東京交響楽団の首席オーボエ奏者にして、東京六人組のメンバー、荒絵理子が満を持してのソロ・アルバムをリリースした。そしてその記念コンサートがサントリー・ブルーローズ(小ホール)で開かれた。
これは多少無理をしてでも行かねばなるまい。
ということで久々の平日夜のコンサート。
サントリーに来るのも久しぶりだ。
荒絵理子:オーボエ
山洞智:ピアノ
01.カリヴォダ:サロンのための小品 Op. 228
02.ドヴォルザーク(山洞智/編):月に寄せる歌(オペラ『ルサルカ』より)
03.ドニゼッティ:オーボエ・ソナタ ヘ長調
<休憩>
04.シューマン:3つのロマンス Op.94
05.ドビュッシー(山洞智/編):月の光
06.J.シュトラウス��(山洞智/編):こうもり変装曲
<アンコール>
07.久石譲(井上一平/編):アシタカせっ記
08.リー・ハーライン:星に願いを
まずは紫がかった淡い青のドレスで登場。
カリヴォダという人は初めて知った。前期ロマン派の時代の人のようだ。
寛いだ雰囲気の作品で、メロディーが美しい。しかし、超絶技巧。
初っ端にこんな曲を持ってくるとは恐ろしい。全く破綻のない見事な演奏だった。
『月に寄せる歌』はメロディメーカーとしてのドヴォルザーク面目躍如。本当に綺麗なメロディーだ。オーボエの柔らかな音色とよく合う。
いい曲だなあ、としみじみと思った。歌心豊かな彼女の音はオーボエなのにどこまでも透明。そして切ない。
たぬ〜はこの曲が気に入ったらしい。
ドニゼッティのソナタもアルバムで初めて知った曲。
オペラ作曲家としての印象が強いが、こんなに魅力的な器楽曲を作っていたのか、とちょっと嬉しくなる。
これも緩急の動きが激しく技巧的な曲。彼女の演奏には音が乱れるということがない。
休憩を挟んで後半は、ピンクのドレスにお召し替え。良く似合っていた。髪型もちょっと変えてきた。
シューマンの3つのロマンスは2曲目がとっても有名。
とはいえ、どの曲もシューマンらしいロマンティックなメロディーを持っている。それぞれ微妙に性格が異なり、その吹き分けも見事だった。
アルバムで冒頭に収められた『月の光』。
冴え冴えとした月ではなく、暖かみのある月と言えるだろうか。それでいて凛とした佇まい。
『こうもり変装曲』は変奏曲ではなく変装曲で正しい。
シュトラウスのオペレッタ『こうもり』の素材を再編集した曲。カルメン幻想曲みたいなものか。
馴染みのメロディーがいっぱい出てくる楽しい曲だ。こういう曲は難しいことを考えずに超絶技巧を楽しむのが正解。ワクワクしながら聴ける曲だ。
アンコールはオーボエ・ソロで『もののけ姫』。
メロディーをなぞるだけのものではなく、クラシックの小品として完成度の高い曲だ。
彼女の演奏は心を打つ何かがある。これを「Something Else」と言うのだろう。
これでアルバム収録曲は全曲披露。
で、もう1曲アンコール。
このときのMCではちょっと涙ぐんでいたのだろうか。
こちらもグッときてしまったよ。
誰の編曲か訊くのを忘れてしまったが、まさにジャズと言えるようなフェイク!
装飾の入れ方もセンスが良い。
編曲者でもあるピアニスト山洞(さんどう)氏のピアノも見事なものだった。大きな懐で受け止める、といったような演奏だった。キャラもとってもいいね。
プロデューサーとのトーク(裏話)、山洞氏とのトーク(裏話)、なども交えて楽しいコンサートだった。
今回のデビューCDを作るのに5年かかったという。
そうだよな、実力はもちろんヴィジュアル的にも秀でているので、話がないわけないよな。
サイン会は長い列。
気長に待つことにする。
「六人組じゃないのに」と言っていたが、われわれは六人組それぞれのファンでもあるんだよ。
なにはともあれ、喜んでもらえたようでなによりだ。
六人組でさんざん聴いてはいるが、実は彼女のリサイタルを聴くのは初めてである。
今回は彼女のオーボエをたっぷり楽しめた。やはり素晴らしい奏者だと改めて感じた。今後のさらなる活躍を期待したい。
ログインしてコメントを確認・投稿する