しみやすい、と言われつつも、マーラー以外には書き得なかったような名曲である。
すれっからしのマーラー・ファンがさんざん聴きつくした後に戻ってくるのがこの4番あたりなのではないかなどと思ったりもする。
しかし、演奏時間1時間でコンパクトとはどいうことよ、と思ってしまう。
1時間といったら大交響曲、普通なら生涯に1曲でも書ければいい方だ。

この曲は終楽章に入るソプラノ独唱で選ぶというのも手である。
多くの歌手が名唱を残しているということも彩りを添えている。

私にとっての両横綱はこれ。

レナード・バーンスタイン&ニューヨーク・フィル、レリ・グリスト(S)、1960年
クラウディオ・アバド&ウィーン・フィル、フレデリカ・フォン・シュターデ(Ms)、1977年

終楽章で歌われる情景は天上の生活。よって単に上手く歌うだけではダメという厄介な代物。
グリストの歌唱についてはかつて書いたことがあるのでもうやめておくが(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=647098580&owner_id=3696995)、この曲を歌うために生まれてきたかのようなキュートでチャーミングな名唱である。
フォン・シュターデも無邪気な歌を聴かせる。グリストに比べると大人の女性っぽい感じだが、ヴェルヴェットのようだと例えられた美声が素敵だ。ソプラノの曲としてはあまり高い音を求められらないのでメゾでも十分。後にカラヤンに絶賛されることになる神秘的なメリザンド(ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』)や、はまり役のひとつの妹思いだけどちょっと頼りないヘンゼル(フンパーディンク『ヘンゼルとグレーテル』)の原点がここにあるような感じだ。
ほかではキャスリーン・バトル(マゼール&ウィーン・フィル)、エディット・マティス(カラヤン&ベルリン・フィル)、エディタ・グルベローヴァ(シノーポリ&フィルハーモニア管)あたりがなかなかいいと思う。
バーバラ・ボニーやクリスティーネ・シェーファーも良かったような記憶がある。
この曲ばかりは堂々と朗々と歌ってもらっては困るので、名歌手が必ずしも適しているかというとそうとも言えないのだ。もちろん先に挙げた人たちも名歌手であるが、やはり声質の影響は大きいと言えよう。

天使というのは性別が存在しないそうである。
というわけで、バーンスタインがコンセルトヘボウとの新盤でボーイ・ソプラノを起用したのには必然性がある。これは世間で言われるほど悪くないと私は思う。ただ、グリストの名唱と比較してしまうとどうしても分が悪い。演奏はむしろ旧盤を凌ぐほどの濃密な世界を展開していただけに、ここにグリスト級の名歌手を起用できたらと思ってしまうのだ。

さて、アバドのマーラーだが、70年代から80年代にかけての1回目の録音がSHM-CD化された。長らく待っていたのだ。アバドにはベルリン・フィルと2度目の録音、あるいはライヴ盤など、いろいろな盤があるのだが、私はこの若い時代の録音がベストだと思っている。70年代後半から80年代、最も信頼できるマーラー指揮者といえばアバドでありインバルだった。

先に挙げた4番もいいが、ベストは3番だろうと思う。ことに抒情的な終楽章は素晴らしいの一言に尽きる。ゆったりとしたテンポで紡がれる耽美的な音世界。咽び泣くような弦の響きが絶品である。こういうのを聴かされると、さすがウィーン・フィルだなあと思ってしまう。
一方で、シカゴ響を起用した6番もド迫力の名演だ。機能的なオーケストラを得て、珍しくアバドが熱く燃えたのではないかと思うような力の入った演奏である。

マーラーがスタンダードになってから、おもしろい演奏は減ってきたように思う。かつてはどの演奏も個性的だった。そうでなければアピールできなかったのだろうし、マーラー演奏が確立できていなかったのかもしれない。それがスタンダード化してしまうと、とりあえずマーラーでも振っておくかということになるのだろう。レコード会社やホール側の要望もあるのだろうし…。
マーラーに対する指揮者のシンパシーを感じる演奏が少なくなったということだろう。

まあ、なにはともあれ、しばらくはアバドのマーラーに耽溺しようっと。
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