演目はあの『カルメン』だ。どこを切っても有名なメロディーばかり。
偶然見つけてチケットを手配した。
だって無料ですってよ。
翌日くらいだったか、見たときにはもう完売になっていたから、相当の人気らしい。
そりゃそうだろう、本格的なオペラらしいし。
オケも演出も全て自前なのだそうだ。さすがに児童合唱は無理だが…。
場所は三鷹市公会堂。今は光のホールと言うらしい。
田中遼:総監督
武田明寛:指揮
渡壁葉月:演出
東京大学歌劇団管弦楽団
東京大学歌劇団合唱団
八王子市立上袖木小学校 音楽サークル:児童合唱
西岡君恵:カルメン
佐々木竜也:ドン・ホセ
藤本知宏:エスカミーリョ
門上華子:ミカエラ
牧野心咲:フラスキータ
宇佐美友那:メルセデス
安部健士朗:ダンカイロ
真壁慶多:レメンダード
伊藤亮:ズニガ
毛利心馨:モラレス
01.ビゼー:歌劇『カルメン』
メゾ・ソプラノがタイトルロールという珍しいオペラだが、有名という点では一番かもしれない。
少なくとも口ずさめるメロディーの数では間違いなく一番だろう。
ミカエラという婚約者がいながらカルメンに惚れ込むドン・ホセ、しかしカルメンは闘牛士エスカミーリョに…。
ひたむきなミカエラが素敵だが、あの一途さは怖いとも言える。
ミカエラはメリメの原作には登場しない。良心を象徴するキャラなのだろうと思う。
プレトークで演出家が「ファム・ファタルとしてではなく、少女性を表現したい」というようなことを言っていた。
カルメンを演じる歌手の写真を見るとその意図に納得する。
しかし残念ながらそれは成功したとは言えなかった。
カルメン役の見た目は可愛らしい。しかし振る舞いが蓮っ葉で悪女的雰囲気がプンプンしている。少女性あるいは無垢・無邪気といったような印象は受けない。なので非常に中途半端なカルメンになってしまったように思う。これは演出が原因だろう。
あと彼女は本来ソプラノではないだろうか。声域に無理があるようで低音に伸びを欠く。
ドン・ホセは声質も歌唱力も良いが、声量に不足していたのではないか。最前列でやっと聴こえるくらいだったので後方の席まで届いていたかどうか。気弱で優柔不断な男というキャラとしては合っていたのだろうが。
エスカミーリョはホセとは逆に声量もあるし声も通る。しかし歌唱が粗い。荒っぽい闘牛士に相応しいも言えるが。
ミカエラはとても良かった。メインキャストではいちばんの出来だった。声もよく通るし、演技も巧み。雰囲気もミカエラにピッタリだ。
フラスキータとメルセデスのコンビも良かったね。
カルメンが中途半端な描き方になったせいか、ホセとエスカミーリョが何故カルメンに惚れたのかがわからなくなった。
そうなるとホセにもエスカミーリョにも感情移入できなくなり、結果ミカエラのみが引き立つということになる。
従来の観念を覆そうとするのは難しい。挑戦しなければ結果は出ない。しかし生半可な対応ではやはり結果を出すのは厳しい。
オケも粗い。
開演前や休憩中の練習を聴いて十分想定はできたが。
とはいえ、気概は買う。
たくさん稽古を積んだのだろうと、その情熱も理解する。
ただ心を動かされるかどうかということとは別問題。
身内や友人が多かったようだ。
もちろん悪いことではないが、人気がある、評価が高い、という評判も鵜呑みにできないということだろう。
勉強になった。
次回はグノーの『ロメオとジュリエット』という魅力的なプログラムだが、たぶんもう行くことはないだろう。
最後にどうでもいい話だが、この公会堂に入ったのは気が遠くなるほど久しぶりだった。
中学生の頃の合唱祭以来である。たかだか調布の市立の中学校の合唱祭をここでやったのだ。つまりステージに立ったということである。さらにその前はジュニアオケでステージに乗ったこともある。
もうひとつ余計な話をすると、調布のグリーンホールのステージにも立ったことがある。こけら落しの何かのイベントで市内の中学代表ということでクラスで出たのだ。
さらにどうでもいい話をすると、うちのカミさんは若い頃に公会堂に隣接する市役所の受付に座っていたことがある。
童顔ゆえに中高生の体験学習のように思われたことだろうと想像する。
そのころは体験学習なんてなかったけどね。
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