mixiユーザー(id:3696995)

2011年05月27日23:42

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ティナ・ブルックス

無性に聴きたくなることがあるのだ。

ティナ・ブルックス、この名前を聞いてピンと来た人は、相当のモダン・ジャズ・ファンだと思う。
ティナという名前で女性かと思ってしまった人、ごめんなさい。
まあ、どうせクリックしてしまったのだから、見ていってくださいな。

モダン・ジャズの全盛期のテナー・サックス奏者。
ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーンであればジャズ・ファンでなくとも知っている。デクスター・ゴードン、ハンク・モブレーならジャズ・ファンなら知っている。そういう人たちに比べると知名度は著しく低い。
しかし、好きなテナー奏者と言われると真っ先に挙げたくなるくらい大好きなジャズマンである。
実働期間が短く録音も少ないということもマニア心をくすぐるのだが、何よりもその音色とフレージングに魅了されるのだ。リリカルでいてアーシーな感じ。激しくブロウするのではなく、繊細な感じだ。派手さはないが、そっと心に染みる演奏と言えばいいだろうか。

正規のリーダー・アルバムはブルーノートに残した1枚きり。
しかし、その『True Blue』(1960年)は名盤として長く愛されている。確かにモダン・ジャズのエッセンスが散りばめられ、彼のテナーの魅力満載の好盤である。
フレディ・ハバード(tp)、デューク・ジョーダン(pf)、サム・ジョーンズ(b)、アート・テイラー(dr)というメンバーもすごい。ことにハバードのトランペットの鳴りがいい。

実はお蔵入りとなってしまったホントの1stリーダー作もよいのだ。『Minor Move』(1958年)というタイトルで陽の目を見ているが、これもメンバーがすごい。リー・モーガン(tp)、ソニー・クラーク(pf)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・ブレイキー(dr)というこれまたすごい布陣だ。
内容的にはむしろ『True Blue』よりもいいのではと思うこともしばしば。
ことに『Everything Happens To Me』は泣ける。かすれたテナーの音がなんと優しいことか。

アルトのジャッキー・マクリーンとの相性が抜群で、もっと録音が残っていたらと残念でならない。

本名はハロルド・フロイド・ブルックス。小柄だったことからティナという愛称が付けられた。
実働期間は僅か数年。内容が素晴らしいにもかかわらずリーダー・アルバム4枚のうち3枚までもがお蔵入りになるという不運もあった。麻薬に溺れ健康を害し、やがて表舞台からは消えて行き、ついには演奏すらできなくなるほど衰えていく。表舞台から消えて10年、42歳という若さで世を去る。
失意の人生だったろう。人生なんてろくなもんじゃねえ、と思って死んでいったのかもしれない。
彼がいなかったとしてもジャズの歴史は全く変わらなかった。
しかし、彼が残した僅かなものは今でも多くの人の心をとらえているのだ。

溢れんばかりの才能を持ちつつも、その才能を生かしきれなかった男、ティナ・ブルックス。
道端に咲いた小さな花にとても美しいものがあるように、彼のテナーにも耳をそばだたせる魅力がある。
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