今年のライヴ初めは珍しくコンサート。
美女で迎える新年というのは継続中。
ソロにトリオに大活躍中のピアニスト三浦友理枝嬢。場所は千葉駅から程近い京葉銀行文化プラザ音楽ホール。なかなかいいホールである。今回はヤマハ主催のリサイタルとのこと。
プログラムは以下の通り。
01.ドビュッシー:月の光
02.ラヴェル:プレリュード(パリ音楽院の初見課題曲)
03.ラヴェル:フォーレの名による子守歌
04.メンデルスゾーン:デュエット(無言歌集より)
05.リスト:愛の夢第3番
06.シューマン:トロイメライ
07.シューマン(リスト編):献呈(君に捧ぐ)
<休憩>
08.ショパン:24の前奏曲
<アンコール>
09.ショパン:夜想曲第20番
10.ショパン:ワルツ第6番『子犬のワルツ』
11.ショパン:幻想即興曲
前半は名曲集といった趣。聴き慣れた曲も彼女が弾くと、凛としたたたずまいで聴き応えがある。ヤマハ主催ということで、聴衆にはピアノを勉強している人が多いのだろうが、彼女の演奏は手本になるのではないかと思う。正確なタッチと、理知的な解釈と、歌心豊かなメロディーの歌わせ方。真似をしろと言われてそうそうできるものではないが、楽譜の再現に留まらないプラスアルファを感じられたはずである。さらにピアノを弾くときの姿勢がいい。
たいてい甘ったるく響くリストの『愛の夢』が凛としつつも切ない名演だったと思う。『月の光』も冴え冴えとした寒色系の演奏。そうかと思えば『トロイメライ』は暖かな音色で優しげなたたずまい。
メインはショパンの24の前奏曲。
CDの演奏も素晴らしいものだが、ライヴはさらにすごい。一気呵成に走り抜けるような迫力がある。ことに終盤の説得力は圧巻である。クライマックスは終曲の24番。強靭な打鍵による低音は一種のカタルシスだ。彼女の低音はどんなに激しくても音が濁らない。その圧巻が24番なのだが、15番の『雨だれ』も強烈で、中間部の左手がもたらす緊張感は尋常なものではない。そうかと思うと、優美な曲ではクリスタルのような美音で情感豊かにメロディーを歌わせる。
40分間、中だるみすることのない緊張感に満ちた演奏である。息をつく間もないというような演奏は好みを分かつかもしれない。しかし、彼女の演奏には「自分のショパンはこうだ」という確信に満ちている。迷いがないのだ。それゆえに説得力を持つ。
彼女の演奏する24の前奏曲は何度も聴いたが、聴くたびに素晴らしいと思える。
いまや数ある名盤の中から彼女のアルバムをイチオシすることに躊躇しない。
今回がオープンな場ではとりあえず弾き納めになるそうだ。足掛け三年プレリュードを聴き続けてきたが、最後に聴けてよかった。これで聴けなくなるのかと思うとちょっと淋しい。
と言いつつも、次はどんなプログラミングをしてくるのか楽しみである。終演後に訊いたところ、現在思案中とのこと。
心身ともに消耗するはずのプレリュードの後に、なんとアンコールを3曲。
幻想即興曲は右手と左手のリズムの微妙なズレをきちんと再現させようとするとえらい難曲となる。彼女はそのあたりを見事に再現させている。美しいメロディーを持つ夜想曲も彼女らしいビターな演奏だった。涙をこらえた哀しみのような雰囲気が心を打つ。この曲はたぬ〜のお気に入り。
さて、彼女はオフィシャルHPの中のDiaryで昨年末に結婚したことを告白している。
めでたいことである。公私ともに充実しているということか。
これからますます演奏に磨きがかかることを期待したい。
というわけで、ささやかではあるがお祝いをお渡ししてきた。
以前から年齢を隠さないこともそうだったが、あっさりと(ただし控えめではあるが)告知してしまうあたり、なんとも彼女らしい。レコード会社に止められなかったのかい、と思うが、どうなのだろう? 彼女をアイドル視するファンには見放されるかもしれないが、実際のところすでにそういうファンは少ないのではないかという気がしている。
音楽一本で勝負。そんな彼女の態度は潔くて気持ちいい。
次は本当にトリプル・コンチェルト。トリオとは10月以来の再会となる。
写真は千葉駅の近くにあったフクロウ交番。
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