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2011年03月30日22:58

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湊かなえ『花の鎖』 (ネタバレなし)

湊かなえの新作『花の鎖』を読んだ。
今いちばん新刊が出るのが楽しみな作家である。
最新作も期待に違わずいい出来だ。昨年は『告白』の映画などで、話題が集中した感があるが、ずっと作品を読んでみると、『告白』はやはり力が入りすぎという印象なのは否めない。
ミステリーとして「割り切れる割り算」にするためにやや強引だったかもしれない。続く『少女』もきれいな割り算になりすぎてしまった感もなくはない。もちろんどちらも秀作であることに異論はない。あくまでも最近の作品と比べてしまうと、ということである。
前々作『夜行観覧車』あたりからミステリー的要素はどんどん希薄になってきている。さりげない日常の中のひとコマを切り取って物語を作っている。もちろんミステリー的な仕掛けはたくさんあって、謎解き的な要素も残っている。しかし、それはやはり技法であり、物語を効果的に語るための手段だと思うのだ。

『花の鎖』は梨花、美雪、紗月という3人の女性が主人公で、それぞれ別の話が語られていく。この3人がどう交錯していくのかというのが最大の興味ということだろう。そのための伏線もいっぱい張られている。
自慢するわけではないが、半分手前で大きな仕掛けはわかってしまった。
それでも興味がそがれることはなかった。つまり仕掛けは仕掛けであって、この作品の根幹を成すものではないということだろう。

ミステリーというと江戸川乱歩や横溝正史、あるいは京極夏彦あたりを好む私にとって、猟奇的な不可能犯罪と驚天動地の大トリックという本格謎解きこそと思うのだが、こういうのも悪くない。

最近世間一般に受けるミステリーと自分がおもしろいと思うミステリーとにギャップがあるようで、世評の高いものでもおもしろくないということが多い。伏線の張り方が雑なのは論外にしても、仕掛けが大きければ大きいほど途中でわかってしまうということもある。
というわけで、あまりミステリーを読もうという気にならないのが実情なのだが、湊かなえの新作は楽しみにしている。あまり量産せずにグレードの高い作品を書き続けてもらいたいものだ。おもしろければファンはいくらでも待つのだから。
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