これから不定期にオリジナル・カクテルを紹介していきたいと思う。
味をお届けできないのが残念だが、写真で雰囲気を感じていただければ幸いである。
もしバーに行く機会でもあれば試してみていただけると嬉しい。
では、第1回は小さなレディの思い出のために作ったカクテルを。。。
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リル・レディ Li'l Lady Cocktail
1/6 ピーチツリー
1/6 ディタ
1/6 ホワイト・ラム
3/6 グレープフルーツ・ジュース
2tsp カンパリ
上記をシェークしてカクテル・グラスに注ぐ
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ひょんなことで仲良くなった小学生の女の子。毎朝彼女の明るい笑顔に元気をもらっていた。ちょっときつめの整った顔立ちをしていて、おしゃまなところがまた可愛らしい、というような少女だった。その彼女が天に召されたのは昨年11月のこと。
彼女との思い出を形に残しておきたくてカクテルを作ろうと思い立った。
リル・レディのli'lはlittleの短縮形である。
淡い色合いで、フルーティーなもの。それが当初からのコンセプトだった。
グレープフルーツの瑞々しい果汁(当然搾ったもの)を全体の半分くらい使うことに決めてしまう。アルコール度を高くしないために、リキュール・ベースを考えた。
色を調整しやすいことも考慮に入れて、無色透明のピーチツリーとディタを使う。
ピーチツリーは桃のリキュールのトップ・ブランド。80年代後半以降のカクテルのカジュアル化の一端を担った人気リキュールである。ピーチのリキュールは何種類もあるが、製法の違いにより若干色が着いているものもあるので注意が必要。
ディタはライチのリキュール。海外ではソーホーという名前だが、商標の関係で日本ではディタという名前になっている。組み合わせによっては激しく自己主張してしまうタイプなので使いどころが難しい。ピーチとの組み合わせは良好で、うまく押さえ込みつつ、ライチの香りが品良く感じられるようになったと思う。
しかし、リキュールと果汁だけではさすがにボディが弱い。シェークをするとコシがなくなってしまう。というわけでスピリッツに登場願った。とはいえ、飽くまでも脇役としてである。はじめはニュートラルな性格のウォッカを試してみたのだが、今ひとつ印象がハッキリしない。そこでホワイト・ラムに替えてみた。これがなかなかいいようだ。ボディもしっかりしたし、ラム独特のまろやかな香りが深みを与えてくれたようだ。
カンパリは色づけ。グレープフルーツがやや黄色がかっているので、ややオレンジ系の淡いピンクに仕上がった。ちなみにレシピに書いてあるtspとはティースプーンの略である。1tspはおよそ5mlほど。
おそらくアルコール度はワインくらいの軽さだろう。もう少し弱いかもしれない
現時点ではまだ決定版とはしないが、あの子らしい可憐な仕上がりになったと思う。
ここからは余談。。。
アルバン・ベルクという20世紀のオーストリアの作曲家にヴァイオリン協奏曲の名品がある。実はこの作品は「ひとりの天使の思い出のために」というニックネームを持っている。
というのもベルクにはマノン・グロピウスという可愛がっていた少女がいたのだ。マーラーの未亡人アルマと建築家ヴァルター・グロピウスとの間の娘で、マーラーを師と仰いでいたベルクにとっては縁浅からぬ少女ということだったのだろう。しかし、マノンはポリオのために夭折する。その彼女の思い出のために書かれたのが古今のヴァイオリン協奏曲の中でも指折りの名曲とされるこの曲なのである。
期せずして、この曲はベルクが完成することのできた最後の作品となってしまった。急逝したベルク自身へのレクイエムともなったのである。
ベルクが彼女の思い出のために曲を書いたことで、しかもそれが素晴らしい曲だったことで、マノンという少女は永遠に人々に記憶されることとなった。
形に残すというのは大切なことであるように思う。
これもひとつの供養になるだろう。
このカクテルを天使のようだった小さなレディに捧げる。
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