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2026年09月06日07:57

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信国遥『未館成の殺人』(光文社)を読みました

信国遥『未館成の殺人』(光文社)を読みました。
著者は、小説家なのでしょうが、『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』が新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」に選出されてデビューしており、本書が2作目となるようです。
タイトルから何となく理解できると思いますが、綾辻行人へのオマージュ、というか、何というか、クローズドサークルをなす絶海の孤島に建設された館における連続殺人事件をテーマとするミステリです。しかも、その館を設計した建築家は黒澤泰洋という設定ですが、綾辻行人の館シリーズに登場する中村青司のモデルではないか、というウワサが挿入されていたりします。しかもしかも、で綾辻行人の出身である我が母校京都大学ミス研に対抗してというか、何というか、舞台となるX大学ミス研はかつて「西のk大、東のx大」と称された名門ミステリ研究会、という設定です。
そのx大ミス研の6名が夏合宿で伊豆諸島の中の孤島である飛輪島に向かいます。周囲200メートルほどの孤島です。そこには、黒澤泰洋が設計、建築を志した未完成のように見える館があります。しかし、島に着く直前に船が炎上し、1年生の西京春季が船に取り残され、島に着いてからも連続殺人が起こるわけです。
ミス研メンバーをリストアップすると、4年生は部長の三雲清世と「局長」というやや侮蔑的なあだ名の涌井正義、3年生の遠藤恭平、2年生で主人公、というか、視点を提供する北見律、1年生の西京春季と白波瀬真緒の6人です。部長の三雲清世と白波瀬真緒は従姉妹です。3年生の遠藤恭平はアウトドア派ですが、他のメンバーはインドア派です。1年生ながら、西京春季は講文社の主催する講文ミステリ新人賞に応募し、の受賞こそ逃しましたが、最終候補に残っていました。涌井正義は太っている皮肉屋で、創作能力なんかはそれほど高くなく、最終学年なのにまだ就活で内定が出ない、という状況です。この6人に加えて、御蔵島から飛輪島に雨鷺兼重という名の漁師が漁船で送ってくれます。
繰返しになりますが、飛輪島に到着する直前に船が炎上して、船酔いで船室にいた西京春季が取り残されます。加えて、食料や飲料の大部分も失われます。島に着いたミス研5人+漁師の雨鷺の6人によるサバイバル生活が始まるわけです。でも、アウトドア派でサバイバルに強そうな遠藤恭平が最初に殺されます。次に、三雲清世も死にます。さらに、殺人が連続するわけです。ただし、完全に殺人とばかりはいえない状況で、自殺や事故に見えなくもありません。
さらに、x大ミス研の卒業生だか、先輩だかでx大ミス研を復活させた功労者の名瀬朝日が雄弁社主催のヴァン・ダイン賞を受賞した作品に関する盗作疑惑がからんだりします。ミス研メンバーではない漁師の雨鷺兼重の正体も気にかかるところです。
ハッキリいって、ビジュアルがほとんど示されず、登場人物が少ない割には、文章もあまりスムーズではありません。さらに、謎解きにもツッコミどころがありそうな気がします。さらにさらに、で、綾辻行人の館シリーズに関する最低限の情報が必要です。
したがって、それほど強くオススメするわけではありませんが、何せ、連絡の取れない絶海の孤島での連続殺人事件という王道ミステリです。そこに価値があるかもしれません。

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