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2015年09月19日21:17

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追いかけることになったきっかけ

一週間前の話題で申し訳ないが、先週の金曜の夜、文化放送のガキパラという番組にピアニストの三浦友理枝嬢が生出演した。23時からという遅い出番だったが、なかなか楽しかった。
普段ラジオを聴く習慣がないのでこういうときは慌てる。AMラジオの入りが悪いなあなんて思っていたら、今はPCで聴けるのね。便利な世の中だ。こういう便利さはいいよなあ。

その中で初出の情報があった。
来年の2月21日(日)に銀座のYAMAHAホールにてデビュー10周年記念コンサートが開かれるとのこと。
デビュー10周年というのは今年なので、10周年を経て新たなステップという位置付けかもしれない。得意のラヴェルを封印し、シマノフスキにリゲティにプロコフィエフというとんがったプログラムになるのだそうだ。
これは楽しみである。
シマノフスキは何を弾くのだろうか?
あと残っている大曲は2番のソナタである。悪魔的に難しいと言われる曲をいよいよ弾くのか? とは言ってもおそらくシマノフスキのピアノ曲はたいていが悪魔的に難しい。
そしてリゲティ。ムジカ・リチェルカータか、それとも練習曲から何曲かを選んでか。いずれにせよこれまた超絶技巧を求められる。

私が三浦友理枝というピアニストと出会ったのはデビューの年、つまり10年前のことである。
美少女然としたジャケットが印象的なデビューアルバム。それがきっかけだった。いかにもアイドルピアニストが好みそうなフランスものを集めたデビュー盤ではあったが、選曲が一風変わっていた。いい曲だが地味なフォーレの夜想曲第4番、それに超絶技巧のラヴェルの『ラ・ヴァルス』。この2曲でこのピアニストはちょっと違うかもと思うには十分だった。それでも、どうせアイドル・ピアニストだろう、とナナメに見ていたことは否めない。
2005年のGWにアウラが銀座のYAMAHAでインストア・イベントをやることになった。そのときに彼女のデビュー・アルバムが平積みになっていた。後日行われるインストア・イベントのサイン会参加券とポスターとさらにサイン色紙がもらえるという。なのでそこでゲットすることにした。
聴いてみたら寒色系の純度の高い音色と正確なタイム感覚と高度な技巧を持っていることがよくわかった。注目すべきフォーレの夜想曲とラヴェルの『ラ・ヴァルス』、前者は透明感のある抒情性で、後者は全く危なげのない超絶技巧で弾き切っていた。さらに有名曲ですら凛としたたたずまいで聴かせる。CDの出来はいい。感心した。ラヴェルの『クープランの墓』も聴きものだった。
それでもアイドル・ピアニストなのだろうという疑惑は拭えなかった。と同時にもったいないとも思ったものである。
イベント当日、普通なら早めに行って席を確保するところだが、このときはのんびりと出向いた。すでに席はなく、立っている人もかなりの多さだった。手元が見えるよう左側の場所を確保。
小品でお茶を濁して終わりだろうと思っていた。『ラ・ヴァルス』のような難曲はやらないに違いない。
彼女のことを知るにつけ、ずいぶん失礼なことを思っていたものだ。彼女はこうしたイベントでも一切手を抜かず、短いなりに筋の通ったプログラムを用意してくることを後に知った。
当たり前のように『ラ・ヴァルス』を弾いたのもそうだが、「現代音楽も弾いていきたい」というコメントにワクワクした。そのときに出た名前がリゲティだった。そしてお人形さんのように整った顔立ちに隠すことなく現れた意思の強さ。彼女はアイドル・ピアニストには収まらないことを確信した。

それが彼女との出会いである。

このときはまだ留学中で日本での活動は少なかった。
翌々年2ndアルバムをリリースし、シマノフスキの『仮面』を引っ提げてのリサイタルを成功させたものの、日本での本格的な活動はさらに2年後の2009年からだった。川久保賜紀・遠藤真理とトリオ組んだのもこの時期である。
われわれを認識してくれるようになったのもこの年からだ。トリオのコンサートが首都圏では無く、仙台まで行かなければならず、それに関するやり取りをしたころだろう。「仙台に行くか思案中」「仙台に行くことにしました」「次は仙台で」そんなふうに彼女と会話をしていた。そういうやり取りができるくらい追いかけていたのだ。

そして現在に至る。

毎年いちばん多く聴いた演奏家は彼女である。
わが家の音楽ライフは彼女を中心に回っていると言っても過言ではない。
通算すると100本近くになる。
それだけコンスタントに活動してくれているということでもある。もちろん行けなかったものもたくさんある。ことに最近は首都圏以外での公演も多くなっている。
今年のラヴェル全曲演奏会は節目に相応しい一大事業であろう。今月末に第二夜(完結編)が予定されている。
さらにソロだけでなく室内楽にも活躍の場を広げている。先述のトリオは開店休業中ではあるがまた復活するだろう(真理ちゃん出産後か?)。NHK交響楽団首席ホルン奏者福川伸陽氏とのデュオも絶好調。10月からはアルバム制作に入る。秋にはその福川くんも交えた東京六人組がデビューする。木管五重奏+ピアノという編成で、われわれのお馴染みフルートの上野由恵嬢もメンバーの一人だ。
本来自己主張の強いピアノなのだが、室内楽もとても巧い。
ピアニストはソロでの活動が多い。ストイックに音楽を究めるのも向いているのだろうが、みんなで音楽を作り上げていくというのも楽しく感じているに違いない。

ほとんど「追っかけ」であるが、追っかけで何が悪い、と開き直ってみる。
追いかけようと思えるほどの演奏家と出会えたことはやはり幸せなことだと思うのだ。
問題なのはそういう演奏家が少なくないということなんだよな…。

写真左は2005年のデビュー盤『印象』。
中央は昨年リリースの5枚目のアルバム『MINIATURES』。
そして右は2009年のトリオのデビュー盤。左から遠藤真理(vc)、三浦友理枝(pf)、川久保賜紀(vn)。このジャケットの友理枝ちゃん、いい表情だよね。
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